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卒業式1
『世界人口の99%が能力を持つ現代においてなりたい職業第一位!』
「魔防隊かぁ」
魔防隊は【ダンジョン】と呼ばれる異界から出てくる魔物を討伐したり魔物が増えすぎて起こる【魔物氾濫】を防ぐため中に入り殲滅する組織だ。
昔、ダンジョンから出てきた魔物が妹を襲ったことがあった。その時に助けてくれた魔防隊の人をカッコイイと思った。
幼馴染と『魔防隊に入って魔物を倒して家族を守るんだ!』なんて話をしたこともある。
だけど俺にはこの職だけは選べない訳があった。
俺はいつものように家のポストに入っているチラシに目を通しながらため息をついて学校に行く支度を終わらせていく。
(結局、進路相談でもなりたい職業は書けなかったな)
「能力があればなぁぁぁー」
そう、この俺【血桜 雪】は世にも珍しい無能力者なのだ。生まれた時から魔力がない体質で能力を使うには魔力が必要だった。
そうやって愚痴をこぼしていると
「雪兄ぃー!まだ支度できてないのー?ご飯さめるよー!」
下から元気な声が聞こえてきた。
「今行く!」
俺は階段に向かいながら返事をする。