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俺はドMに目覚めない   作者: 幸運を殺す者
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第十二話 はじめての依頼は考察と共に

朝の関所は昨日見た光景とは一転して行列はなかった。しかし人がいないという訳でもなく、兵士の姿はちらほらと確認出来た。


「おいお前、見ない顔だな。何者だ?」

「昨日この街にはじめてきました。クラスグリーンの冒険者、ロイと言います。」

「ほう、ステータスの開示はできるか?クラスグリーンの冒険者がこんな朝に彷徨くとは思えなくてな。」


鎧姿のせいで分からなかったが、昨日対応してくれた兵士ではなかったらしい。彼の言い分も十分に理解出来たし素直に従おう。


「ステータスオープン」


Lv7 ナイ

年齢8

職業 冒険者

ライフ 19/19

攻撃 15

防御 15

魔法攻撃 0

魔法防御 11

素早さ 15

運 8


スキル一覧

・闇の精霊王の贈り物『ライフイズペイン』

※括弧内は本人のみ閲覧できます


「ステータスの公開感謝する。しかし闇の精霊王に魅入られているのか、苦労しているな。」

「ええ、まあ・・・しかしまだこれからなので。」

「ははは、そうだな。その歳ならまだまだこれからだ。無事を祈っている。無理をするなよ。」

「はい。ありがとうございます。」


会話を終え関所を出ながら、魔法防御が下がっていることについて思考に耽る。

今、自身のステータスを見た事と精霊王のスキルについて指摘されたこと、そしてリーゼから得た知識。これらが合わさり昨日の関所で心の内に抱いていた魔法攻撃の低下への疑問が確信に変わる。

本当ならリーゼさんとの会話で見た時に気づくべきだったんだがな。


ライフイズペインは発動時にステータスを、特に魔法に関するステータスを下げる、つまり代償として払うということだ。

今までこのスキルが発動した回数は自傷で右手、右腕、左腕、右足、下半身で計五回。

魔物、ラッシュボアだったか。によって発動された回数は数えきれない。

そしてミリーナとの一戦で一回。

つまりは人間によってつけられた傷に発動するとステータスが代償として支払われる。のでは無いだろうか。


ただ、ラッシュボアにはタックルをされ続けただけで、つまりは全身を強い衝撃が襲うだけで、体の一部が無くなるというわけではなかった。

もしかしたら体を欠損することがステータスを支払う代償に繋がっているのかもしれない。


これは薬草を探しながら魔物も探し、あえて体の一部を失う怪我を負うことで試してみよう。ステータスがマイナスまでいくようなことがあれば死ねるかもしれないのだから。


そんな風に考えていると、既に森の中にいた。

ひとまず依頼書の絵を見ながら薬草を探す。依頼書の絵では天使の羽のような特徴的な見た目をしているため見つけるのは容易かった。

いくつかを採取し束にして、木のつるで縛っておく。

目的は果たした、さてと・・・


「つぎは死なせてくれる魔物ちゃんを探すかぁ・・・」


辺りを注視しながら足跡を探す。しかし慣れていない土地ということも相まって、素人目ではなかなかに見つけることは出来ない。


「まあそんな簡単にはいかんな。」


昨日装備してそのまま借りパク中のナイフで、周りの木に目印をつけながら森の奥に進んでいく。

やがて見たことのある小屋についた。つまりは・・・


「これを目印にすれば昨日襲われた場所に行けるってことだよな。」


記憶を頼りに歩みを進める。昨日と同じならここで声を上げれば奴の耳に届く・・・か?


「ラッシュ・ボアちゃーん。食べ残しはよくないぞ!!」


その時、森の空気が変わるのがわかる。音楽を奏でるように鳴いていた虫はなりを潜め、小鳥たちの囀りは羽ばたく音を最後にもう聞こえることは無かった。

まるで無音のような静寂が訪れる。


しかし数秒後、その静寂を引き裂くような地響きと共に、少し離れたところで木がメキメキと悲鳴を上げているのが聞こえた。


来る・・・


「フシュッ!!フシュー!!!!」


その巨大な図体では想像のできない素早さを持つ猪は、昨日と変わらない姿で再び目の前に現れた。


「さぁて、今日は一体どうやって料理してくれるんだッ!!!」


また長い一日が始まる━━━━━━━━。

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