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俺はドMに目覚めない   作者: 幸運を殺す者
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第五十九話 確かな手応え

更新時間が安定しませんね・・・すみません。

頑張って今日はもう一話書き上げます・・・(希望的観測)


蛙は動く訳でもなくじっとその場で動かない。

こちらを取るに足らない存在だとしか考えていないのだろうか。

それとも警戒しているからこその様子見なのか。


均衡した状態をフリークが動かした。

斧槍の柄の端を持ち跳躍してから縦に振り下ろすように投擲をする。

柔らかそうなその皮膚は簡単に貫きそうな勢いで回転しながら襲いかかる。


しかし蛙は動かない。

避けることなくその場で受け止める。

斧槍は刺さること無く体表を滑るようにして明後日の方向に飛んでいってしまう。


フリークはすぐさま武器を呼び戻し構え直した。

そのまま一気に突進し斧槍を突き刺しにいくが、その攻撃は弾力性のある皮膚により弾かれてしまう。

蛙は依然として変わらずにじっと動かない。


「厄介・・・だな。ナイ、頼めるか・・・」

「ええ、試してみます。

血毒の防皮、糸製造、毒製造、ストリング。」


一度距離をとり、毒を纏わせた糸を地面すれすれでゆっくり這わせていく。

蛙のすぐ側まで近づいた瞬間に一気に糸を近づけ口の中に糸を入れる。


これには警戒したのか少し仰け反って避けるが、こちらは十本の糸を這わせている。

半分は躱されたがもう半分は口の中だ。

舌を五本の糸で頑丈に縛り付け、一気に引く。

自分の体の部位が意思と反して動いたことにより蛙の目に動揺が見える。


「フリークさん!」

「分かって・・・いる。地烈斬・・・」


引き出した舌にスキルで強化された振り下ろしを放つフリーク。

先程までの投擲や突進とは比較にならない速度に避けようと仰け反るが、それは結果として自身の舌をより張った状態にしてしまう。

なるほど、先程まではあえてスキルを使わずに油断を誘ったのか。

そんな風に考えている間、巨大な肉が地に落ちる。


「ストリング。」


口内から出血したのだろう。

慌てて吐き出そうとする蛙の口を一気に糸で縛りあげる。

抵抗しようとするがそこに再びスキルを使って近づくことで威嚇するフリーク。

一度それで斬られたのだ。

今度はスキルを使わず近づくだけでも蛙は抵抗できなくなる。


結果蛙は迷ってしまい動けない。

少しの時間が経ち、遂には動かなくなる。

最後の瞬間には目を真っ赤に染め上げて、自身の血液で蛙は溺れ死んだ。


「見事・・・だ。」

「フリークさんこそ、スキルの使うタイミングを見極めてますね。」

「ふっ・・・」


基本的にフリークに前衛を務めてもらい、こちらは支援に集中。

タイミングを見て前衛を入れ替わり、遊撃に切り替わってもらう。


たったの二戦だが、かなりの相性の良さを感じた。

その手応えはフリークも感じているようで、フードから見える口角が少し上がっているのが見えた。


蛙が現れた方向に進むと木漏れ日の刺す空間に出た。

そこには雪もなければ氷も張っておらず広めの池があった。


「ここで・・・一旦、休憩・・・するか。」

「ええ、そうしましょうか。」


池の見える場所に腰掛ける。

ふと顔を上げるとこちらを見つめるフリークと目があった。


「はじめて・・・お前と組んだ感想を、言っても・・・いいか?」

「えっあっはい、構いませんよ。お願いします。」


「凄く楽しかったんだ・・・待って欲しい時は、待ってくれる・・・

かと言って・・・前に出て・・・戦えない訳じゃ決してない・・・

好機に・・・畳み掛ける判断力も・・・持っている。

俺が・・・求めるものを、お前は・・・持っていたんだ。」

「そこまで褒められると照れますね。ありがとうございます。」


あの時笑っているように見えたのは、この感情を抑えきれなかったのだろうか。

そう考えるとなかなかに可愛げのある人である。


「水・・・飲むか?」

「池のですか?流石にあまり飲みたい見た目ではないですね。」

「あー・・・喉は、乾いているか?」

「それは。まあそれなりには。」

「なら、任せろ・・・この水、飲めるように・・・してやる。」


そう言ってフリークは立ち上がって池のすぐ近くまで歩いていく。

ベルトに掛けてある大きめの革の水筒を取り出すと、しゃがみこみ池の水を汲んでいった。


「フィルター・・・」

「魔法、ですか?」

「あぁ・・・使い方次第じゃ・・・耳栓としても・・・使える。」

「今回は池の水の中に含まれている、汚れをふるい落とすのに使ったってことですか。」

「そんなところ、だな・・・ほら。」


近くまで歩み寄って水筒を手渡してくれた。

躊躇うことなく口をつける。

周囲の空気が冷え込んでいるからか、水は飲むのにちょうど良いくらいには冷たくなっている。

なおかつ汚れと共に余計な物が含まれていない水は、喉を通り過ぎていく感覚がとても良かった。

そこまで喉は乾いてなかったはずだが、あまりの美味しさについ飲み干してしまった。


「すみません。すごく美味しくて飲み干してしまいました。」

「ははは、構わん・・・まだまだ、こんなにも・・・水はあるからな。」


そう言って親指を立てて背後の池を指さすフリーク。

見知った関係だけでは想像のできないようなそのお茶目な行動。

ついつい見ていたこちらも笑ってしまい、その場は和やかな雰囲気に包まれた。

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