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攻撃検証

「はあァァァァァァァァァァァ!!」


ザルツのナイフの連続攻撃を避けることなく身体に受けていく。


耐えながら拳を握り打ち出すが回避され縦の回し蹴りを頭に入れられそのまま後方に飛ばされる。


火力ならこっちの方が上だが……当てれないと意味がない。


それに、こいつらの本来の戦い方はグリムが動きを押さえる盾を、ザルツが相手の撹乱する役割を担い、バニィが止めを刺す役割を担っていたのだろう。


だが、


「ザルツ!あと三〇秒で傷を完全に治せるよ!」

「ありがとな、バニィ」


今はバニィは傷を受けたザルツを回復させているため行動できていない。


てか、三〇秒で傷を完全に治せるというのはかなりの【治癒魔法】の使い手だな。アタッカー兼ヒーラーとみて間違いないだろう。


その間にザルツを行動不能にしなければならないな。


「グルル……」


【並列思考】を発動させザルツの連続攻撃の中で冷静な思考を積み重ねていく。


これを使用してれば戦いの雰囲気に呑まれて気分を高揚させる事もないからな。


三〇秒の間にザルツを殺す事は可能。だが、その場合魔法を使うか【幻視】を使う必要も出てくる。


ラスティアの事もあるしここで俺が【悪魔種】である事を見抜かれるのは非常に困る。そのため【幻視】等の幻術は使えない。てか、【幻術】はどうやって使うんだよ。


となれば、魔法を使うか。


「【フレイムランス】!」


ザルツが飛び退くと同時に空中で掌を上げ炎の槍を作り上げ投擲される。


俺が慌てることなくゆっくりと避けると同時に地面に着弾し地面に穴を空ける。


【熱耐性】と【火属性耐性】があるからある程度の威力の緩和はあるだろうけど流石に食らうのは面倒だな。


だが、そっちがその気ならこっちだってやってやるよ。


再び接近しナイフを振るってくるザルツに視線を合わせることなくナイフを【硬斬】で受け止め弾く。


体勢を崩したザルツがナイフを投擲してくるがそれを頭を傾けて回避しつつ繋がれた糸を【硬斬】で軽く切る。


「対応してきやがっただと!?」

「焦るな、ザルツ。そいつは並みの大熊じゃない!肉体のスペックはCランクだが適応力と頭の回転速度はBランク以上だ!」

「分かったぜ、グリム。【フレイムブレス】!」


飛び退くとの同時に口から炎の激流を吹き出させるため土の壁を瞬時に作り出す。


あれ、今糸に魔力を流す動作をいれていなかったな。魔法もスキルの一種だし【硬化】とかと同じ方式でできるかもしれないな。


まぁ、そこら辺は用途にもよってくるな。


「【ロックアローズ】!」

「ガアアッ!!」


土の壁の上から飛来してくる岩の矢をたちを何本から身体に打ち込まれながらも回避する。


何本か当たって身体に刺さっているがこの程度なら行動に支障が出るほどではない。


「シャアッ!!」


壁を蹴って飛び白い靄を纏い短い呼気と共に目の前に着地するザルツの逆手のナイフを左手の魔力の糸で防ぐ。


それと同時に右手の魔力の糸で足を絡め糸を切りそのまま地面と接続させる。


魔力の糸はそれ単体でも充分な武器になる。ブラックウルフ一〇〇頭狩りの際に実際に使ってみて分かった事だからな。


まぁ、速度が上のやつに通じるかどうか分からなかったし、あまり上手く使える自信がなかったから使っていなかったが、ここで使う羽目になるとはな。


「くっ……!?これは、魔力の糸!?」


それを見抜くか。だがもう遅い。


動こうとしても動けないことに驚くザルツの腹に【硬拳】を打ち込み土の壁にぶつけそのまま粉砕する。


足の糸が切れたザルツはそのまま地面に倒れこむが手で腹を押さえながら立ち上がり俺を睨み付ける。


そして腰に装備していたナイフを抜き取り逆手に持って駆け出す。


敵に向かって臆することなく行動するのは見事だが、もう既に遅い。


「がっ!?」


俺の魔力の糸は切れただけでその呪縛から抜けきれると思うな。


間合いに入りナイフを振るう直前、足に残った魔力の糸が再び地面に接続しザルツの体勢が崩れる。


糸とはいえその本質は魔力。切れた糸を縫合させ再び繋げることは容易い。まあ、俺と近くなければ繋げれないけど。


でも、これでお仕舞いだな。足が素早いやつは足を潰すことが有効だとを分かったしな。


「させるかぁ!!」


邪魔だ。


拳を振り上げた俺の目の前にザルツと割って入ったグリムが縦に剣を振るってくる。


咄嗟に【硬化】させた左手で防ぎながらカウンターで右手の【硬拳】を放ちグリムを吹き飛ばす。


「死ねぇ!!」


その隙に糸を切ったザルツのナイフの切り上げを腹に受けて仰け反る。


だが、仰け反りながらその顔面を【硬化】させた足で蹴り飛ばし身体を仰け反らせる。


骨まで響いた感触はした。だがまだ生きてるだろうな。止めを指しておくか。


「させない!【ロックショット】!」


真横から飛んできた岩を【硬拳】の裏拳で砕きながら飛来した方向を見る。


撃ってきたのはバニィか。そりゃあ、治癒する相手がいなければ攻撃してくるか。


相手も手傷はおっているが三人が参戦している状況……仕方ない、そろそろ良い感じに時間が経過したしそろそろ良いかな。


「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


【硬斬】を纏った爪を縦横無尽に振るう。たったそれだけで充分だ。


「キャアッ!?」

「がっ!?」

「一体なにが!?」


おっと、グリムは範囲に入っていなかったか。


地面に帯びただしい量の跡を生み出しバニィとザルツをズタズタに切り裂き戦闘不能にさせるとグリムの方を見る。


さて、残るのはグリム一人だけだな。


「……やってやるよ、大熊」


怒りに満たされた眼で鎧を脱ぎ捨てると足下に落ちていたザルツのナイフを逆手に持つ。


そういえば、グリムは聖王国の密偵だったな。なら、ナイフの方が得意だよな。


「ガッ!?」


刹那、グリムの姿がぶれた瞬間俺の身体にナイフの斬撃が幾重にも刻まれる。


再びグリムの方を見ようとした瞬間グリムのナイフで右腕をズタズタに切り裂かれる。


ちっ……!速すぎるだろ……!?


腕の傷が次第に治しながらグリムの方を見定める。


その瞬間グリムはナイフを投げつけてきたため腕を反らして回避する。


だが、ナイフは軌道を変え俺の背中を切り裂く。


「グルッ!?」


魔力の糸か……こういった使い方も出来るんだな。


魔力の糸を切り裂き背中のナイフを地面に落とし血まみれの右腕の血を舐めながらグリムの方を見る。


「分からないと思うが」


右手のナイフを肩と平行に構えながらグリムは呟く。


「俺は密偵や斥候に長けた第五師団の人間だ。その中でも俺は対人戦は得意中の得意だ。……まさか、魔物でありながら人と同じくらいに頭を働かせる魔物がいるとは思ってもいなかった」


……そうか。だが、構わない。


拳を構えると同時に【忍耐】を発動する。


こっちもこっちで反則技を使わせて貰う訳だ、相手が自分の十八番を使うのは別に構わない。


「だが、構わない。私も久方ぶりに全力を出せるのだからな!!」


それはこっちのセリフだ。ここで潰させて貰うぞ、グリム!!




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