魔曲覚醒
「しみんdghきもhrゆしrwまふtdjきたなfdmしとyfやひydnにた!!」
「グルアッ!!」
【加速】の発動と同時に接近し振り下ろされる拳を身体を半歩下げて避け【硬拳】を腹に打ち込む。その瞬間肩から触手が生えて突き出してくる。
【硬化】させた牙で噛みついて引きちぎり吐き捨てると同時に肉薄、左の【硬斬】を切り上げ鮮血を散らす。
だが傷口はすぐに塞がり腕が変化、何本もの蠍の尾となり一斉に伸ばされる。攻撃を【並列思考】で見切り魔法で作り上げた槍で全てを切断する。
新しいものが生えるよりも速く影の中に沈みキメラの後ろに浮上、口に【収束】させていた空気を【放出】する。
空気の砲を直撃したキメラは地面を転がって避け四足歩行で突進する。
「グルルル!」
だが、そこには罠を設置してある。
左の指先から地面と接続した魔力の糸の一つに魔力を通す。その瞬間キメラの真下から柱が突き出し打ち上げる。
驚愕を露にするキメラに向けて右の指先から出る魔力の糸を真っ直ぐに伸ばす。糸はキメラの身体を絡めとり拘束、そのまま腕を振るい地面に叩きつける。
【硬化】を付与した糸、それを表層に置いた土なら攻撃は通るか。だが、魔力の消費が激しいし頭が痛い。脳への負荷が大きすぎるか。
糸を戻し立ち上り全身の目で睨み付けるキメラに向けて口角を上げて睨み付ける。
だが、その痛みは心地よい。痛みは生きている証のようなものだ。危険を分からせてくれるものだ。それを失ったお前何かに負けるほど、俺は柔じゃない。
「ぎgぷきwhめねgにめちrwのゆ!!」
理解不能の奇声と共にキメラの口が膨らみ濃い紫色の液体を吐く。魔法で土の壁を作って防ぎながら背後に跳ぶ。
その瞬間、壁を破壊してキメラが突っ込んでくる。空中で魔力の糸を宿舎の壁に向けて放ち壁の方に引き寄せてギリギリのところで回避する。
途中で糸を切り地面を転がりながら着地し振り返り様に背後から襲いかかってきた蠍の尾を【硬拳】で薙ぎ払い破壊する。
生物の特性をそのまま再現している影響か甲殻の硬度は【硬化】なしでもそれなりに高いな。注意は必要か。
「グルアッ!!」
地面を蹴りキメラに向けて突進する。キメラは背後から触手を伸ばすがそれらは全て打ち落とす。
その攻撃はさっき見た。それならその対処法ぐらい見抜ける!
「がわtdしgまgmわさhたhま!」
俺が拳の間合いに入った瞬間キメラの腹が大きく膨れ上がる。その瞬間恐ろしい気配を察知する。
不味い……!あの攻撃だけは絶対に食らってはならない!!
咄嗟に地面を蹴って行動をキャンセル、一気に身体を壁に引き寄せる。
その瞬間キメラの腹は破裂し開いた穴から紫色の煙が吐き出される。
煙に触れた草は一瞬で枯れ地面に転がっている数少ない死体は腐り始めていやがる。どう考えても普通の煙じゃない。恐らく、あれは【毒胞】。あんなのに食らったら【毒耐性】何て簡単に貫かれて死ぬ!
「オオオオオン!!」
穴が塞がった瞬間【硬化】を付与した魔力の糸を束ね槍の形を作り投げる動作と共に放つ。
糸の槍は一直線に飛び腹に突き刺さる。
「じtひまdわゅtはがずgくどy!!」
痛みに悶えるキメラは糸の槍を掴み引き離し地面に捨て自分の手を生やした別の手で引き千切り泥に返す。
千切った箇所から新しい手が生えたキメラは新しい腕を試すように伸ばし鞭のように振るう。鞭を解いた魔力の糸で盾を作り防ぎ反対の方向の壁に突き刺さる。
ちっ、骨の方が何本かイカれたか。【自然治癒】で骨の方はどうにかなるが……埒が明かない。あの回復力をどうにかしないとキメラのコアを破壊する事はできない。
回復能力の一切を遮断する【不血魔爪】はデメリットが大きすぎて近接戦ができないしあいつの【毒胞】によるほぼ即死攻撃がある以上迂闊に攻撃できない。
だが、四の五も言ってられない、か。全てを使うためにもこればかりは譲れない。命を捨てる覚悟でやるしかない。
『――――――――――――』
うん?今何か声が聞こえたような
『RSBUZB1UXBIH5XEUOT3DNTDN5UFB63IRESJOOCIHCKRD4JTFBYRJ1YFHY3EWFKTC5NYDH5TSBIFBKTZBKF7CK5UDS5QY4BMOD0VMIECJDVITBKIX0X5J9JBFJN4OVCN2UY9FNIV6KYI9TXK5Y4CGI8VXJ5TSSI1LP4CNIF9VUU7FNI5FJ6UHF9KUFBU』
「ガアッ!?」
頭が割れるような痛みに両手を頭を押さえつけ倒れこみ歯を食い縛る。だがそれでも痛みは無くならない。
な、何かが……おぞましい何かが頭に入り込んできている。何かが頭の中にある何かを破壊するために無理矢理ドリルを突き刺したりハンマーで叩きつけたりしている、そんな感じだ。
いや、思考が保てない。【並列思考】は複数の事柄を同時に考えれる。だが身体の痛みは全てが共有する。この痛みに耐えれるほど、他の思考の耐久力は高くない。
「ガッ――」
パリン、という音が耳の奥から聞こえた。
その瞬間、何かの枷が破壊された。
全身に魔力が通う感覚、それと同時に目に見える世界が色鮮やかに変化する。腕に刻まれている紋様が紅く光り背中が熱くなる。
今まで頭の中に巡っていた痛みは嘘のように消え全てがクリアになる。
何だ……これは。エネルギーが満ちている、そんな感じだ。ある種の覚醒、なのだろうか。
【通常アクティブスキル:神魔の瞳を入手しました】
【魔力アクティブスキル:天翼摂理を入手しました】
【通常アクティブスキル:魔曲・獣歌を入手しました】
【通常アクティブスキル:魔曲・狂歌を入手しました】
よく分からないスキルをかなり入手したな。だが、今はそんなこと関係ない。
「グルッ!」
痛みが収まり立ち上がると同時に【不血魔爪】を発動させ腕を振るう。その瞬間キメラの左側は全て切り落とされる。
「かtまybfざgじさゎさyまゃfささymまわjざyさやgゎぬやnrるhbひまhふuあもhばざ!?」
驚愕、そして恐怖。キメラは癒えない傷を抱えながらたじろき後退りながら泥が傷を纏い腕を形作る。だがその瞬間から新しく生えた腕は地面に落ちる。
んー?【不血魔爪】はあくまで回復をできなくさせるだけで新しく生やした場合は別なんだけどな?これも新しく手に入れたスキルの影響、何だろうか。
だが、それを検証するのは後で良い。今はキメラを潰すだけだ。
「かさjyまわばrlさもfばかばわさrらまはtgらなまymにたあtさrnなーふhめそgfにめしめjこゆめこhぶけよ!!」
意味不明の絶叫と共に【加速】するキメラを力強く睨み付け攻撃する。
横に振るう。キメラの腹は両断される。
縦に振るう。キメラの頭は縦に割れる。
斜めに振るう。キメラの足が切り落とされる。
突き出す。キメラの胸が貫かれる。
それを何十回も行い、キメラの全身をバラバラに解体する。
「ぎ……ぎぎ……」
「グルルルルルルル、グルルルルルルルル」
潔く眠れ、人に生み出された悲しき魔物。
臀部の箇所にあった紫色の三角錐の結晶を【硬拳】で殴り付ける。結晶に皹が入り、砕けた瞬間キメラの肉体は灰に変わり風と共に散っていく。
はぁ……これで一件落着か。だが、それにしても珍妙なスキルを入手してしまったものだ。だが、勝てて良かった。
……て、いつの間にか紋様も元に戻っているな。ミストにも見せたかっがまぁいっか。さて、さっさとミストの元に戻るか。
【Lv.七六からLv.八〇になりました】




