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毒樹顕現

「ガアッ!」

「小癪!」


女の鞭のようにしなる蹴りと俺の【硬拳】がぶつかり合う。


少し拮抗の後女が足を下ろすと同時に腕を引き腕を横に振るうと同時に魔法を発動、地面から幾つもの杭を放つ。


女は跳躍し木の幹に移動。再び幹を跳び空中で腕を縦に振るう。その瞬間魔法の風で杭がへし折られる。


「【アクアジャベリング】」


空中で僅かに動きが止まった瞬間ミストが水の投擲槍を右手から放つ。


女は自分の左腕を木に巻き付け身体を引き寄せて回避し指先から風の弾丸を五つ放つ。


五つの弾丸の軌道を見切った瞬間石の盾を地面から生み出し空中に放ち防ぎ目の前に落ちそうになったものを【硬化】させた脚で蹴り跳ばす。


「くっ!?」


盾は真っ直ぐに女に直撃し女は地面に落ちる。


追撃といわんばかりに肉薄し【硬斬】を振り下ろすが受け身をとった女は横に回転し回避する。


「本当に強いわね……!」

「グルルルルルルル」

「そちらもな、と主人、おっしゃっている」


予想していた以上に女は強い。現に盾が直撃した腹の打撲傷はすでに治っている。俺の【自然治癒】と同じパッシブで回復できるものがあるのだろう。


今、俺とあの女の距離は三メートル程度、相手も動かずに間合いを見計らっている今ならステータスを見れる……!


==========

=====


名称:なし 種族:ニンフ・デビル


Lv.一一


魔力消費率:一パーセント


攻撃力:三〇四


防御力:二五三


素早さ:一六二


魔力:九六〇


通常アクティブスキル:【植物操作】【成長促進:植物】【テレパシー】【毒素分泌】【毒素生成】【毒素融合】

魔力アクティブスキル:【風属性魔法】【硬化】【加速】【毒属性魔法】【植物変換】【追放術】【召喚術】

通常パッシブスキル:【植物融合】【植物判定】【光合成】【火炎重症】【剛脚】【擬態】【自然治癒】【魔力操作】【殺戮】【悪魔種】【悪魔信仰】【毒貯蔵】【生物濃縮】

耐性パッシブスキル:【毒無効】【疫病無効】


=====

==========


予想していた以上にゴツいステータスしてんな、おい。全ステータスが俺以上、そりゃあ俺の魔法でも傷が深くならないのは当然か。


そして俺以外で初めて見たな、【悪魔種】。少なくとも二度の進化をしている時点で今まで戦ってきた中で最上位だ。


だがまぁ……勝てないとは思ってないが。勝てると信じていた方が気が楽だしな。


「オオン!!(行くぞ!!)」

「了承。【アクアショット:円】」


吼えると同時に駆け出す。ミストが水の弾丸を幾つも掃射する。


弾丸は弧を描き女の足下に着弾する。


一歩動けば確実に当たる状況に女は一歩も動けない。


「無駄よ!」


腕を鞭のように振るい木のような腕は伸び一気に間合いに侵入する。


身を屈め攻撃を避け【硬斬】で切り落として接近を続ける。


相手は【植物融合】の影響で植物と一体になっている。なら自身を『植物』と捉えれば自由に成長させたり操作することもできる。


間合いを自由に切り替えれるというのはかなり厄介だが、その反面切り替えのタイミングが重要になってくる。タイミングを外せばそれは大きな隙になってしまう。


だが、それを女はこの状況で平然とやれるという自信がある。そうでなければ使わない。それこそが女の強みでもある。


「【アクアミスト】」


なら、それを物理的に外させる条件を整えてしまえば良い。


少女が魔法で霧を生み出し辺りを包み込む。


女には探知系のスキルを保有していない。なら、霧で視界を封じてしまえば簡単にタイミングをずらせる。


そして良いタイミングだ、ミスト。これなら接近することも容易い……!


「何をしようとしているか分からないけど……ここからは本気でやらせて貰おうかしら」

……えっ?


女の霧の中での呟きに目を見開く。


自分でも芯から冷えていき、血の気が引いていくのが分かる。分かってしまう。


不味い、相手には一撃で致命傷になる技がある。俺は兎も角後ろのミストの直撃は……あまりにも危険すぎる!!


「オオオオオオオオオオオオ!!」

「ひゃあ!?」


一瞬で空気を【収束】で手のひらに集め地面に向け【放出】しミストに近づくと同時に横腹を両手押さえ真上に投げる。


「【ポイズンノクターン】」


その瞬間女の魔法が、【悪魔種】としての魔法が発動する。


紫色の瘴気が辺りに撒き散らされ俺の身体を包み込む。


包み込まれた瞬間、俺は目を開けることすら出来ない激痛を全身に浴びせられる。


痛ぇ……!無茶苦茶痛ぇ……!これが【毒属性魔法】か……!


「……殺せると思ったけどまさか【毒耐性】持ちだった何てね」


女が拳を構える俺に接近してくる。


声音もまた称賛するかのような慎ましさと傲慢さが色濃く出ている。


「グルルルルルルル……」

「あ、喋れなかったわね。それじゃあ……『これで良いかしら』」


突然脳に声が響いて少し驚きながらも女を睨み付ける。


これは【テレパシー】か。原理は糸電話のようなものか。脳に直接響いているような嫌な感覚だが……慣れるしかないか。


【通常アクティブスキル:テレパシーを入手しました】


一回受信しただけであっさりと入手してるよ。やはり【逸脱種】というのは本当に規格外なスキルだな。


『俺の間合いに入ってくるか』

『あら、間合いに入らなければ……蹴り殺せないでしょ!!』


【テレパシー】の会話をしながら女の鞭のような蹴りが振るわれる。


【硬化】させた左腕で防ぐが地面を擦りながら横に動いてしまう。


追撃の踵落としを【硬化】させた頭の頭突きで打ち返し体勢を崩したところを【硬拳】を打ち込む。


その瞬間女の手が槍のように形が変わり右の横腹を穿つ。


『ちっ……!』

『あの女の子よりも弱いと思ってたけど……違うわね。貴方、強いわね』


互いに後退し間合いを計りながら互いの得物を見定める。


【忍耐】は毒の瘴気が出た瞬間発動させた。今、俺の肉体の中で攻撃力が更に上がっている。だから拳が深く入っているに過ぎない。


そして俺の【毒耐性】はどこまでいっても耐性、女のように完全に無効化することは出来ない。故にできる戦法であり常に身体にダメージが入る諸刃の剣。


この勝負、時間をかければかける程負ける。故に、ここで決める。


女も女で気分が高揚しているかのように緑色の髪は桜色の変わり髪の至るところに白い花が咲く。それを表すかのように満面の笑みを浮かべる。


そして俺らは同時に宣言する。


『貴方はどんな華を咲かせるのかしら』

『お前は俺が潰してやる』




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