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俺はドMに目覚めない   作者: 幸運を殺す者
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第四十五話 うつろう心

朝の日差しが顔に当たり、ふと目を覚ますとヘレナも同じタイミングで目を覚ましたようだ。

あまりにも近すぎる顔の距離に照れてしまい、互いに慌てて姿勢を正す。


「おはよう、ヘレナ。」

「おはよう、ナイ。」


「「・・・・・・」」


「お腹、空いたな。二人で魚採りいこうか。」

「うん!」


何者も食欲には勝てないのだ。

川につくと、ヘレナが口を開いた。


「ナイ。私が代表して改めてお礼を言います。

私と同じ実験に使われて殺された皆を、あの場所から出してくれて弔ってくれてありがとう。

その汚れを洗い落としてもナイがやったことは無かった事になんてならないと思う。

皆絶対、感謝してると思うから。」


驚いた。

落とさずにいたこの汚れ、ヘレナの指摘通り無かったことにしたくないからこそ残していたのだ。

だが、確かにそうだ。

むしろ思い上がっていたのかもしれない。

これは完全に自己満足でしかないのだから。


「分かったよ。それとどういたしまして。」

「うんっ!じゃっ服脱いで、洗ってくる。」

「助かるよ、その間魚でも採って待ってる。」


服を脱ぐときにやけに体を見られた気がしたが、気の所為だろう。


「白光の巨腕、糸製造。」


昨日のリベンジだ。

ほぼ殴りにしか使っていなかった気がするが、穴掘りの時は一回たりとも力加減を間違えていない。

いける気がする。

四本の腕から紡がれる糸は流れるように編まれていき、手頃な大きさの網を作り上げた。


「よしっ!」


確かな手応え。

網の耐久も申し分なかった。

川で投げるように使い、捕らえた中でも体の大きい魚だけを残し他は逃がしていく。

血抜きを終えた頃には、乾いた綺麗な衣服をもったヘレナがこちらに歩いてきていた。


「・・・?もう乾いたのか?」

「風の精霊の加護の効果だよ。周りの風を自分の近くに集められるってスキルなんだけどね。」

「それで乾かしたのか、便利だな。」

「うんっ!いい奥さんになれる。」

「あぁ、そうだな。」

「・・・」


急に黙ってしまったヘレナと共に野宿をしている場所に戻り朝食にする。

魚を焼いている最中も彼女は黙っていて、火に当てられたのか顔が赤くなっていた。


「ナイは・・・いつまでここにいるの?」

「今日合わせて、四日ってとこか。」

「っ!そしたらさよなら?」

「王国には戻ることになるよ。」

「じゃあ、その時にさよならだね。」

「一緒に来ればいいんじゃないか?」

「ごめんね、王国には入りたくない。」

「ここには強い魔物が出るから、さ。」

「うん?」

「冒険者って儲かるんだ。だから建材とか買ってくるよ。」

「それって?」

「簡単な小屋でも建てて、ここを拠点にするよ。」

「っ!!」


それを聞いて抱き着いてくるヘレナ。

死ねるまでの期間だけ、その間だけでも彼女と共に過ごすのはいいんじゃないかと思っていた。

情が移ったのかと言われれば否定はできない。

だがこちらを下手に詮索しない彼女とは、なんだか上手くやれる気がしたのだ。


「ほら、焼けたぞ?」

「おさかな、食べる!」

「食べ終わったら鉱山があった奥に行こうと思う。あのあたりに何があるかを調べたいんだ。」

「分かった。勝手について行くけどいい?」

「それは勝手にじゃないな。いいぞ。」

「良かった。」


自分が死のうとしている。

その話をしたらどんな反応をするのだろうか。

目の前で美味しそうに魚を食べるヘレナを見てそんなことを考える。

だがそれを考える程には、自分は彼女に入れ込んでいるのだろう。

もし話せる時が来てそれを話した時に、出来ることならば祝福して受け入れてほしい。


そんな在りもしないだろう時を想像しながら食べ終えた魚の骨を焼く。


「ヘレナ、先行ってるから。ついてくるなら勝手に。」

「はふっもぐ!うん!」


まだ食べ終わっていなかったので、声だけかけて先に向かう。


「白光の巨腕、糸製造、ストリング。」


四本の手から糸を出せるようになったおかげで、移動もかなり素早く出来るようになった。

これでいつでも迅速に強者の元へ辿り着ける。

やはり死ぬために強くなるという判断は間違いではなかったと思う。

強くなろうとしたからこそ、今ここにいる。

あの巨人とも出会えた。


今日はどんな出会いがあるのだろう。

試練の期間はまだ半分残っている。

予定早倒しで高クラスの多いこの地で死ぬことが叶うかもしれない。

森よりも強者が多いこの地で・・・

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