第十七話 いくつもの首が落ちる森
「やったぞ・・・」
絞り出したその一声はすぐに痛みに呻く声に変わる。
その後の光景は狂気以外の言葉では言い表せなかった。
頭を失った体は、それでも立つことをやめず、両手に持った武器を捨て体中を掻き毟るようにしながら痛みに悶える。
その全てを失った頭は痛みに声を上げようとするも、その器官を持たないせいで声にならない。
それでも耐えられないのだろう、空気が抜けるような叫びをあげる。
やがてそのどちらも糸が切れたかのように脱力する。
体はその場に崩れ落ち、座り込んだような姿勢に、頭は白目を剥き口と首から液体を垂れ流す。
数秒後、不意にその体が動き出す。
まるでさっきまで休憩していたかのように自然に立ち上がる。
その体の頭部は、持ち主の希望と反して失われてはいなかった。
「これで死ねないのかよ。くそスキルが・・・」
足元に転がる自分の顔をした球体を蹴り飛ばして呟く。
思い出したかのようにステータスを開くと魔法防御が11から10に下がっていた。
「欠損で魔法系のステータス下がるのは確定か。」
淡々と事実を受け入れる何かを話すそれは先程まで痛みに苦しんでいたのだ。その頭と胴体を切り離された状態で。
生物の本能からか、恐怖からか、切り離した魔物は眺めることしか出来なかった。
だがすぐに我に返り、再び攻撃を始める。
「仕方ない。悪いが死ぬのに忙しいんだ。」
先程効いたはずの攻撃はその手にもつ短剣で弾かれる。爪ごと指が裂け、悲鳴をあげ動きを止めてしまう。
「痛いよな、わかるよ。でもそれだけだ。」
追撃が来る、避けなければ。その判断をしたのはあまりにも遅かった。
無意識的に自身より体が小さいそれを、彼は侮っていたのだ。
本来なら力で、速さで圧倒できるはずだった。
しかしそれには、ナイにはスキルがあった。
両の手に持つナイフで猿の、エイトモンキーの首に突き立てる。
次の瞬間に地に落ちた首は、毛深く不気味な顔をした魔物の物だった。
仲間を殺し、見下すそれの不意を突き魔物は木の上から強襲し爪を首に突き立てる。
否、突き立てたはずだった。
しかしその爪が、手が貫いたのは地面であった。
「そういえば、1匹見たら8匹いると思えだっけか。」
躱されたのはわかった。しかし勢いをつけた攻撃がもたらした結果は、その腕を簡単には地面から逃がさない。
二つ目の魔物の首が落ちる。
そこからは圧倒的だった。
数で囲もうにも、彼らの有利はもはや崩れてしまっている。
先制攻撃の時、倒せなかったことが彼らの敗因だ。
仲間が二体もやられて、物怖じしない者はいない。
それでも誰かが行けば、追従するように連なる。
だが、恐怖で統率の取れていない群れが全滅するまでにそう長い時間は有さなかった。
勝手にランキング 様 に登録しております。
目次/各話下部にリンクがあります。
もしよろしければ応援のクリックをお願い致します。





