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今回短いです。間が空いてごめんなさい

 ぽかん、と状況を忘れてその人を見上げてしまった。

 知らない人だ。こんな目立つ外見の人、もし会っていたなら覚えていない方がおかしい。白髪赤目なんていう色合いのキャラクターも、ゲームに出てきていない。

 ただ、その声に、聞き覚えがある。


「どうぞ、お嬢さん。首塚の護り石なんて、結構なものをお持ちだねぇ」


 ぢりぢりと音を立てている根付を見て、その人は言った。

 中途半端な位置で止まっていた手に携帯を握らせて、首を傾げて私を見ている。

 首塚の護り石、という初めて聞いた単語も、私の耳はスルーしてしまう。

 この声は、だって、違うだろう。


「その音は護り石が警告として鳴らしているようなものでねぇ。そしてその警告は私の事だろうから、そう怖がらなくていいんだよ、お嬢さん」


 にっこりと。人好きのする笑顔を浮かべて、彼は言った。私は結構君たちには友好的なほうだから、と私になんてことないように言っている。

 その喋り方も聞き覚えがある。

 あたり姫は、サブキャラクターも声優陣は豪華だった。なんで攻略対象にその声をあてなかったんだ、というようなキャラも沢山いた。

 そのうちの一人に、ミステリアスで優しい声だったり、爽やかなのに胡散臭いような喋り方を得意とする、乙女ゲームにはよく出演している声優さんがあてられていたのだ。

 特徴的な声だから、聴けば「あっこの人!」とすぐに分かる。

 ファンの中には、この声を聞きたくてそのキャラクターに会いに行く人もいたほど。割といいキャラをしていたので、人気投票では攻略対象に次いで人気が高かった。


「お困りなら私の店へ来ないかい。護り石の加護があってもここにいるのだから、きっとお嬢さんの助けになると思うよ」


 手を差し伸べてくるその人は、肩につくくらいの白い髪を揺らして、にんまりと笑みを深くして、私の答えを待っている。

 いつの間にか根付は静かになっており、私の少し荒くてか細い呼吸音だけが耳につく。

 今見ている光景が、信じられない。


「そろそろ店を出す時間だしねぇ。運がいいね、お嬢さん」


 ぱっと彼が手を振ると、そこには今までなかったはずの屋台がある。

 小物から少しかさばりそうな絵画まで、いろいろなものが並んでいて、何屋なのか検討もつかない。強いて言うなら雑貨の屋台なのだろう。


「今のお嬢さんにぴったりの品もあるから、ぜひ見ていくと良いですよ」


 さわやかに。そうして、人当たり良く。警戒させないような柔らかな喋り方なのに、どことなく掴めないような喋り方。

 聞き覚えのある声をした人が、見た事のある屋台を手のひらで示している。

 乙女ゲームにはよく出演していて、アニメでは「全てを知っていて主人公を翻弄するキャラ」だったり「冷酷な幹部キャラ」だったりと、様々なキャラクターに命を吹き込むその声優の声をあてられていたサブキャラクターは。


「おっとそうだ、これをかぶっておかないと」

 

 どこからか取りだした茶色い紙袋を、ぼすっと音を立てながら頭にかぶったその人は。

 その姿なら、ゲームで何度も見たことがあるから知っている。

 ゲーム内では決して顔を見せなかったキャラクターは──首なし屋台の店主は、さあさあこちらへどうぞ、と私を手招いてみせた。

 

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