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俺はドMに目覚めない   作者: 幸運を殺す者
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第六十話 右目で見通す真実

今日の投稿分はこれで最後になると思います。


「よし・・・ナイ、あまり根を詰めるのも・・・良くはないだろう。」

「まあ、そうですね。」

「とりあえず・・・この池のある場所・・・この調査依頼中の・・・拠点にしないか?」

「いいですね。ここも冷えるには冷えますが、他の場所よりは風等を遮る木も多いです。」

「だが流石に・・・壁は欲しいな。」

「なら、糸製造、ストリング。」


ヘレナとの野宿時よりも遥かに糸の性能は上がっている。

強度、太さ、長さ、本数による密度。

それらを大幅に強化されたことにより簡易的な網戸の様な見た目の糸の壁で、木々の間を埋めることが出来た。

出入りのための場所を残したが、それでも中々に圧巻である。


「凄いな・・・これは・・・」

「まあ風は抜けますから、ここから補強は必要ですけどね。」

「いや・・・十分すぎる位だ・・・これなら・・・枝や葉を、集めれば・・・風を防ぐには・・・問題ないだろう。」


外に出向き、木々の下を静かに移動し枝葉を拾い集める。

速さを持つ者、少年故の小さな体を持つ者、隠密行動をするにはあまりにも適していた。


どうやら戻ってきたタイミングはほぼ同時だったようだ。

両手に抱えたフリーク、糸十本で巻き取る様にして持ってきたこちらの方が量は多かった。


「その糸、ずるいんじゃ・・・ないのか?」


少し弄らしい表情を浮かべながらこちらを見ている。


「まあ、量は多いに越したことありませんから。

何日かかるか分かりませんし、焚き火にも使えるので多めに取ってきました。」

「お前は・・・いや・・・なんでもない。」

「歳の割にですか?」

「あぁ・・・すまない。気が・・・利かなかった。」

「その言葉だけで十分ですよ。」


実際には同じくらいの精神年齢だろうからな。

まあ死ぬことが出来た過去の自分はもはや他人だから関係はないか。


一瞬の気まずさは生まれるが、こちらが気にしていないのが分かったのだろう。

糸の壁の補強をしていく。

大体の隙間が埋まったところでもう一度、今度は補強を抑えるようにして糸で挟み込んだ。


「流石だ・・・その胸の、宝石を持つだけのことは・・・あるな。」

「はい、この宝石が力を貸してくれていますからね!

ありがとうございます。」


友を褒められたようで妙に嬉しくなり、声を大きくしてしまった。

少し驚くフリークだったが微笑ましい物を見るように見ている。

子供の見た目が幸いしたか。


「そうだ、聞きたいことがあったんですけどいいですか?」

「なんだ・・・?なんでも、聞いてくれ・・・」

「この調査依頼、どうしたら終わりなんです?討伐、と思いきやあのバッグはありませんし。」

「そうか・・・言っていなかったか・・・少し、見苦しいかもしれないが・・・」


そう言うとフリークは自身の右目に指を入れ、まるで瓶の蓋を開けるように回す。

外れるとそれをこちらに見せて笑う。


「俺の右目は・・・義眼でな・・・お前の胸と、同じだ・・・

とある魔物の・・・宝石を、嵌め込んでいる・・・

そしてこの宝石にも・・・スキルがあってな・・・

レコード、という魔法が・・・常時発動している・・・」

「どんな効果なんです?」


「俺の目に・・・嵌めている間に見た物、その全てを記録する・・・

そして目から外したこの宝石に・・・

回復効果のある魔法を・・・かけるとだな・・・

その記録が、水面に映る景色のように・・・再生されるんだ・・・」


「なるほど、それが何よりもの証拠になると。」

「そうだな・・・そしてこの調査の目的は・・・この地の・・・生態系の変化を・・・見極めることだ・・・」

「まさに文字通りですね。」


「ははっ・・・そうだな。お前とこの場所に来た時に見た・・・

あの空を飛ぶ、魔物・・・何としてでも・・・

あいつをこの目で・・・もう一度見たい・・・」

「確かに、あの魔物からは強い力を感じましたね。」

「あぁ、この依頼はきっとあいつとの戦いをもって終わりになるだろう。」


フリークはそう言いながら遠い目をする。

しかし見逃さなかった、彼の口角がまた上がっているのを。

彼もまた、自分と同じように強者との戦いを待ち望んでいるのかもしれない。

共闘で感じた相性の良さ。

もしかしたら似ている部分があるのかもしれないな。

ここまで読んで下さりありがとうございます。


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