局面変化
短いので二話目投稿
竜巻を手の中に生み出し放つ。瓦を捲らせながら迫る竜巻を蜘蛛は屋根から降りることで回避する。
追うことをせずキューブ状に凝固させた空気の塊を放つ。弧を描き雨のように降り注ぐ攻撃を蜘蛛は糸を奥の建物に向けて放ち引き寄せて回避する。
距離はとれた。それにこの距離ならステータスを閲覧できる。
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名称:ミサ・メイザース 種族:ネオ・ブラッド
Lv.一八
攻撃力:七一三
防御力:二〇五
素早さ:九二四
魔力:七九四
通常アクティブスキル:【糸生成】【毒生成】【並列思考】【忍耐】【血液陶酔】【探知・糸】【血河】【吸血】【赤刃】【人化】【居合い】【赤月】【透視】【生体把握】【並列演算】【織物纏い】
魔力アクティブスキル:【魔力糸】【硬化】【糸設置】【風属性魔法】【加速】【縮地】【天足】【不血魔爪】【吸血魔爪】【魔血操作】【糸操作】【人形作り】【血纏い】【開演】【血霧化】【魔法設置】【糸纏い】【硬糸】【紅満開】【朱花吹雪】【魔力連鎖】【糸縫い】【硬斬】
通常パッシブスキル:【韋駄天】【ランナー】【毒牙】【罠師】【縛師】【傀儡師】【人喰い】【狩人】【破戒者】【冒涜】【魔力操作】【吸血種】【吸血衝動】【魔喰衝動】【生体理解者】【監視者】【同族喰らい】【人形師】【帝国貴族・伯爵】【ステータス閲覧】【退廃】
耐性パッシブスキル:【火虚弱】【蜘蛛の糸】
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……厄介だな。
逃げる蜘蛛を追い空気の塊を雨の如く放ちながら【並列思考】でステータスを見ながら内心愚痴る。
流石蜘蛛というべきか、罠や拘束等の搦め手に長けている。それでも、ここまで一点特化なスキル構成は初めてだ。
それにしても、こいつはスキル欄に【帝国貴族】がある。人間の姿の際に社会的な地位を持っているのだ。つまり、この帝都は社会的にも物理的にもこいつの手の中にあると言うことだ。
だが、俺にとっては知った事ではないがな。
弾丸の合間を縫うように【風刃】を放つ。蜘蛛は身を翻して回避し紅い鎌を振るう。その瞬間、紅い花びらが出現し吹雪となって迫る。
それが多分【朱花吹雪】か。血液系のスキルようだが……嫌な予感がする。受けてはならない。
捲れた瓦を魔法で操り、壁を作ると同時に屋根を破壊して下に降りる。
『今のを避けるのね。……やはり、【逸脱種】は厄介』
『俺も【吸血種】の潰し方は分からないがな』
壁を破壊し地面に降りる。着地すると同時に地面に張り巡らされた糸が一斉に捲れる。
罠か。どうやら相手も俺のステータスを見たようだな。やる気を出してきた、といったところか!!
土を操り半円のドームを作り糸を防ぐと同時に【殺戮】の間合いを利用して【硬斬】を円を描くように回転し振るう。
間合い内の建物は土台が切り裂かれ崩れ、その一つにへばり付いていた蜘蛛……ミサは瓦礫を幾度も蹴り肉薄してくる。
ミサに目掛けて【硬斬】を振るう。ミサも攻撃を鎌で防ぎ俺の近くの地面に糸を放ち一気に肉薄してくる。
着地とラグのない鎌の突きを【硬化】した脚でふせぐと同時に杭を地面から突き出す。ミサが横に跳ね回避すると同時に【赤刃】を放つ。
身を反らして回避し、一回転し空気の塊を纏う掌で肉薄してきたミサに目掛けて振り下ろす。空気が抉られると同時に範囲内に入っていたミサの左の脚の一本が消失する。
『くっ……!』
苦痛を洩らしながら後ろに跳ぶミサを黙視しながら四股を踏む。それと同時に魔法が発動し地面が円を描くように捲れ上がる。
瓦礫に当たりより飛ばされるミサに風の砲弾を放つ。ミサは足で空気を蹴って回避し一瞬で間合いを詰める。
【天足】、それに【縮地】か。
通り過ぎ様に振るわれる鎌を【硬化】させた腕で防ぎ振り返ると同時に【硬斬】を振り下ろし鎌を弾く。
『貴方……!やり過ぎだろ!!』
『生憎と、俺は帝都の人間を守るつもりはないからな』
切り結び鍔競り合うミサに向けてゼロ距離かつノーモーションで【風刃】を放つが回避される。
罪を憎んで人を憎まず、何て言葉があるがそんなものまやかしでしかない。前世の法でも罪を犯した人間が刑務所から出たとしてもその十字架のせいでまともな生活が出来なかった、という例は掃き捨てるほどある。罪と人は同じなのだ。ならば、国が犯した罪はそこに住まう人間にも及ばなれけば可笑しい。
無論、一々数えるのも面倒だから好き好んで殺す事はしないが、巻き込まれて死んだとしても罪悪感を抱かない。
『そういうお前も人間を守るつもりは一切ないだろ?』
『……まあ、そうだけど』
糸を放ち後ろに後方の瓦礫に跳ぶミサに目掛けて風の砲弾を放つが【赤刃】に弾かれて軌道を逸らされてしまう。
『やはり、この姿で相手をするにはやっぱり手数が足りないわね』
『やはりか』
ミサが後ろの脚の二本で立つと同時に静かに変化を始まる。白い光に包まれるとミサは人間としての姿へと変わる。
ミサの人間としての姿は作り物染みた美しい女性だ。人間形態の俺よりも少し小柄だがモデルのような美しいプロポーションをしている。病的なまでの白い肌に白い髪を垂らし、社交界に出るかのような美しいドレスを着ており、ある意味様になっている。
だが、口には鋭い犬歯が見え、両腕は籠手のような白い殻があり、人間では無いことが確かに存在する。
そっちがそのつもりならこっちも【人化】しないとな。
【人化】を発動すると同時に肉体が変わり人間に近しい姿へと変化し拳を構える。それを見たミサは目を見開きながら口角を吊り上げ手を水平に上げる。
【人化】した姿でも熊の姿でも人間の姿でもどっちも魔物、どっちに変化したのか何て関係ない、と言うことなのだろう。
「さあ、始めましょう」
「ああ、潰してやるよ」




