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俺はドMに目覚めない   作者: 幸運を殺す者
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第四十二話 王国が捨てた大地に隠された真実

血抜きをする中、小さい魚には刃を入れずそのまま逃がしてやる。

大きい魚だけ残しても六匹は確保出来た。


「よし。糸製造。」


三匹ずつで縛り、両手にもって野宿した場所へと向かう。

糸を張ってあるのでなかなか分かりやすかった。

どうやらヘレナはもう起きていたようだ。


「あっ、ナイ!それお魚、たくさん!」

「あぁ、昨日の夜は何も無かったからな。」

「ありがとう!」


早速焼き始める。

火の調節をしながら今日の予定を考える。

探索予定地であった鉱山はその面影をなくし、声の原因も石像や巨人を倒したことにより排除した。


早速目的を失い行き詰まってしまったのだ。

だが鉱山跡地を正面にして左手側はまだ探索していなかった気がする。

環境調査も兼ねているのだ。

散歩がてら向かうのもいいかも知れない。


「ナイ、ナイ!そっちのお魚焦げそう。」

「ん、あーありがとう。」


見ると皮がうっすらと黒く焦げている。

逆にいい具合で焼けたかもしれない。

しかし考え込むと何にとは言わないが入ってしまう。

あまりいい癖とは言えないだろう。


「よし、食べるか。」

「うん!たべよう!」


とりあえずは目の前の魚に集中しよう。

無我夢中で食欲にその身を委ねるヘレナを見習わなければいけない。

死ぬためにはそれ以外の全ての要素にも全力を尽くすべきなのだ。

死は一日にしてならずと、そういうことだろう。


「食べながらでいい。聞いてくれる?」

「うん!」

「今日は鉱山があった場所を正面にして左手側、まだ行ってない場所に行こうと思ってる。」

「・・・やめた方がいいよ。」


急に神妙な顔で止めるヘレナ。

何か理由があるのだろうか。


「なにか理由があるなら、ここで休んでいていい。」

「うん・・・ごめん。そうさせて。」

「大丈夫、元々一人で探索するのがここに来た目的だから。」


珍しく考え込み、若干顔色を悪くしているヘレナ。

だが気遣い何もしない訳にはいかないだろう。


「出来るだけ早く戻ってくる。」


元々一人だったのだ。

ひとまず気にしないで行動するのが一番だろう。


先端にナイフを通した糸を木にかけ、ターザンのようにして素早く移動する。

崩れてしまった鉱山地帯には、そこまで時間をかけず辿り着くことができた。


地面に降りてからしばらく歩くと、そこには大きな石造りの砦のようなものがあった。

入口は錆びているが鉄格子で出来ており、重厚な雰囲気を感じる。

しかしその周囲には重い雰囲気が嘘のように花々が咲いている。


一輪ずつ種類が違う物を選んで手折り、リュックにしまっていく。

ここまでの数の花々が踏み荒らされず、そのままの状態を維持出来ているのもなかなかに不気味である。

何かあるのかもしれない。

この砦を探索しよう。



入口の鉄格子は鍵がかかっていた。

普段通り毒に頼ってもいいが、今回は力技を試してみるのもありかもしれない。


「白光の巨腕。」


特に何もしなければ大人程の大きさなのだろう。

白い筋肉質の腕が肩より現れる。

さてこの腕、どれほどの強度があるのかは気になるところだ。

力試しだ。

このままの大きさを維持するために力を入れず目一杯振り抜き殴りつける。


「っくぅ〜。」


金属同士がぶつかりあったような音と腕に電気が流れるような痺れる感触。

鉄格子を完全に破壊するには至らなかったが、若干強度では勝ったのだろう。

殴りつけた鍵の付近はへしゃげており、そのまま開けることが出来た。




砦内は薄暗いが燭台が等間隔で配置されており、いくつかの小部屋に分かれているようだ。

奥を見ると螺旋状の階段があるのが薄らと見えるが、やはり暗くてはっきりと様子は伺えない。

備えあればなんとやらだ。

火打石を持ち出しておいて正解だった。


燭台に火をつけていくと、壁にはところどころに黒茶色の液体が染みついていた。

小部屋の入口も鉄格子になっているのだが、壁を見てからだと錆ではなく同じ液体がついてから乾いた事が分かる。


「これは・・・」


ヘレナが嫌がっていた理由はもしかしたらこれが原因なのかもしれない。

実験で作り出された。

その事実が不意に頭をよぎる。


小部屋の入口の鉄格子は簡単に開くことが出来た。

入った途端に感じる焦げたような鉄の匂いと少しの腐敗臭。

部屋の端には鎖とそれに繋がれた手枷足枷が乱雑に投げ出されている。


小部屋の中の燭台に火をつけると、壁一面に広がる染み付いた液体の跡が浮かび上がる。

それはまるで人型にも見える。

注視してみると、その人型の手足の部分に鎖をつなぐような細工がされているのが分かる。


「あぁ、ここは。」


間違いないだろう。

ここは砦などではない。

周りの花々は少しでも明るく見せるため。

建物自体の重厚な雰囲気は、事実を知らぬ人間が簡単に立ち入らないようにするため。

鉱山からそう遠くない場所に配置されていたのは、実験により生み出したそれらを奴隷として扱い重労働をさせるため。

これは王国が特殊種族を作り出すために使っていた。


「実験場か。」


国が特別立ち入り禁止措置を敷いたであろう真の理由が、そこにはあった。

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