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俺はドMに目覚めない   作者: 幸運を殺す者
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第四十六話 霧と光に隠された地

鉱山跡地につくと、周囲がやけに薄暗く見えづらくなっていることに気付いた。


「これは・・・霧か?」


どうやら霧はかなりの広範囲を包んでいるようで、ここまで来れば見えていた実験場すら見えなくなっていた。

気になって辺りを見回していると、突如とてつもない突風が襲い立っていられなくなる。

無意識にしゃがみこんでいると、一瞬強くなったのを最後に風は止み目の前に何かがいる気配がする。

目を開けるとそこには見覚えのある姿。

蒼い瞳でこちらを見る黒い龍の姿があった。


「ブラックミストドラゴン・・・」


こちらの言葉を意に介さずゆっくりとその頭をこちらに近付けてくる。

だが全くの敵意が無い。不思議と感覚でわかった。

近くで聴こえる鼻を鳴らしている音。

どうやら匂いを嗅いでいる様だ。

鼻息が顔にあたり妙にくすぐったさを覚える。

しかし嫌という訳ではない。

次の瞬間、顔に伝わるざらついた舌の感触と獣の様な匂い。

その後鼻息を一度満足そうに鳴らしてから、再びこちらを一瞥し一気に息を吸い込んだ。

あたりの霧が全てその龍の口に取り込まれていく。

霧が無くなったと同時に起きる突風。

気付いた時には目の前からブラックミストドラゴンの姿は無くなっていた。


「なんだったんだ。」


餌として認められたならばその場で完全に食して欲しかったが、既にいない以上その願いは叶わない。

目的が本当に分からないので、とりあえずは頭の端に入れて置いて忘れることにした。



しかし霧が晴れてもなお、視界が見えづらいのには変わりない。

切り替わったと言った方が正しいかもしれないが、今この周辺には光る粉が舞っている。


肌に触れても特に何か起きる訳でもない。

吸い込んでも体に異常はきたさない。

上から降ってきているのではと思い見上げたが、光る粉と陽の光が反射して眩しくて何も見えない。


やがて土の色が光のカーペットに包まれた時、その粉を降らせた存在が現れる。

それは決して直接目で見ることは叶わなかった。

何故ならば少しでも上を見あげようものなら、宙を舞う粉で眩しくて何も見えないからだ。

だが、自身の体が水面に映るかのように地面に反射してるのを見て分かった。

自分の姿を利用すれば、上にいるだろう粉を降らせた存在を見ることが出来るのではないかと。


立つ位置を調節し陽の光が影になるよう立った時、地面にその姿が映し出された。

それはまるで大きな光だった。

だが光が宙を舞っている訳はない。

その光もその姿に映し出されたものなのだ。


「蝶々?いやここまで粉を出すのは餓か?」


どちらかまでは、いやどちらかであるかすら分からない。

だがそれは姿と体から出す粉、その両方が反射する鏡のような性質を持つ存在なのだ。

それだけは、分かった。


視界の中で光が反射を繰り返す。

近づかれている気がした。

不意に体を襲う脱力感。

一瞬で気を失っていく感覚。


目を覚ますと辺り一面は光に包まれている。

眩しくて目が開けられそうにない。

すると体を襲う脱力感。

気を失っていく感覚が訪れる。


目が覚める。

自分で影をつくり、地面に反射する宙を舞う光を見ると一回りほど大きくなっている気がする。

しかも明らかにその光が近づいてきている。


「白光の巨腕。」


光から何かが出ていたのか、突如現れた白き腕によって一度それを防ぐことに成功する。

しかしすぐ後に体を襲う脱力感。

意識は再度失われる。


「白光の巨腕、糸製造、ストリング。」


背中から頭部にかけてを糸で守る。

どうやら再び防げたようだが、先程よりもゆったりと全身を覆う脱力感。

意識が遠のくのも時間がかかる。

まるで転生直前に感じたような深さ。

しかし死ぬことは許されない。

目が覚める。

そして気づいた。これは個ではないのだ。


「糸製造、ストリング。」


回るようにして糸を振り回していく。

糸から伝わる何かがぶつかり潰れていく感触。

大地に山になっていく光、いや虫か。

粉だと思っていたものも、大きい光だと思っていたものもその全てが小さい虫に過ぎなかったのだ。

凄まじい量の虫の群れに襲われ血でも吸われていたのだろう。


「いい感覚だった、ありがとう。また会えたら頼むよ。」


一瞬でも死に近い感覚を味わえた。

その事に感謝を告げその場を後にする。


鉱山跡地の奥に足を踏み入れると、霧と光によって見えなくなっていた景色が見えるようになっている。

そこには台地を割るようにして出来た峡谷が広がっていた。

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