一年選抜本戦 司VS澪2
「【式神召喚】玄、鳳凰、タマ!」
澪は亀、鳳凰、虎の式神を召喚する。その三体は澪を取り囲むようにして待機している。
「アイツらは初見だな、何してくるかわからない。一回飛び込んでみるか。【完全龍鱗】」
司が澪に突っ込んでくる瞬間澪は三体に同時に指示をだす。
「みんな!位置について!対司くん用封縛術【四神封陣】!」
式神たちは結界の端にそれぞれ移動して待機している。澪を全く守るつもりはないようだ。
「一体澪は何する気だ?自分から守りを捨てる意味が分からな、ぐっ!後ろに引っ張られる!?クソ、抵抗できねぇ!カハッ」
『おおっと!龍堂選手が突っ込んだ瞬間、符堂選手が式神たちを結界の端に移動させた!?しかも何故か龍堂選手まで結界の端に無理矢理移動させられたように見えるぞー!?理事長これは一体?』
『うーん、おそらくだが陰陽道における四神を模して術を使用していると思う。四神とは玄武、朱雀、白虎そして青龍のことなのだがそれぞれ司る方角というものがある。北は玄武、南は朱雀、西は白虎そして東が青龍だ。』
『確かに式神たちはそれぞれの方角にいますがそれと龍堂選手が移動させられたのにはどういう関係が?』
『龍堂選手の鱗は龍の物ですから龍堂選手を青龍と強引に見立てることで結界の要、東の端に移動させているのでしょう。』
「一体何だこれ!?体の自由は効くが移動できないだと?おそらく三体の式神が何かしてんな?」
「まだこれだけじゃないわよ!【五神強化】!」
澪は結界の真ん中に立つ。すると式神がそれぞれ赤、緑、白の光を帯び澪も黄色い光を帯びる。そして何故か司も体が青く発光した。
「おいおい、マジか。これ俺の魔力吸い取ってるのか!」
「ちょっと違うわ。これはそれぞれの神獣が高め合うことで魔力を上昇して中心にいる麒麟に力を与える術式。それを応用した捕縛術よ。」
「なるほどな、雪みたいな無条件ではないってわけか。にしても全く動けねぇな!これ筋力じゃ無理なやつか?」
「教えないわ。私は司くんに私の本気を見て欲しいの。教えたらせっかく捕まえたのに抜け出しちゃうでしょ?」
「そりゃそうだ。」
『理事長今度は結界の中にいる全員が光り出しました!何やら魔力を奪っているらしいんですが何かわかりますか?』
『おそらく自身を麒麟と見立て四神が相乗で高めた魔力を自身に渡し強化する術式のようですね。もしかするとさらに狙いがあるかもしれないです・・・』
「【五行・螺旋岩礫】!」
澪の周りに螺旋回転する岩礫が浮遊し30個ほど浮かんだあたりで発射した。
「そんなもん俺には効かねぇぞ!」
司は鱗全体に魔力を通し鱗一つ一つに強化を施した。
「いいえ、この攻撃は貴方には効くのよ。」
バギィィィィインッ!
鈍い音が岩礫が当たった瞬間鳴り響いた。その発生源はやはり司だった。
「ゲフッカハッ!なん、だ?あのくらいなら綾の方が強いはず・・・属性こそ違うが耐えられないわけじゃない。ましてここまでダメージが来ることもないはずだ。絶対にさっきの五神強化っつたか?アレのせいだな。」
◆
「どうして!?私の魔法をよく受けてる司くんならあのくらいの岩礫なんともないはずだよ!?雪ちゃんはどう思う?」
「うーん、さっきの光ったやつもそうだけど元凶は最初の引っ張られたやつな気がする。理事長も言ってたでしょ?司を青龍に見立てたって。アレが関係してる気がする。」
「それで正解だと思いますよ?青龍は木を司っていますが麒麟とは土を司る神獣だとされているの。だから効いたんじゃないかな。」
「土だと何で木に強いの?」
「陰陽道だと相克っていって相性があるの。その中で木は土に負けるようになっているのよ。」
「へー。それで司くんは岩礫がよく効いたんだ!」
(なんだか俺の衣領樹と似てるな・・・)
◆
司は口から少量の血を出して地面に吐き捨てる。その体は鱗が割れ、一部は鱗が無くなって肌が見えていた。
「どうにかして動けるようにならねぇとまたくらっちまう。どうすれば・・・ん?さっきより動けんぞ?どういうことだ?」
(周りには亀、赤い鳥,虎そんで四神?もしかしてアレか?よくゲームで出てくる玄武、朱雀、白虎。アレは4体セットのはず三体しか出さないってことは出てないのは・・・青龍か!青龍、龍、龍の鱗そうか澪のやつ俺を青龍の代わりにしてやがんのか!なら拘束が緩んだのは鱗が少なくなったからか?試してみるか。)
司は全ての鱗を消してみる。すると体から結界の端に引きつける力が消えた。
「気付いたんだ。鱗がこの術式の対象になってること。」
「攻撃受けてようやくな。だけどえっぐいぞ?俺鱗無くなるとかなり弱体化されるんだが?」
「そこは頑張ってとしか言えないわね。でも悠長に話してていいの?私は四神で互いの力を高め合ってと言ったはずだけど?鱗があった時は術式がオートで魔力を高めて他の式神に渡してたけど今はそれがないわよ?」
四神が高めた魔力が全て司に集中する。
「四神の魔力で爆散しなさい!【四神封陣】解除!」
「まっず!頑張れ俺!このまま爆発オチだけは回避しろォ!?」
司の許容範囲を大幅に超えた魔力が司に流し込まれたことで体が耐えきれず軋み始め爆散寸前だった。




