第十五話 死への最善の近道
目覚めは不思議な程にすっきりとしていた。
それでも瞼を閉じ昨日のことを思い出す。
魔物相手とはいえ、はじめての殺しだった。
手にかけたのは、確かに自分ではない。
しかしきっかけを作ったのが誰かは明白だった。
であるにも関わらず、死の瞬間を目にしたことで限りなく気分は高揚していた。
自分もああなりたい。
その感情は強く心を突き動かす。
自分が死ぬためには、ライフイズペインを越えるスキルを持つ、殺してくれる強い相手が必要だ。
そのためには強くならなければならない。
きっと、強い者は強い相手との闘争を求めるから。
あのラッシュ・ボアは餌を求めていたのではないのだろうと、今になって思う。
彼はその体の大きさから、八歳の少年を噛み砕くには十分な顎があったはずだ。
餌を求めていたならば、食われていてもおかしくはなかった。
だが、ただ1度としてそんなことがあっただろうか。
なかった、彼がしたことは一つ、突進だ。
本来ならば内臓ごと体を破壊するような威力を持った一撃。
自身を押し潰してしまう程の重量を持った大木を、あっさりと折ってしまうほどの一撃。
きっと彼にとっての全力の攻撃手段だったのだろう。
哀れにもそれはライフイズペインによって、間接的に防がれていた。
だが無かったら?何度死ねただろうか。
なぜそんな一撃を?
それは攻撃が効かない相手を強者と認めたからこそ、勝つことをやめようとしなかったからだ。
あの瞳はきっと忘れられない。
血に染まりながらも、死の瞬間まで敗北を良しとしなかったあの強き心がさせた瞳だけは。
それがあったからこそ、彼は自分に出会い、最後には死んだ。
つまりは強くあることは死への最善の近道なんだろう。
「もっと、強くなろう。」
そう呟き、ステータスを開く
彼がくれたものはきっと大きいはずだ。
Lv15 ナイ
年齢8
職業 冒険者
ライフ 39/39
攻撃 34
防御 31
魔法攻撃 0
魔法防御 11
素早さ 35
運 8
スキル一覧
・短剣装備時攻撃上昇Ⅰ・短剣装備時素早さ上昇Ⅰ
・短剣攻撃時攻撃上昇Ⅰ・短剣攻撃時素早さ上昇Ⅰ
・一対の刃 ・武器眷属化 ・眷属武器召喚
・眷属武器解除 ・離さない手
・闇の精霊王からの贈り物『ライフイズペイン』
レベルが倍以上、ステータスが大きく上昇していた。
それに加え半日程の間死に物狂いでナイフを使い続けたからか、短剣におけるスキルも獲得している。
武器眷属化も戦闘スキルの一部なのだろうか、きっとこれらはセットで使うのだろう。
ミリーナが地中より刀を呼び出したのもこのスキルの効果だったのかもしれない。
一対の刃と離さない手に関しては名前から効果はまだよく分からないが、いずれ分かるはずだ。
そしていくつかのスキルを獲得して分かったことがある。
間違いない。
闇の精霊王こと俺を転生させた少女の形をしたナニカ。
「あいつ患ってる。絶対に・・・」
厨二病患者だろう。
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