Two girls One boy
片付け……一体どうすれば綺麗にできるのか。
断捨離か? 断捨離しかないのか?
暗く薄暗い書庫で一人、幼い少年が脇目も振らず本を読み漁っている。
この部屋は家の一番下にあり、螺旋になった階段を降りて少年に声をかける。
「フリューゲル、そろそろ行くよ」
私が声をかけると、本に注がれていた熱意は霧散し、顔を上げて私の方を見た。
「うん、分かった!」
床から積み上げた本の絨毯に、先程まで読んでいた本を重ね、フリューゲルはとてとてと私の下に駆け寄った。
「……フリューゲル、本を読み終わったらどうするのかしら?」
私が問うと、フリューゲルの目線は私と本の間を行ったり来たりして、最終的に私を見上げた瞳はいじらしい。
「お父さんに頼んじゃダメ?」
私は大きくため息を吐き、フリューゲルに諭す。
「駄目よ、……父さんはとても甘いから。私も手伝うから、一緒に片付けようか」
「うん!」
適当に数冊拾い上げるが、一冊一冊が分厚いことも相まって、棚に戻すのも一苦労だ。
「今日は何を読んだの?」
何気なくフリューゲルに聞いてみる。この書庫にある本の数はかなりだが、その殆どが伝記や寓話などだ。
「うーんと、ノアの冒険と——」
どうやら今日は偉人の伝記を中心に読んでいたらしい。つらつらと上がるタイトルの内容を思い出しながら、本を戻していく。
「——と、求道漫遊記……それから『錬金術師ファウストの自叙伝』ぐらいかな」
「……そう、面白かった?」
丁度棚に最後の一冊を入れて、フリューゲルの方を見る。
「うん、面白かったよ? 世界を色んな人が回してるのが分かるから」
フリューゲルは大きく手を広げたりして、一生懸命表現しようとする。暫く、その懇切丁寧で情熱的な説明を聞いていると、
「フィーちゃん、リューくん。お待たせっ!」
同じくらい元気な声が勢い良く近づいてきた。
……衝撃も伴って。どうやら、背後から思いっきり私の背に向かって飛び掛かってきたらしい。
「……けほっ、アリアのバカっ!」
私の叫びはきっと私を押し倒しても少し罰が悪そうに笑うアリアに届くことはないのだろう。
作品の中に、ほぼ必ずと言って良いほど本をストーリーに絡ませてしまうのだが……うーむ、本が関係ない物語を書いてみたいな、と思う今日この頃。
いや、まずは連載の話を書かねば…