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地熊決着

「オォ……」


呼吸を静かに整え、爪を構える。


地面を先程よりも強く蹴り一気に接近を開始しする。


あいつの肉体を倒すには【硬拳】や【硬斬】ではだめだ。どんなに火力が高まったところであいつが引き出せる治癒力の方が高い。時間をかけて戦うのなら相手の方が圧倒的に有利だ。


だが、これを行うためには相手に肉薄しなければならない、さっきと変わらないが……だが、そろそろだな。


ヤングアースベアーは当たり前のように腕を振ると幾つもの地面から杭を放つ。


それを止まることなく【硬斬】を振るい急所に当たるものだけを切り落とす。幾つもの杭が突き刺さるが【硬化】した筋肉に塞がれ上手く刺さることはなく落ちていく。


「オオッ!」


ヤングアースベアーが軽く吼えると背後の地面から幾つもの針が飛んでくる。


咄嗟に背面を【硬化】させ防ぐと地面から槍を取り出して蹴り飛ばす。


回転しながら飛んで来る槍をヤングアースベアーは驚きながらも難なく回避する。


やはり、ヤングアースベアーの【魔法強奪】は制御された魔法しか使えない。そうでなければさっきの攻撃の制御を奪えば良いのだからな。


地面と接続した糸から魔力を流し幾つもの槍を生み出しては蹴り飛ばす。


「ガアアッ!!」


ヤングアースベアーは回避出来るものは回避し当たりそうなものは【硬化】で防いでいく。


まぁ、狙いはかなり大雑把だし避けられたり防がれたりしても問題ない。


「ガアアッ!!」


あまりの一方的な展開についに怒ったヤングアースベアーは幾つもの土の槍を生み出して放つ。


よし、かかった!!


最初の一つをギリギリを避けると後から飛んで来る槍を全身を【硬化】させ防ぐ。


相手が槍を射ってる間に左手の糸を一気に手繰り寄せ魔力を流し魔法を発動させる。


「ガアッ!?」


その瞬間、ヤングアースベアーの足下の土が泥になる。


その瞬間、素早く地面を蹴る。


相手は【並列思考】のスキルを保有していない。それは【記憶保存】でしっかりと記憶を保存してあるから間違いない。物事を同時に考えれない以上二つのスキルを、それも精密な魔力の操作が必要となるスキルは同時に使うことはほぼ不可能だ。


となれば、魔法を使っている時には【魔法強奪】を使うことができない。そのタイミングで相手の行動を奪う!!


「グオオッ!!」

だが、相手も速い。すぐに俺の魔法の制御を奪う。


だが、もう遅い。既に俺の間合いだ。


泥から土に戻し反撃しようとするヤングアースベアーの胸を赤い靄がかかった【硬斬】で切り裂く。


「ガアアッッッッッッ!?」


傷口から夥しい量の血を吹きながらヤングアースベアーは飛び退く。


俺は未だに泥の部分を元に戻してヤングアースベアーを睨み付ける。


ちっ……まだ泥の部分に踏み込んだせいで体勢を崩してしまい傷が浅かったか。だが、このくらいなら問題ない。


元より、こいつにはもう既に選択肢はない。


「ガア……?」


ヤングアースベアーは傷に手を当て【治癒魔法】で塞ごうとする。


だが、傷は塞がらない。それどころか血はポタポタと手の隙間から地面に落ちる。


傷を着けた時、俺は【不血魔爪】を使用した。使用中は十段階もレベルが下がってしまうがそれでも防御を貫くために【硬斬】を使用した。


【不血魔爪】のせいで下がったステータスは……体感で大体ヤングアースベアーと同じくらいか。


「グルル……」


そして、相手もそれを野生の勘で気づいているな。


そう思っているとヤングアースベアーは立ち上がり拳を構える。


これでこいつも時間制限がついた。条件は対等、こっちも本気で潰すしかない。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」


俺が猛々しく【咆哮】し地面を蹴るのと同時にヤングアースベアーも地面を蹴る。


僅か数歩で間合いに入り、左手の魔爪を突きだす。


ヤングアースベアーは頭を傾けて避けてカウンターと言わんばかりに【硬拳】を突きだす。


拳を右手の魔爪で往なし左手の魔爪を切り上げる。魔爪はヤングアースベアーの胸を易々と捉え肉を裂く。


「オオオッ!!」


だが、怯まない。


痛みを堪えたヤングアースベアーの【硬拳】が俺の胸に直撃し僅かに後退する。


くっ……レベルが下がっている状態じゃ防御力も下がっているか。俺はステータスの成長が良い反面、下がるとその分の落差が大きい。今も防御力が元の状態の時と同じ対応をしてしまった。


下がったステータスの対応を上手くしないと、手慣れてるであろうヤングアースベアーに負ける。注意しないとな。


「ガアアッ!!」


ヤングアースベアーのラッシュが俺の身体にのめり込む。途中で【硬化】を発動させ衝撃を分散させる。


そして、見切った拳を右手でヤングアースベアーの腹に掌底を打ち込む。


ヤングアースベアーはそれも耐え再び【硬拳】で殴りかかってくる。


殴りかかってきた拳は空を切り魔爪が肩を切り裂く。


【幻視】。一回で見分けられるだろうが……ここで使わなければ確実に殺られる。ここは切るしかないだろ。


「オオオオッ!!」


再びヤングアースベアーはラッシュを仕掛けてくるがそれを全て魔爪で往なしつつ浅い傷をつけていく。


さっきのラッシュを保存しておいたお陰で攻撃の癖が読みやすい。そして、読めるのなら隙を突くことくらい、容易い。


「ガアアッ!!」


両手の魔爪を逆クロスに振り上げて両手を切り飛ばす。


お前は【硬拳】を使っている。【硬化】で殴りかかっていたのなら分からなかったが【硬拳】なら見分ける事ができる。俺が愛用しているスキルだからな。


その状況なら腕を切り飛ばすことぐらいは造作でもない。


驚く間も無く返すように魔爪をクロスに振り下ろし胸に大きな傷をつける。


臓物を切り落とした感触がした。【不血魔爪】も使用していたし、確実に殺れたな。


「ガッ……アッ……」


ヤングアースベアーは地面に倒れ傷から溢れる血はすぐに血溜まりになる。


ふぅ……ジャイアントキリングされそうになったな。高い殲滅力がある相手には俺はまだ弱い。


【Lv.三〇からLv.三八になりました】


レベルも上がったか……つつ、戦闘が終わったせいか頭の頭痛も戻ってきたよ。とりあえず【並列思考】を切って、今日は休むか。


地面に手をつき洞穴を作るとヤングアースベアーを引きずりながらその中に入る。


とりあえず、【追放術】で異界に飛ばして……傷を癒すためにも、さっさと寝るか。土は基本的に温度は一定だし寝るには十分な環境だ。


【アクティブスキル:暗視を入手しました】


あ、際ですか。



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