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炎槍猛攻

一閃。


穂先に炎を纏う槍が横に振るわれる。


その瞬間、穂先の軌道に添うように炎の刃が放たれる。


あれは……受けてはいけない!!


咄嗟に辺りを燃える炎に【魔力糸】を伸ばし強引に主導権を奪い取り、炎の斬撃を絡めとり真っ直ぐな軌道をねじ曲げる。


逸れた軌道を飛ぶ炎の斬撃は頭のすれすれを通り、真後ろの壁の大きな傷を与える。


あっぶねぇ……こんなの、もし当たったら【熱耐性】も【火属性耐性】も突破して確実に死んでいた。


【魔力アクティブスキル:火属性魔法を入手しました】


……どうも。だが、通じるかどうか分からないが……な!!


腕を振るうのと同時に炎の槍、土の杭、風の砲弾を同時に放つ。


これの一つでも当たれば中長距離戦が出来る。あれだけの大火力だ、避けれるだけの間合いが欲しい。


「無駄」


ネームレスが呟くと同時に三つ魔法が柔肌に直撃する。


さて……どうでる。場合によってはさっさと逃げないといけな


「排除」


マジ……かよ!?


立ち込める黒い煙の中から無傷で突破したネームレスは大広間のほぼ反対側にいた俺に肉薄する。


槍の突きを【硬拳】で穂先を払い逸らし【風刃】を逆袈裟に放つが柄で防がれ薙ぎ払われ距離を取らされる。


ネームレスは開けた距離から槍を槌のようにうち下ろす。後ろに飛び退いて回避しようとするがすぐに壁にぶつかる。


まず……!


「【炎突き】」


咄嗟に風の砲弾を脇腹に当て衝撃で右に転がると同時に先程までいた場所に炎の突きが放たれ、壁の一部が焼け崩れる。


石材が赤熱している。どんだけの熱量を秘めているんだよ……!?


「二度も避けましたか」

「駄弁る暇があると思うか?」


ジンジンと痛む腹を押さえながら起き上がり無表情のネームレスを睨み付ける。


少し間を開けたところで風の砲弾を全方位から一斉に掃射する。


「【地走り】」


女が砲弾に当たりながら穂先を地面に擦るよう縦に振るう。その瞬間、地面に出来た切れ目から炎が走ってくる。


【風縮地】を発動させネームレスに高速の機動で炎を回避しながら接近、【硬拳】を腹に叩き込む。


よし、良いのがはいっ――


「無駄」


これも効かないのかよ!?


旗を振るうに槍がうち下ろされ、飛び退いて回避したところで槍が打ち上げられ、それが肩を掠める。


くっ……!?熱で傷はすぐに塞がるとは言え、細胞が確実に壊死した。【自然治癒】では完全に治しきるのは難しいだろう。


「【炎突き】」


再び炎を纏う突きが放たれる。間合い短かったため槍の柄を持ち引き寄せ体勢を崩させ、肩からのタックルでネームレスを弾き飛ばす。


「ぐっ……!?」


今のは効いたか。……どうやら魔法、いいや魔力由来のスキルが発動した状態ではダメージを与えられないか。


このタイミングなら良いか。ステータスを見せろ。スキルと名称は必要ない。


==========

=====


攻撃力:五〇三(+六一〇)


防御力:三九一


素早さ:四三四


魔力:一九八二二


=====

==========


いや、魔力が桁違い過ぎるだろ!?


槍を持ち立ち上がるネームレスを見ながら絶句する。


ラスティアだって二〇〇〇だったのにこれはその約一〇倍、同じエルフの【起源種】とはいえ、規格外過ぎるだろ……!!


「【地走り・斬火】」


ネームレスが槍を身体を中心に円を描くように何度も降るわれる。その瞬間、広間の床や壁、天井に炎の斬撃が走る。


地面を蹴り跳ぶと同時に目の前に天井の瓦礫が落ち、地面に皹を入れる。


「【福音】!!」


手を向け指を弾き、ネームレスを吹き飛ばすと同時に開けた穴から大広間から出て廊下を一気に走る。


ネームレスは俺の目的ではない。なら放置でいいだ


「【炎突き】」


ですよねー。


追ってきたネームレスの炎の突きが背中を突き刺さる。


その瞬間、俺の身体は霞となって霧散する。


「!?」


明らかな動揺を見せるネームレスの影から浮上し背中に【福音】を叩きつけ、吹き飛ばす。


穴から出る際に【幻術】で囮を作って【影体】で隠れての奇襲、流石に上手く入ったようだ。


「【炎突き】」


それはもう見切った。


ネームレスは身体を翻し、槍を一回転させて勢いを付けて炎の突きを放つ。慌てることなく突きを回避し、その腹にジョブを叩き込む。


皮膚が焼けるように痛い。というか実際に焼けてるだろう。だが、そんなの関係ない。


ジョブからストレートに繋げ、更にフックを胸に叩き込む。咄嗟に地面を蹴って間合いから逃げようとするネームレスの手を掴み、引き寄せて肘鉄を腹に打ち込む。


「がっ……!?」

「お前の槍の技術は一級品だが……この超クロスレンジでは意味をなさない」


大きくのけ反るネームレスの頭を両手で挟むように掴み、膝蹴りを打ち込む。


さながら血を流しながら肩を掴み突き放して距離を取ろうとするネームレスの腕に噛みつく。


「くうっ!?」


血が滲む腕を引き、怯むネームレスの顎をアッパーが捉える。


よし、今のは確実に良いのが入った。これで気絶してくれ。急いでいるからお前に構っている暇はない。


「調子に……乗るな!!」


ネームレスが槍を持たない左手を向けた瞬間、炎が掌から噴出する。


咄嗟に【魔力糸】を天井に繋げて引き上げて回避し、地面に降りる。


「……やはり、槍は止めですね」


血を鼻から出したネームレスは小さく呟くと槍を放り捨て、兜を脱ぎ捨てる。


「へぇ、案外可愛い顔立ちしているんだな」

「お世辞は結構です」


兜の中から現れた幼く、少しジト目だが整った顔立ちに少しばかり驚きながらも拳を構える。


恐らく、相手は魔法攻撃に変えてくる。そもそも、攻撃が当たる範囲に突っ込んで来る時点で可笑しかったしな。


隠れる場所はない。遮るものもないこの通路で魔法戦か……気が引けるが、やるしかない。



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