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百頭狩り

「グルァ!!」


飛びかかってくるブラックウルフの頭を裏拳で弾く。


その瞬間開いた腹に三頭のブラックウルフが地面を駆けて噛みつきにかかる。


「ガアアッ!」


だが、それは読めてる。


一頭目を蹴り飛ばし二頭目にぶつけ三頭目を倒れるのと同時に手を地面に手をつき後に回転し蹴り上げる。


やはり脚を使う技術は得意じゃない。体勢を崩しやすいし、体格的に体重を支えるのはキツい。現に間接部に【硬化】を少しして何とか骨が外れたり折れたりするのを防いだくらいキツいのだ。


「「「「「グルァァァァァァァ!!」」」」」

「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


雄叫びと共に一斉に襲いかかってくるブラックウルフに突っ込む。


【硬斬】を爪に纏い一閃で腹を裂きその返す刀で隣のブラックウルフの頭を顎から切り裂く。


背後から襲ってきた個体に頭からのしかかり押し潰し横から噛みつこうとしてきたブラックウルフを蹴って他のブラックウルフを噛ませる。


正面からやってくるブラックウルフを【硬拳】で頭から粉砕する。


「「「オオオオオーーーーン!!」」」

「「「「オオオオオオオオオオーーーン!!」」」


遠吠えと共に再びブラックウルフたちの動きが変わる。


一頭一頭のヒットアンドアウェイから複数の個体による撹乱を織り交ぜられている。


一頭に対応して【硬拳】で攻撃するが回避される。それどころか相手に噛みつかれたり引っかかれたりと負傷が増えていく。


ちっ……いくら【自然治癒】があってもキャパシティオーバーな攻撃には耐えきれない。


それに、相手も上手い。数頭のブラックウルフの指揮によって他のブラックウルフたちの動きが変動しまくる。


数さえいれば国すら落とせる。それを実証するかのような指揮だ。


「ガアッ!」


だが、相手の欠点も分かった!


身体にしがみつくブラックウルフを払いのけ四足歩行に戻し地面を後ろ足で蹴り跳躍。一気に指揮官に肉薄する。


こういった群れは指揮官がいなくなれば簡単に瓦解する。俺に力を裂きすぎで守りががら空きだ!


地面に着地するのと同時に前足の爪で守りのブラックウルフを【硬斬】を纏った爪で切り裂き指揮官狼たちの身体を切り裂く。


よし、これで指揮官を倒した。これで相手の指揮も揺らぐ……!


「オオオオオオオーーン!!」

「「「「オオオオオオオーーン!!」」」」


背後のブラックウルフのから遠吠えが聞こえたと思った瞬間、立ち上がった俺に四頭のブラックウルフが突進する。


何とか足で堪えブラックウルフを振り払い立ち直るよりも速く頭を【硬拳】で殴り潰す。


全ッ然動じてねぇ!?普通なら指揮官が潰れれば少なからず動揺するはずだろうが……!


「オオオオオオオオオオン!!」

「「「「オオオオオオオオオオン!!」」」」

いや、こいつは違う……!!


突進してきたブラックウルフを投げ飛ばし、噛みつかれれば振り払い、攻撃の傷を受けていきながら思う。


こいつらは指揮官が存在する訳ではない。群れの長がいる訳ではない。


こいつらは全員が指揮官であり兵士なのだ!


そう考えれば全てに説得がいく。


守りが薄かったのは指揮官の代えがきくから。


動じないのは代えがいくらでもいるから。


最初から俺はブラックウルフたちの掌で踊らされていたということか……!


「グルルッ……」


自分の血も返り血も分からなった状態で俺はニヤリと笑う。


踊らされたのは俺の実力不足。文句を言うつもりは一切ない。だが、ここまできて五分。そろそろ試すときが来た。


口を開き足を力強く踏み込む。


周りの空気を【収束】させ、圧縮させ、チャージする。


【収束】は別に魔力やダメージじゃなくても別に構わない。それこそ、この空間に存在する空気ですら収束させれる。


そして、その出力は昨日の件で嫌という程知った。


「オオオオオオオオオオン!!」

「「「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!」」」」」」


ブラックウルフたちも俺の状態に気付き一気に攻める。俺の砲撃をキャンセルさせるつもりだろう。


だが、これはフェイク。


十秒のチャージ。良いタイミングで来てくれた。これなら多く巻き込める!!


「ガアアァァァァァァァァァァァァ!!」


【収束】させた空気の爆弾を真下の地面に向けて解き放つ。


着弾した瞬間、凄まじい量の空気が荒れ狂い近付いていたブラックウルフたちを凪払う。


「グルルルルルル……」


ほぼ全てのブラックウルフを巻き込まれ上空に飛ばされたブラックウルフたちは地面に落ち頭を潰す。


地面に叩きつけられても生きていたものはごく僅か。十数頭が精々と言えるだろう。


だが、俺も大きな代償を払った。


口からおびただしい量の血を吐き捨てる。


これだけの暴風を真正面から、一番近い位置で受けた俺はその衝撃波だけで内臓にダメージが入るのは当然だ。


だが、ここからが本気だ。


「「「「オオオオオオオーーン!!」」」」

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


指揮を捨てたブラックウルフたちと俺の最後の戦いが始まった。


【硬拳】を拳に纏い一頭を顔面から殴り飛ばす。その隙に二頭が俺の両肩に噛みつく。


それを力任せに振りほどき一頭の頭を【硬化】させた足で踏み潰す。


その瞬間、背後から襲ってきたブラックウルフの腹を肘鉄で弾く。だが、前から数頭のブラックウルフの突進で追撃がキャンセルされる。


数が少ない分連携の磨きがかかってやがる。なら……!


土に垂らした魔力で土を柔らかくさせ体勢を崩したブラックウルフの首に噛みつき首の骨をへし折り持ち上げる。


持ち上げた死体を他のブラックウルフに放り投げ目線がずれた瞬間地面を蹴り接近し【硬斬】を纏った爪で死体ごと切り裂く。


「ウォオオオオオオオオオン!」


二頭のブラックウルフのヒットアンドアウェイを【硬拳】で捌き右手の拳で殴りかかる。だが、その動きは見切った。


一頭の足を払い体勢を崩し腹に拳を打ち込み、死角から迫るもう片方を【硬拳】から【硬斬】に切り替えた左手で切り裂く。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


【咆哮】と共に両手に【硬斬】を纏い近付いてくるブラックウルフたちを切り裂く。


あと少しで……勝てる!!


「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「ガアアアアァァァァァァァァァァァァ!!」


最後の一頭の牙と俺の爪がすれ違い、最後の一頭は地面に倒れる。


よし……これで……勝てた!!


「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


雄叫びを空に向け響かせて周りの状況を見る。


地面には血の海が広がり、その中を百頭近くのブラックウルフが浮かぶ。まさに地獄と言って良い状態だ。


本当に数の暴力はキツかった……。連携もすこぶる良かったし何十回と腹や背中、肩に噛まれたことだか。


【Lv.八からLv.三三になりました】

【アクティブスキル:血液陶酔を獲得しました】

【アクティブスキル:不血魔爪を獲得しました】

【アクティブスキル:吸血魔爪を入手しました】

【アクティブスキル:殺戮魔拳を入手しました】

【アクティブスキル:戦乱狂演を入手しました】

【パッシブスキル:殺戮を入手しました】

【パッシブスキル:狂戦士を入手しました】

【パッシブスキル:百頭狩りを入手しました】

【パッシブスキル:狩人を入手しました】


うわっ、一気にレベルが上がった。【逸脱種】でステータスが上がり幅が大きくなっているはずなのに進化コールがないしまだ進化条件を満たしていないのだろうか。


それにしても……新しく入ったスキルが物騒だな。【狩人】以外絶対にろくでもない内容だろう。


だが……とりあえず今は移動しよう。


爪に残った糸を引き土の壁を破壊すると何頭かブラックウルフを担ぎ上げ歩き始める。


さっさとここから離れないと他の魔物が血の臭い誘き寄せられて戦う事になるだろう。疲弊している現状、今はここから離れる事を先決にした方が良い。


本当ならブラックウルフたちを食糧としてもう少し持っていきたかったがこれに関しては仕方ない。


はぁ……洞穴の中に入ったらブラックウルフを加工して干したら寝よう。


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