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冒険者埋葬

刹那のうちに繰り出される斬撃を【硬化】させた肉体で受け止める。


ちっ……!ザルツよりも遥かに速い!白い靄も出てるし【強化】を発動させていやがるのか!?


「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


【咆哮】すると同時魔法を発動させ地面を泥濘にする。


グリムはその中にあっさりと泥に足を絡めとられる。だがあっさりと対応してナイフ投げつけてくる。投げられたナイフを右の掌で弾き落としながら口に【収束】させた空気の弾を放つ。


「ぐっ!?」

「ガアアッ!!」


空気の弾をグリムは腕をクロスさせて防ぎながら泥濘から抜け出てしまう。


だが、グリムの腕は肉が弾け骨まで見える状況になっていた。


ちっ……上手く利用されたか。ならば、これならどうだ!


俺が腕を振るった瞬間泥が動きだし軟体動物の触手のような形状になり一斉にグリムに突撃する。


泥の触手をグリムは回避しながらナイフを振るい切っていく。その度に 血が舞い命を散らしていく。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」


グリムが命の踊りを舞いながら俺に肉薄すると同時に右手のフックが振られる。


グリムは身を屈めて避けナイフを切り上げる。それを後ろに跳んで避けながら泥の刃を地面から生み出し切り上げる。


グリムはそれをギリギリのところで身を反らして回避し体勢を戻して拳の間合いに入ってくる。


ナイフ、特に逆手に持っている場合間合いは拳とそう大差ない。泥というフィールドは素早いグリムにとっては苦手とすべきフィールドだろう。


それでいて互角。この時点でグリムと俺の明確なまでの実力差がはっきりと分かっている。


「ガアアッ!!」

「がっ……!」


だが、それは勝利とはイコールでは繋がらない。

グリムのナイフを受けながら突進しその身体に突進を叩きつける。


グリムは泥の中を何度もバウンドしながらもすぐに立ち上がり俺の【硬拳】の追撃を回避しながらナイフを振るい右腕を切りつける。


痛みを歯を食い縛り耐え右腕の振るいグリムの身体を横に薙ぐ。


どんなに人の思考を持とうと、俺は熊。人間よりも遥かに身体能力は高いし人間以上に身体も丈夫だ。種族というのはたったそれだけで明確な差を与える。


距離をとりながら【殺戮】で伸びた間合いを利用して【硬斬】の斬撃を飛ばす。


起き上がったグリムはギリギリのところで回避しながらナイフを投げつける。


最小限の動きで回避しながら近づいてくるグリムの腹を蹴り飛ばす。


「ぐっ!?」


くの字に曲がったグリムの顔面を拳で殴り付け怯んだところに掌に【収束】させた空気の弾を直接顔面に叩きつける。


空気の弾で顔をグシャグシャにしながら吹き飛ばされたグリムはそれでも立ち上がり俺に向けてナイフを構える。


強いな。肉体ではなくその折れない精神が。だが、俺と目を合わせた事が命取りだ。


【幻視】を発動させグリムをたった一瞬で動きを止めさせて歩いて近づいて殴り、気絶させ地面に倒す。


ここは使い時だ。このまま終わらせるには勿体ない人材だが、致し方ない。生憎とこっちも殺されたくないからな。


それに、【幻視】を使ったと思わせるよりも速く意識を落としてしまえば問題ないしな。


たった一瞬で終わらせてやる。それが手向けになるかは知らないし、一方的なものだかそのまま受けとってもらう。


「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


勝利の雄叫びと共に泥を一気に真上に上げ泥の中に倒れるグリムを泥の波の中に押し潰す。


完全に埋まったところで土を元の固い土に戻し完全に生き埋めにする。


名付けるなら『泥下埋葬』と言ったところか。流石に土属性の魔法を発動させれる人間がいるのなら難なく回避できるだろうが、グリムは土属性の魔法は使えない。


【Lv.四〇からLv.四一になりました】


どうやら息絶えたようだな。……レベルの上がり具合が異様に小さいな。ランクが上がるごとにレベルを上げるために必要な経験値というべきものが多くなっていると考えて良いだろう。


「グリムぅ!!」

「てめぇ!!」


あぁ、そういえば二人は生き残っていたな。


地面に這いつくばりながらこちらを睨み付けてくる二人を俺は興味を失ったオモチャを見るような目で見る。


速度を封殺する方法も人間と熊との肉体の実力差の再確認もできた。殺す事も、することの意味もない。


「【ロックショット】!」


だが、敵対するのなら容赦しない。


倒れながらも放たれた岩の弾丸を【硬拳】で粉砕し、地面を蹴り一気に肉薄する。


「おおおおおおッ――ガッ!!」


間を遮ったザルツを速度を落とさずに【硬斬】で頭を切り落とす。


庇った……いや、これは……!


「【ロックバースト】――!!」


涙を流しながら掲げた掌から岩の砲撃が放たれる。


なるほど、この感じれる魔力。バニィのほぼ全ての魔力をこれにつぎ込んだのか。おおよそ、俺とグリムが戦っていたときに打ち合わせしていたのだろう。


だが、無駄だ。


掌を岩に触れた瞬間岩は形を歪める。


岩は一瞬で泥へと姿を変え地面におち泥は土へと戻っていく。


魔力で作られた岩だろうとその主成分はここら辺の土だ。流石に虚空から岩を作り上げるのは無理だしな。そんな事ができるのなら既に俺がしている。


そして、その土は俺が最初に魔力の糸を接続させておいた。お前はそれに気づかずに魔法使った。


選んだ原材料を間違えたな。これが風属性の魔法や水属性の魔法ならどうなっていたか俺には分からなかったが、ここら辺の土を使用すれば俺の魔力という起爆剤が魔法を破壊する。


本来ならありえない状況に絶句するバニィに歩いて近づき【硬拳】を振り落としその頭を殴り潰す。


力を使えない、得物がない……そういった全力を出せない状況にするだけで敵はあっさりと倒せる。自分が実力 


だがまぁ……最後まで仲間を思って散ったのは評価に値するか。あのクソッタレな帝国の兵士たちと比べれば確実にな。


土の魔法で二人を埋葬し終えると道から外れて洞穴を作って横になる。


全く……勝つためとはいえ姑息な戦い方が増えたものだ。これが【悪魔種】の説明に書かれていない性質なのか、はたまた【悪辣】なのかは定かではないがな。


とりあえず……今は治療の方に専念するか。一日寝れば大体の傷と疲れは治るだろうしな。


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