第一話 望まない始まり
「おにいさん、おにいさーん!!・・・寝てるのかな?起きてー、起きてよぉ」
幼い少女の声で意識が覚醒する。
しかし俺は間違いなく死んだはずだ、死ねたはずだ。
まだ生きているなんて、そしてこんな幻聴が聞こえるなんて不幸あってはならない。
「寝たフリしてるのバレてるよ〜?おーきーてー」
少女の声は煽るようにこちらに語りかける。
現実を信じたくないため思考を続ける。
さてこれは死んだ後に見る夢のような物なのかもしれない。
「ちがうよー夢じゃないよ〜」
少女の声はこちらの思考に返事をするように無情にも続けられる。心を読まれた驚きで一瞬体が反応してしまった。
「ぁはあ・・・やっぱり起きてるぅ」
失敗した・・・百歩譲ってこの声の主に起きてることを勘づかれたことに関しては構わない。
なによりも恐ろしいのは今、自分の体があることを認識してしまったことだ。
感覚がある・・・つまり俺は生きている・・・間違いなく・・・
「んぅ?あぁおにいさんそれを心配してたのぉ?大丈夫だよ、おにいさんはちゃんと死んだよ〜」
意味がわからない。このクソアマは何を言っているのか。
死んだのに意識が、体があるなんてことはありえない。
「ひっどぉーい!初対面で女の子にそんな言葉使うなんてひどい!許してあげるから、とりあえず起きてお話しようよぉ・・・そのありえないってことについて説明してあげるから!」
ふむ・・・そろそろこの思考に返事をされ会話を強制される意味不明な状況にも辟易してきたところだ。
仕方がない、そう仕方がないのだ。
半ば諦め気味に体を起こし目を開く。
「は・・・?」
この目に映る景色は・・・広がる景色は白、白なのだ。白としか言えない。
無限に広がる白。まるで自分もその一部であると勘違いしてしまうほどの濃度の白。
しかしその中に、その調和を乱す者がいる。
白でない者がいる。
否、俺はそれを少女であるとは思えなかった。
否、俺はそれを人間であるとは思えなかった。
否、俺はそれを動物であるとは思えなかった。
否、俺はそれを物であるとは思えなかった。
無限にも広がる飲み込まれそうな白の中に少女の声の主であるはずのナニカがいた。
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