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一年選抜本戦 雪VS鬼灯2

「多分この人の能力は目に関する物。さっき私は目を見たから操られたんだ。なら、目を見なければいい!」


雪は魔力感知と勘で血刀を振る。当然避けられるが追撃はなかった。

それだけ鬼灯の動揺は強かった。


(なんでこの子には【魅了の魔眼】が通じないの!?僕の魅了は女子限定とは言え掛かったら解くまで解除なんかされなかったのに!)


「どうやって僕の魅了を解いたの?絶対に解けないはずなんだ。」


「どうやってって意識はあったし、自分の魔力で相殺?した。」


「は?」


(あり得ない!魅了にかかったら意識ごと操るのが私の魔眼!意識が残っていたなんてあるはずない!・・・・落ち着け、僕。魅了で怪我をさせずに倒せたら良かった、それだけのことだ。)


雪は戦いに集中できていないうちに鬼灯を倒すため接近する。


「どうやら精神干渉系の魔眼は効かないらしい。だけど、それしか出来ないとは言ってない。」


鬼灯の目が再び光る。


「もう弱点はわかってる。接近されたらこっちが有利・・・!血を吸え、雪華!【血ぎ」


雪が鬼灯の首ギリギリ薄皮一枚の所まで雪華を振り下ろした瞬間体が硬直した。


「はぁ!?今度は発動した時に目を見てない筈。なんで動けないんだ!?」


「【石化の魔眼】また対象を石にすることができる。これの良いところは対象が目を見なくても硬直くらいならさせられる点だ。本当は治るとは言え怪我なんかさせたくないけど魅了が効かない君にはこうするしかない。」


鬼灯は硬直した雪を動かして自身の目を見させた。すると雪の足の方から徐々に石になっていく。


「まずいまずい!どうすれば石にならなくて済む!何かないか何か!・・・ダメだ!思いつかない!」


「無駄だよ。一度見たら全身が石になるまで止まることはない。出来るとしたら聖属性の魔法使いかそれこそ神聖な武具でもない限り解除は出来ないよ。」


「クソッ動け、動け!動け!!」


「無駄だって!やめろ!そんなに無理に動こうとすると・・・」


雪の足になったふくらはぎの下の部分との境目から血が滲んでくる。


「動け!う・ご・けぇ!!」


雪の足が血で真っ赤に染まった頃、突然雪の石化が解除され急に動けるようになって雪は倒れ込む。


「見かねて解除した・・・訳じゃないみたいだね。」


「あり得ない・・・解除することなんてできるはずがない!その魔力のせいなの!?」


「え?うわっなんだこれ!?」


雪の体には緑色の魔力が纏われていた。しかし雪はこれと似ている魔力を見たことがある。


「これ・・・アーデの魔力だ。はぁー!本当に後で問い詰めなくちゃ。でも今は助かった!」


「なんなんだ!状態異常系全部効かないのか!?【麻痺】【毒】!」


鬼灯の目が黄色や紫になるが一瞬痺れたりした後にアーデの魔力によって無効化されていた。


(うーん、これすっごい狡いことしてる気分。なんか鬼灯さんに悪いことしたかな。もしかして魅了もアーデの加護のせいかな?)


ここで一つ雪の勘違いを訂正しておこう。確かにアーデの加護は状態異常は無効化に近いことをしている。だが魅了に関しては効果を発揮していなかった。試合前雪は「体が女になったことがここで効いてくるのか」と思っていたが鬼灯の魅了は女性限定で精神に作用する魔眼である。雪の精神は最近は少し変質しつつあるが男のものであったことが不完全に魅了にかかった原因の一つ(・・)だった。その結果が体だけ操られることになったのだが両者それには気がつかない。


「僕は女子には使わないと決めてたけどそうも言ってられなくなってきた。僕は勝たなければならないんだ。勝って優勝しなければならないんだ!【炎症】【凍傷】」


「熱ッ!痛ッいや冷たッ魔力の起こりが見えない。発動した瞬間もう私に到達してるみたいだ。」


雪は右腕に火傷、左足に凍傷が出来ていた。


「何でそこまで鬼気迫った感じになってるかわからないけど私だって負けたくない。ようやくあいつらと同じとこまで来れたんだ、何よりそんな苦しそうにしてる貴方をここで倒す(解放する)。」


「知ったような口で言うなァッ!勝てなきゃあの人にはなれないんだ・・・」


「あの人?」


「君には関係ないッ!【炎症】【炎症】【炎症】ッ」


「のわっ!何となくわかってきた!おそらく視線でポイントを決めてそこに技を発動させてるんだ。綾みたいに魔法を飛ばす必要なく見るだけでその地点に攻撃できるのはすごい、けどっ。そのポイントをずらせば当たらない!」


雪はフェイントを挟みながら鬼灯の魔眼から逃れていく。


「当たれ当たれ当たれっ!当たってよォ!」


「やっぱり動揺して本当の力は出せてない。視点がブレてるから避けやすい!鬼灯さんが集中したら強いだろうな。」


雪は鬼灯が本来の力を出せていないことが残念だった。何かしがらみでもあるのか最初より精神が不安定になっているようだった。


「集中したら貴方ならきっと強い!だからこそ本気で戦えなくて残念です。」


雪は雪華に血を吸わせ最大溜めの血斬で一撃で終わらせるつもりだ。

しかしさらに鬼灯の様子が変わる。


「ッそうだよね、お兄。」


鬼灯は雪の言葉に過去の記憶を思い出していた。


「キャッ」


「ははは!本当にお前は試合になると弱くなるなぁ。練習だと俺と引き分けるってのに。なぁ【   】は集中したら俺より強ぇんだから頑張れよ!」


「僕は強い、お兄。見てて、僕がお兄の代わりに強くなるから。」


雪はそんな鬼灯を見てまるで別人になったかのような雰囲気を感じていた。









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