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俺はドMに目覚めない   作者: 幸運を殺す者
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第五十八話 氷原の歓迎会は魔物と共に

最近仕事が忙しく三話更新が守れず申し訳ございません。

それでも閲覧して下さり、読者の皆様には感謝しかありません。

ありがとうございます。

まだ寒さもある暗い夜に目を覚ます。

昨夜はいつの間にか寝ていたようだ。

しかし早朝までは少し時間がある。

試練の時に使った塩と火打石の入ったリュックだけ準備しておく。

ひとまず横になり胸の宝石を撫でる。

そういえば昨日はそのまま帰ってしまった。

ギルドに行くついでに水浴びでもしておこう。


この時間でも利用者がいるようで、沸かしているのか湯気がたちこめていた。


「ナイ・・・か。はやいな。おはよう。」

「フリークさんでしたか。おはようございます。」


普段はフードを被っているため気づかなかった。

どうやらもう少しで出ようとしていたらしい。


「少ししたら・・・ギルドに、集まろう。」

「はい。」


一言交わすと出ていってしまった。

汚れを洗い落とし軽く浸かってから出てギルドに向かう。

ちょうどリーゼが来たところだったらしく、フリークと話をしながら鍵を開け中に入っていった。


「おはようございます。」

「おはよう、ナイくん。」

「さっきぶり・・・だな。」


経緯を説明し、出発の準備を整える。


「じゃあ・・・リーゼ、行って・・・くる。」

「はいはい、行ってらっしゃい。」

「行ってきます。」



西方の関所へ着くと兵士には顔が知れているらしく、特に何も無く通してもらえた。

関所を通り少し歩くと、周囲の木々や土に霜が降りているのが分かる。

道もところどころ氷が張っているようだ。

特に言葉を交わすことも無く進んでいく。

周囲の地表を雪と氷が覆い尽くした頃だろうか。

一瞬風が強まり大地を影が走り抜ける。

空を見上げると、雲に隠れ赤い光が二つ瞬きながら横切っていった。


「今のは・・・」

「フリークさんも見ましたか。」

「あぁ・・・あんなのは・・・ここでは見たことも無い。」


二人して空に気を取られていた時だ。

地響きと共に大地が隆起していく。

地表の氷を砕くようにして白い何かが飛び出してくる。

その先端は口になっており、赤い口内の周囲に黒い歯がびっしりと埋め尽くされている。


「ナイ・・・奴を・・・抑えつけてくれ。」

「はい。糸製造、ストリング。」


両の手から放たれた十本の糸は、関節のない軟体なその体を次々と締め上げていく。

耳をつんざくような高音の叫び声が聞こえるが、糸による拘束を緩めるようなヘマはしない。


近くから風を切る音と共に斧槍が投擲される。

直線的に投げられたその刃は白い体に一筋の赤い傷をつける。


「来い。」


流れるように武器を呼び戻し再び投擲。

眷属武器召喚を活かした戦い方で四方八方から次々に傷をつけていくフリーク。


「糸が・・・切れるかもしれない・・・切れ次第、再び拘束を・・・」

「分かりました。」


切れた糸を伸ばして再び拘束をしていく。

十本ある以上どれかは必ず残る。

そして傷がつく度に糸は深くその体を締め付けていく。

やがて白い体が赤く染った頃、糸の締め上げによりちぎれていくつかの肉塊へと姿を変えた。


「援護・・・感謝する・・・こいつの血は・・・幻覚作用が、あってな・・・」

「なるほど、そういうことでしたか。」


安心したのも束の間、長い舌が地面に寝そべる白と赤の軟体を喰らっていく。

目前には周囲に生える木よりも大きな体。

表面は鮮やかな青緑色をしており、光の反射から湿っている事が分かる。

喰らった肉を飲み込むような動きを見せた後、大きく息を吸い込みその体を膨らませる。

瞬間、嘔吐くような特徴的な鳴き声が周囲に響き渡る。


魔窟の氷原に足を踏み入れたことを歓迎するかの様にして、その巨大な図体をもつ蛙は大きな口を開き舌を揺れ動かしていた。

ここまで読んで下さりありがとうございます。

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