第二十九話 二人の時間
外はまだ暗く、まだギルドに誰も来ていないようでその扉は固く閉ざされていた。
朝一にバックを受け取る用事を済ませようとしていたのだが仕方がない。
宿舎に戻り、何の気なしにステータスを開く。
Lv30 ナイ
年齢8
職業 冒険者
ライフ 75/75
魔力 120/120
攻撃 78
防御 68
魔法攻撃 0
魔法防御 1
素早さ 81
運 8
スキル一覧
・短剣装備時攻撃上昇Ⅱ・短剣装備時素早さ上昇Ⅱ
・短剣攻撃時攻撃上昇Ⅱ・短剣攻撃時素早さ上昇Ⅱ
・一対の刃 ・飛来刃 ・武器眷属化
・眷属武器召喚 ・眷属武器解除 ・離さない手
・血毒の防皮Ⅲ ・糸製造Ⅲ ・毒製造Ⅲ
・ストリング
・闇の精霊王からの贈り物『ライフイズペイン』
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関所での戦闘でレベルが1上がり、おそらくブラックミストドラゴンのブレスで胸部が欠損していたのか魔法防御が1減っている。
それは確認済みだったのだが、もしかしたら眠っていた時の一件でだろうか。
深く宝石と繋がったのか魔力という項目がステータスに追加されていた。
さらに血毒の防皮にあった宝石の項目が消え、スキルが成長していた。
そして糸製造、毒製造の成長済みのスキルも獲得していることに気づく。
あとはストリング?これも糸関連のスキルだろうか。
とりあえず詳細を見ると、糸と毒は文字通り製造系のスキルで任意発動型。
ストリングに関しては魔法系ー操作で任意発動型/代償発動型と出た。これがリーゼの言っていた枝分かれと言うやつだろうか。
試しに使ってみると、チクッとした針に刺された痛みと共に手のひらから1本の丈夫そうな糸が出た。
両手で1本ずつの糸が出せるようだ。
「ストリング」
垂れ下がるだけだった糸に命が吹き込まれ、手から直線上に糸が伸びていく。部屋の端まで届いたのだが、これ以上伸ばせるかどうかは外へ出ないと試せないだろう。
毒に関しては、宿舎に影響が出る可能性を考え使うのはやめておいた。
しかし製造系、そして魔法系は任意発動型の受けた説明通り魔力を消費するようだ。
戦闘系はその限りではないのだろう。今まで使えていたことがなによりもの証拠だ。
スキルで遊んでいると、陽の光が城下町を照らし出す。ちょうどいい、朝はリーゼの担当だ。
バックを取りに行くついでに聞いてみよう。
ギルドに入ると、受付で座って台に突っ伏して寝ているミリーナの姿があった。
彼女もクラスイエローの冒険者、スキルについては互いの認識を擦り合わせる形で確認出来るだろう。
しかしまあ急ぎでもないのだ。
他の冒険者もいないようだし、無理に起こしてバックを受け取り、スキルの情報を聞き去っていくのでは、もはや強盗だろう。
椅子を持ってきて、受付の前で座り起きるのを待つことにした。
持ち出し厳禁と書かれた、ギルドに置いてある植物図鑑を読みんでいるとすやすやと眠る彼女の寝息が止まった。
「うわぁっナイくーん!!」
「っなんです!?」
流石にびっくりした。図鑑に集中していたからなおさらだ。
しかしそれに返事はなく、彼女を見るとゆっくり起きて目を擦っている。
こちらの姿を見て、1度だけ瞬きをした。
「うわぁっナイくーん!!」
「・・・おはようございます。」
「おはようー、ごめんね寝てたよ〜。今日は朝からナイくんに会えたからハッピーだね〜。」
「よく分からないですけど、よかったです。」
「えへへ」
どうやら一回目のは盛大な寝言だったようだ。全く同じ反応をすることに若干困惑しながら挨拶を交わす。
そうだそうだ聞きたいことがあったんだ。
「すみません、ちょっとミリーナさんに聞きたいことがあるんです。」
「むむっ?いいよー。お姉ちゃんになんでも聞いて〜。」
「・・・スキルの事なんですけど、戦闘系の任意発動型スキルって魔力無しで使えますよね?」
「そうだよー。戦闘系のスキルってのは、その体に身についたものを引き出すって感じだからね〜。逆に魔法系、製造系ってのは無いものをその場に生み出すから魔力が必要なんだよ〜。」
「なるほど、すごいわかりやすいです。ありがとうございます。」
「いえいえー、あっそうだこれこれ。」
ふと思い出したように受付台の下からバックを取り出すミリーナ。
「クラス昇格の試練受けるんだってね〜。凄いよー。これがバックだよー。」
「ありがとうございます。試練の期間が終わったらここに返しに来ればいいですか?」
「うん、帰ってきた時に報告と一緒に預かると思うから、だいたいそんな感じだね〜。」
「わかりました。じゃあ、行きますね。」
「えーもういなくなっちゃうのー?誰もまだ来ないから暇なのー。」
「えぇ・・・じゃあいるだけならいいですよ。図鑑読んでます。」
「うーんじゃあ、それでいいかー。」
どうやら渋々納得してくれたようだ。なぜか彼女に頼まれると断りにくい雰囲気がある。
しかし図鑑を読みながらすごく視線を感じ、顔を上げるとニコニコしながらミリーナが見ている。
少し怖いな。
今すぐにでも逃げ出したいが、一応自分で言ったことなので諦めて図鑑を読むのに集中することにした。
沈黙ではあったが、意外にも有意義な時間を過ごせたので良かったのかもしれない。
明日からは、一人で一週間過ごすのだ。
彼女なりに息抜きをさせてくれたのだろうと思い、顔を向け感謝の印に柄にもなく笑顔を見せた。
じっと見つめるのはやめていたようだが、たまたまこちらを見ていたようで照れるように顔を逸らすのが妙に心地よかった。
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