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食べ物集め

「オ~ン、オ~ン、オ~ン!」


鼻歌混じりに手作りの籠を背負い森の中を探索する。


ブラックウルフの燻製を作りスキルの確認をし終えて速くも数日が経過して……俺は食事に飽きてしまった。


代わり映えのしない燻製肉や狩ってきた蛇や狼の生肉を食べる日々。


どんなに栄養があっても何日も食べてれば幾らなんでも飽きる。誰だって質素な料理よりも高級な食事の方が良いと思ってしまう。


それに、食事は人のモチベーションにも直結するのだ。不味いレーションも何日も食べていれば飽きる。飽きてきたのは致命的でそれでモチベーションが死んだら色々と困る。


それなのに、こういうときに使えるのが塩やコショウと言った調味料だが……そんなもの、手元にはない。あったらこんなに苦しむしかない。


そうやって悶々と思い悩んでいた後、俺は一つの事を思い出した。


あ、確か熊は雑食だったな、と。


基本的に熊は肉食だが、必要に応じれば植物を食べる。特に、日本と呼ばれる地域の熊はその傾向が強い。


味に飽きたのなら野菜や果物を食べれば良い。そう思い立ったのだ。


その後、何度も失敗しながら数日をかけて木の枝と板で木の籠を作って今日、肉以外のものを取りに向かっている。


うん?この匂い……ヤングスネークかな。飛び出してきたら殺すか。立ち上がるのも面倒だしこのまま倒すか。


「シャアァ!」


動かずにいるとやっぱり飛び出してきた。本当に単純だな。


「ガアッ!」


飛び出してきたヤングスネークを身体の軸を基点に一回転し回避する。


それと同時に右手の拳をヤングスネークの腹に打ち込み動きをとれなくさせる。


止めに左手の【硬斬】で切り裂く。三つに分けられた死体を捕食するとさっさと歩く。


ふむ……やはり殺した相手が単体だと効果が殆んどないか。というのも、俺がブラックウルフ戦で手に入れたスキルがどれもこれも面倒なスキルなのだ。


【殺戮:一度のアクションで五十体以上を殺した者の証。

戦闘時間経過で攻撃範囲上昇。

進化に影響する】


【狂戦士:猛狂う獣の証。

理性消失状態時全ステータスを一〇段階上昇。

理性消失状態を一〇分で回復させる】


【百頭狩り:一度の戦いで百頭以上の獣を狩った者の証。

獣系の魔物、人間に対するダメージ量の増加】


【狩人:多くの獣を狩った者の証。

狩ったことのある獣を記憶。

索敵範囲が上昇。

木登りに補正。

道具の製作時品質上昇】


【狩人】は普通に使いやすいし、【百頭狩り】は魔物狩りに非常に使い勝手が良い。だが、問題は残り二つだ。


【殺戮】に関しては強力な魔物、若しくは魔物の群れと相手にしなくてはならない。そのため、今だにその能力を実感していない。強敵と戦うのは問題ないが……自ら見つけるようなものだとは思わないから使う機会がそもそもない。


【狂戦士】に至っては論外だ。意識して使うためには【血液陶酔】を使用しないといけない。あのお蔵入りにしたスキルを使うなんて論外でしかない。


【パッシブスキル:悪食を入手しました】


また厄介そうなスキルが手に入ったな。今度はなんだ?


【悪食:魔力の濃い肉を食らい続けた者の証。

エネルギーを最大一年貯蔵する】


無茶苦茶使えるな!名前とは裏腹に使い勝手が良すぎる。さすが【逸脱種】、スキル入手は本当に速いな。


……そういえば、この【逸脱種】という種族の基準がよくわかない。俺は何をもって普通から逸脱しているのだろうか。


大体の理由は【転生者】なんだろうけど、それ以外にもありそうな気がしてならない。


「ガウッ!」


スキルについて頭を悩ませながら拠点の東側を一時間ほど歩いていると赤い木の実がなっている木を見つける。


目を輝かせながら立ち上がると木の実を一つ枝から折って手に取る。


さっそく、いただきますか。


瑞々しい木の実を軽く齧り咀嚼して呑み込む。その瞬間、頬を弛ませる。


うめぇ……滅茶苦茶うめぇ……!瑞々しさに加えて仄かな酸味と甘さが癖になる美味しさだ。味は……葡萄に一番近いかな?ステータスがないからどんな果物か知ることか出来ない。けど、今までで食べた中で一番美味しい……!


とりあえず、取れるだけ取っておこう。保管場所は……地下で良いかな。煉瓦くらいなは魔法で作れるし、あの拠点に保管庫を作ろう。最悪の場合【悪食】でどうにかなるしな。


「ガウ~」


木の実を採れるだけ採って篭の中に入れると二足歩行出歩く。流石に四足歩行は無理があるからな、致し方ない。


地面の方を向きながら歩いているとトゲの着いたボールのような植物を目につける。


これは……うん、栗だ。イガもついてるし中身も問題ない。地面に結構落ちてるしこれも拾っておこう。後で小川に行ってあく抜きをしないといけないな。


落ちていた栗の中で虫に食べられておらず綺麗なものを厳選して篭の中に入れて再び歩き出す。


うーん……籠があるのは良いんだが、やはりと言うべきか腰にくるものがある。栗以外にも色々な木の実を入れてるし、中腰の体勢は保つのも大変だ。


はぁ……仕方ないか。


籠を地面に下ろし地面に手をつける。それと同時に魔力の糸を地面に流す。


「ガアッ!!」


僅かな咆哮と共に魔力の糸が起動し魔力が地面に流れる。


それと同時に手のついた土が形を変え変色していき、最後はアルミ製のトングとなる。


普通の物理法則ならアウトなんだろうが……魔法がある世界だし、魔法なら土を金属に変えることくらい造作でもないのかもしれないな。


さて、これで腰痛も解消されるだろうし作業を始めようかな。


籠を持ち上げて再び歩きながら食べれそうな植物を篭の中に入れる。


さて、一時間足らずで半分くらい籠に埋まってしまった。容器も足りないし一度拠点に戻るか。


拠点に戻ると地面に魔力の糸を垂らして魔法を発動、地下への入り口と部屋を用意する。


その次ぎに大小様々な石の壺を作り種類別にいれていく。その一つひとつに名前を書く。


よし、これで見分けもつけれる。……ここであの果物とかの名前まで知れればもう少し楽に保管できたが……まぁ良いか。


全ての壺を部屋の隅に置くと地面においておいた籠を背負って部屋を出る。そのついでに、出入口を魔法で封鎖する。


その上に立て掛けておいた木の板を何本か刺してその一つに「土属性魔法を使って地面を開けろ」と爪で彫る。


まぁ、臭いで大体の場所は分かるけど……一応な。異世界の事情は知らないが日本語と呼ばれる言語が使われていることはないだろう。


即興で作ったし内装はない。果物狩りを終えたら内装を改造しようかな。土属性の魔法があるから壊すのも一瞬でできるから助かるな。


さて、それじゃあ再び食べ物集めに行きますか。



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