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 さっそく鍵で箱を開けると、中には分厚い本が入っていた。本のページを捲ると、それはどうやら日記帳のようだ。


 ああ、誰にも見られたくないから日記隠してたのね。

その気持ちはわかる。まあ、私は日記自体書かないけどね!


 日記帳の1ページ目。


 今日はよく晴れています。とても麗かな日差しが心地よく、何処かへ出かけたくなる陽気です。

でも、私は何処にも出かけられない。だって、こんな足だもの。


ぱらり。


 今日はお父様が部屋にいらっしゃいました。何か怒っていた様だけど、私には何のことなのか分かりませんでした。何故お父様はあんなに怒ってらしたのかしら。だって、私はここから出られないんですよ。

玄関に氷を撒き散らすなんて出来るわけないじゃないですか。


ぱらり。


 今日は雨です。この頃ジメジメとした日が続いています。どうした事でしょう。去年の今頃はもっと暖かく陽気のいい日が続いていたというのに。

私の心も鬱屈してしまっています。天気のせいじゃありません。原因は分かっています。

あんまりだわ。


ぱらり。


 漸く気持ちが少し落ち着きました。そういえば、昨日から天気も少し回復しているみたい。良かったわ。

 ああ、今日も彼がいらしたのね。下の階からあの声が聞こえる。嫌だわ。


ぱらり。


 せっかく天気が回復してきたというのに、今日はまた悪くなっている。しかも今日は雷も鳴っているみたい。怖いわ。でも何故でしょう。私の心の様にも思えるの。

だって昨日彼の声が下の階から聞こえてから、私の心は渦巻く様に荒れているのだもの。


ぱらり。


 あら、今日はお母様も一緒に部屋にいらしてくれたわ。やだわ、どうしてお父様もお母様も泣いていらっしゃるのかしら。

震えていらっしゃるの?

なにか怖い事が起こったのかしら?

どうして、私に謝るの?

不思議だわ。


ぱらり。


 ふふふ、今日はとっても良い気分です。心が晴れやかだわ。私の気分に合わせたかの様に天気も晴れやか。それに春の陽気の様に、なんだか気持ちがいいの。ああ、嬉しいわ。彼がいなくなって下さったんですもの。気分も晴れやかになるわ。


ぱらり。


 嫌よ!嫌いやいやいやいやいやいやいやいや。

酷い、酷い酷い。

お父様もお母様も大嫌いよ!!どうして彼と

どうしてなの?

皆死んじゃえばいいのよ!!!!!


…ぱらり


 あ、どう、し、て?


……ぱらり


 最後のページの先を捲ろうとすると、そこから先は何か見えないものに阻まれているかの様にピッタリと閉じて開かなくなっていた。


 不思議に思いながら私は、この日記の内容に少し寒気を覚えた。


 なんだろ、上手く言えないけどなんか違和感?を感じる。なんか変だし、気持ち悪い。

結局何もよくわからなかったけど。

あ、でも、この子が両親に大事にされていたみたいってのは分かったわ。部屋から出られないほど身体が弱々しいのね。

 今はなんとも感じないけど、それは私の魂が憑依?しているからかな?

 それにしても、変な日記よね。この父親はなんでこの子の事怒ったのかな?外に出られないほど弱々しいのに。

あと気になるのはこの『彼』って人かな?

なんか気になる。



お読み頂きありがとうございます。

まだ暫く彼女1人の状態です。

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