第二進化
【進化先:ヤングブラッドベアーランク:D+】
【進化先:メタルベアーランク:C+】
【進化先:幻想死熊ランク:C】
【進化先:ヤングアースベアーランク:D+】
暗闇の中で画面を開き果実をムシャムシャと食べながら進化先を確認する。
画面は明るいから暗闇でも安心して見れるな。そして、やっぱり果物は良い。焼いた薫製肉と良く合う。
さて……とりあえず一番最初から見ていくか。
【二回目以降の進化について】
あん?二回目以降の進化に何かしらのメリットでもあるのか?
【二回目以降の進化の場合血を追い求める【吸血種】、自然の魔力と一体化した【精霊種】、悪逆の呪いを帯びた【悪魔種】等の特殊な肉体に変質する事がある。
また、【逸脱種】を保有していた場合これらの進化に拍車がかかる
進化系統は【逸脱種】を保有していた場合変える事ができる】
要するに、前の進化のように普通の魔物ではなくなる可能性があるということか。
ナイス注意喚起。俺はどっちでも良いが……とりあえず、出てきた【精霊種】と【悪魔種】の説明をよろしく。
【精霊種:進化系統の一つ。
自然を愛する者に救済を、自然を壊す者に破滅を与える怪物。
自然の魔力に適した肉体を持ち属性魔法に対する適性と耐性がある。
進化した場所により適性と耐性は変動する】
【悪魔種:進化系統の一つ。
万物を誑かし、欺く禁忌の怪物。
闇や幻術、魅了といった癖が強い魔物が多い。
進化条件に【殺戮】が必要とする】
方向は違えど精霊種も悪魔種もどちらも魔法に長けた種族だというのがよく分かる。
だが【悪魔種】。【殺戮】を絶対条件にしているお前はなれば絶対にろくでもない事になりそうな気がする。とりあえずこの方向性で進化するのはなるべく回避しよう。メリットがあればするけど。
さて、前支度も済んだし……進化先の情報を出してくれ。
【ヤングブラッドベアー:D+
【吸血種】
血に飢えた悪辣の若き熊。
高い素早さと狡猾な知恵を持つ。
永遠の都【パンゲア】を一夜にして火の海に変えた。
進化条件:Lv.三五以上であること。
血液系スキルを一つ以上保有していること】
【メタルベアー:C+
愚鈍にして破壊の大熊。
筋肉、皮膚、毛が鋼に等しい硬度を持つ。
魔力の通りが極めて良い。
進化条件:Lv.三五以上であること】
【幻想死熊:C】
【悪魔種】
影に潜み幻覚を操る若き悪魔。
幻覚を操る魔法を扱い、小国をたった一夜で破滅させた。
能力の上昇値はそこまで高くない。
進化条件:Lv.三五以上であること。
パッシブスキル【殺戮】を保有していること】
【ヤングアースベアー:D+
【精霊種】
大地に根差し、大地を愛する精霊。
極めて魔力が高く、土属性魔法との親和性が高い。
かつて、ヤングアースベアーを怒らせた退廃の都【ビクシム】はヤングアースベアーのたった一度の魔法で滅ぼされたた。
進化条件:Lv.三五以上であること
魔力の適性があること】
……ところどころ、えげつない文章が入っているな。
まず、ヤングブラッドベアー。これに関しては最も危惧していた【吸血種】の進化先だ。確実にろくでもないスキルが入る事が確定してしまう。
だが、俺の死蔵状態の血液系スキルのデメリットを無くせれるのは凄まじいメリットになる。あのスキル群はデメリットさえなければ凄まじいスキルばかりだしな。
次にメタルベアー。正直に言ってこれが一番無しだ。
現状の戦い方を続けるのなら一番ありになるだろうが、今後は確実に手札が少なくなる筈だ。そうなれば、既存の戦い方が通じない相手には弱くなる。
確証は、ある。俺の戦い方は一対一ならかなりの効力になるがブラックウルフのような統率のとれた多には圧倒的に弱すぎる。
だが、これは少なくとも、魔法の使用にメリットがあるスキルを入手できる進化先ではない。
残るは幻覚死熊とヤングアースベアーの二つだが……どちらも一長一短なんだよな。
【悪魔種】である幻想死熊は幻術を得意とするトリックスターだ。能力の上昇値が低いのは難点だが……俺には【転生者】がある。デメリットを帳消しにするぐらいはできる筈。それに、幻術というのは応用がかなり利く筈だし少なくとも無駄にはならない。
それに対して【精霊種】であるヤングアースベアーは単純に強い。土属性の魔法をより強く発展させれるならこっちの方が良さそうだ。
ただまぁ……俺は素早さが低くて逃げる事が出来ない事が多い。だからこそカウンター戦法を生み出したのだが……幻術で逃げることができる幻想死熊の方がメリットは大きい。
決めた。俺は幻想死熊になろう。
【それでは、進化を始めます】
あれ、この画面は前の進化にはなかったような気が
「グッ!?」
身体の内側から暴れ狂う熱に俺は地面に倒れる。
身体が熱い。前の進化よりも遥かに。熱耐性が働いているのにも関わらずこの熱さ、普通じゃない。
視界が完全に暗いから自分の身体が今どうなっているのかが分からない。
だが、分かる。前の進化よりも遥かに別のものになろうとしていることが。
【アクティブスキル:幻術を入手しました】
【アクティブスキル:幻視を入手しました】
【パッシブスキル:悪魔種を入手しました】
予想していた幻術系のスキルが入手できた。やはり進化したメリットがある。
【アクティブスキル:罪禍の虚眼を入手しました】
……雲行きが怪しくなってきた。
【アクティブスキル:幻夢の魔霧を入手しました】
【アクティブスキル:虚ろ瞳を入手しました】
【アクティブスキル:他心通を入手しました】
【アクティブスキル:召喚術を入手しました】
【アクティブスキル:追放術を入手しました】
【アクティブスキル:五業堕としを入手しました】
【パッシブスキル:悪辣を入手しました】
【パッシブスキル:非道の獣を入手しました】
【パッシブスキル:悪魔信仰を入手しました】
うわー、どう考えても厄介なスキルばかりだー。……これ、本当に後戻りできるの?どう考えてもヤベェスキルばかりじゃん。
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名称:なし 種族:幻想死熊
Lv.一
攻撃力:一二二
防御力:一四四
素早さ:一〇一
魔力:一一八
アクティブスキル:【硬化】【硬斬】【硬拳】【収束】【放出】【土属性魔法】【探知・嗅覚】【忍耐】【血液陶酔】【不血魔爪】【吸血魔爪】【殺戮魔拳】【戦乱狂演】【幻術】【幻視】【罪禍の虚眼】【幻夢の魔霧】【虚ろ瞳】【他心通】【召喚術】【追放術】【五業堕とし】
パッシブスキル:【転生者】【逸脱種】【押し潰し】【ランナー】【剛力】【拳打】【毒耐性】【痛覚耐性】【魔力操作】【自然治癒】【熱耐性】【火属性耐性】【殺戮】【狂戦士】【百頭狩り】【狩人】【悪食】【悪魔種】【悪辣】【非道の獣】【悪魔信仰】
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魔力と素早さが上がったな。攻撃力と防御力はそこまで上がらなかったが……充分か。
それにしても、こうやって見てみると……うん、スキル欄が見にくい。もう少し見やすく分別できないのだろうか。
「おい、これを見ろ!」
「酷い……一体だれが!?」
まぁ、そんな事を言ってられる場合ではなさそうだな。
薄い土の壁の外から怒号が聞こえて僅かに驚きながら壁の近くに立つ。
間違いなく、あの騎士たちの同僚だろう。となれば、俺を見つければ確実に殺しにかかるだろう。
「おい、こっちに血痕が続いているぞ」
「探せ!仲間の仇だ!」
相手も無能ではないようだしここが見つかるのも時間の問題のようだ。
さて……彼らをどうしようかな。とりあえず、倒すのは当たり前として……新しく手に入ったスキルを積極的に使っていくか。
あまり意識してはいなかったがスキルの使い方や効果は何となくだが感覚的に分かる。感覚に確証がないからステータスで見ていないスキルを使わなかったが、今は見ている時間がないし、敵の数もかなり多い。
仕方ない、今回ばかりは感覚を頼りにさせて貰うぞ。