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俺はドMに目覚めない   作者: 幸運を殺す者
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第五十三話 予定外の帰還

夜勤の影響で昨日も二話しか更新出来ませんでした。

申し訳ありません。


体を元に戻し一息つく。

花で作られた自然のベッドに横になり空を見上げる。

影を作っていた黒い雲もどこかへ消え、そこには満点の青空が広がっていた。


やはり命のやり取りは楽しい。

あの龍の霧に触れると何かを奪われるという性質。

それが妙な緊張感を体に与えていた。

胸に住まうもう一人の住人。

友である彼ともう一度会い殺してもらうため、今死ぬ訳にはいかないと心から思っていた。

はじめの一撃を防がなければ死ねていたのかもしれない。


だが無意識にそれは避けようとしていた。

はじめてこちらの思惑を理解し、本物の殺意を向けてくれた相手。

魔精宝石をその体に求めるほどには既に自我があるにも関わらず、この体を殺すために生かしてくれている。

その気持ちを無碍にしたくなかった。


全てこちらが都合よく解釈しているだけとも取れるのだが、取っ組み合いになった時の事実がそれすらも否定する。

あの時何も対応は出来ていなかった。

霧に貫かれ残り半分の心肺も奪われていただろう。

そうなればまた、ブラッドスパイダーの体を再生させ補う可能性は十分にある。

より早い完全復活のためならそうするべきだったのだ。

寄生して生き長らえる程の生存本能の持ち主だ、本来自身の生存機能の回復を優先するだろう。


彼がこちらを守るために行動を起こすメリットは存在しないのだ。

つまりは予想通り彼もこちらを殺すために色々と考えてくれているということだ。


横になりながら考えているとグロリアが戻ってきた。


「ナイ・・・なのか?」

「あぁ、龍は途中で逃げていった。」

「そんな意味じゃないの。いや、待って、そうよね。なんでこの二〜三日の間私はこの場所に来ようと思わなかったの・・・?」

「何を言ってるんだ?」


来るなり何か困惑しているようだ。グロリアは一人でブツブツと喋っている。


「ナイ、とりあえず私の背中に乗って欲しいの。峡谷の上まで送るから。」

「そこに何か用があるのか?」

「あなたがあるはずなの。一応聞きたいんだけど霧には当たった?」

「いや、全て回避したはずだ。」

「そう、なら間違いないのね。あの霧は空間にまで及ぶ。」

「空間?」


「花畑が暗くなるほどの影、雲じゃなくてあれも霧で作られたものだったの。」

「つまりどういうことだ?」

「あなたに逃がしてもらってからもう三日経ったの。私は定期的にしている見回りをしに来ただけ。」

「霧に時間を奪われたのか?」

「えぇ多分ね。あなたとあの龍が戦っていた間、花畑中の空間は常に時間を奪われ続けていたんだと思うの。どれほどの間戦ってたかも、どれほどの効果でそうなったかも分からないけど。」

「なるほど、少し頭が困惑しているが送ってもらう。」

「安心して。もう着いたから。」


話をしている間に遠目で関所が確認出来る場所にまで来ていた。


「ありがとう。別れの挨拶がちゃんと出来ないのが申し訳ない。ヘレナにも伝えておいてくれ。」

「いえいえ。逃がしてくれた恩人をド忘れしていたのだからこっちのが悪いくらい。」

「ド忘れって言葉の段階越えてるだろ。

とりあえず報告はお前らに利があるようにする。」

「ありがとう、落ち着いたらまた来なさいな。ヘレナも待ってるもの。」

「あぁ、そうしよう。じゃあまた。」

「ええ。」


最後の言葉が聞こえた頃には、もうグロリアの姿は消えていた。

まずアレックスのいる関所へと向かおう。

今回は矢の雨の洗礼はなく、何事もなく関所の門を叩く。


「おおっ!よく無事に戻ってきたのである!少し遅れたようであるがまあ良しとするのである!」

「ああ…っとえぇ、すみません。」

「手応えはどうだったであるか?」

「とりあえず声の原因と思われる大型の魔物を始めとした数体の魔物は倒し、周辺の調査もしてきたつもりです。」

「なるほどなるほどそうであるか!

報告するのはギルドでするとよいのである!クラス昇格で肩を並べれることを祈ってるのである!」

「ええ、ありがとうございます。」


ここからは真っ直ぐ進めばいい。

北の関所につくと暇そうに座っている兵士が一人いた。


「ん、お前は・・・久しいな。闇の精霊王スキル持ちの冒険者か。」

「ああ、どうもお久しぶりです。」

「ギルドマスターのアンガス殿から依頼を受けたという話は聞いている。通っていいぞ。」

「ありがとうございます。」


薬草依頼の時南の関所にいた兵士だろう。

顔を覚えてくれていたようで助かった。

いちいちステータスを公開するのも億劫だ。


しかしあの花畑についた時は早朝だった、今は昼過ぎだろうか城下町にも人が賑わっている。

もちろんグロリアが嘘をつく意味もなし、アレックスの反応から間違いなく日付が経っているのは事実だろう。

にしても時間は順当に過ぎているから違和感が異常である。


ギルドにつくと外まで聞こえていた冒険者達が静まった気がする。


「おい。あれがそうか?」

「間違いないぞ。」


何やら小声で話をする声が聞こえる。

受付にはリーゼがいる。報告ついでに聞いてみよう。


「どうも、クラス昇格試験から戻りました。」

「はぁ、お疲れ様。」

「どうしました?周りの様子も少し変ですし。」

「あのねぇ、ナイくん。あなたがそれじゃ・・・」

「おいィ!ナイじゃねぇかァ!!おめえ生首いくつ送ってきてんだァ!こっちは大騒ぎだぞォ!!」


「すみません、三体いたので頭だけで百は越えないと証拠にならないかなと。」

「いやァ…マジかよォ、おめえそれであんだけ送ってきたのかよォ、気持ちわりィな。」

「とりあえずクラスブラックを一種間の間に三体、しかも明確には二日で納品してるんだから異常よ。

その後もクラスレッドを数体ってどうかしてるわよ。」

「そのくせ途中から納品がからっきしだからなァ!偏りすぎだよてめェ!!」


まあそれは確かに偏りすぎだったかもしれない。

いくら龍の影響で三日分の時間を奪われたからとはいえ、峡谷を降りてからは何も納品していなかったのだから。


「すみませんでした。大型の巨人の出現時、探索対象の鉱山が破壊されてしまい、その瓦礫をどかしながら探索をしていたもので時間ばかり経ってしまいました。」

「おっとまじかァ。そりゃまあ仕方ないな。

声に関しては原因は分かったのかァ?」

「初日に遭遇した石像からは呻き声のような物が聞こえ、先程説明した巨人から人の叫び声のような物が聞こえていました。

どちらも討伐しているので解決は出来たかと思います」


「なるほどなァ。よし、わかったァ。

とりあえず今日は休めェ。昇格についてはまた明日説明するよォ。

そんとき詳しい話を聞かせてくれやァ!」

「わかりました。宿舎に戻ります。」


とりあえず明日は人の少ないタイミングを狙い足を運ぶことにする。

納品が少ないことを詰められると厄介だ。

今日のうちから会話の計画を立てておこう。

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