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俺はドMに目覚めない   作者: 幸運を殺す者
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第十一話 あの森へと帰る依頼

スキルについての説明回です。

カーテンの隙間から差し込む光が顔に当たる感覚がする。どうやら夜明けのようだ。ゆっくりとベッドから下り、洗面台へと向かう。


「あぁ・・・そうか。」


見慣れない少年の姿が鏡に写り、昨日のことを思い出す。一度死に、無理矢理転生させられてから、とても長い一日だったと思う。

昨日のアンガス達との一件後、体は疲弊していたようで宿舎の借り部屋にたどり着いてからまさに死んだように眠っていたようだ。そのまま死ねなかったのが残念な位だが。


教えてもらった共用の水浴び場で、汗を流しギルドに向かう。


ギルドの扉を押すと既に空いてはいるようだが、中に入ると閑散としており他の冒険者の姿は見られない。

受付嬢が一人、退屈そうに本を眺めているだけだった。


「おはようございます。依頼を確認したいのですが、どこで見れるか教えていただけませんか?」

「あら、おはよう。ほんとに早いわね・・・あなたは・・・」

「ナイ、と言います。昨日登録を済ませたばかりのクラスグリーン?の冒険者です。」

「あぁ、あなたが。私は受付嬢のリーゼよ。新人さんが入ったってお話は聞いているわ。依頼なら受付を正面にして右手側を見てみて、大きな掲示板があるでしょう?」


そこには横に約5メートルほどの長さのとても大きな木の板があった。紙に絵と何らかの文字が書かれた紙がそこかしこに貼り付けてある。

うーん、見逃していたのが少し恥ずかしいほどだ。


文字は分からないが、草の絵と緑の色がついた紙を1枚とり、受付に持っていく。


「リーゼさん、この色はクラスグリーン専用?という意味でしょうか。それとこの絵の草を集めてくればいいんですか?」

「ええ、それであっているわ。絵に関してもその通りだけど・・・あなた文字は」

「すみません、学が無いもので読めません。」

「うふふ、素直でいい子ね。それに小さいのに難しい言葉を使っちゃってかわいいわ。」

「いえ、そんなことは。」

「またまた、照れないの。ちなみにその依頼書には関所を出てすぐの森に生えている薬草の納品って書いてあるわね。その様子だと依頼を受けるのははじめてかしら?」

「ええ。実はそうなんです。」

「うーんそれだと・・・あ、ちょっとそのまま待っててくれる?」


そう言ってからリーゼさんは、受付の後ろの棚から何枚か書類をとりだしている。

なんだろうか、命に関わることだからと昨日アンガスも言っていたし遺書でも書かされるのか?


「はい、じゃあナイくん!初心者教習をします。」

「あ、はい!お願いします。」


どうやら遺書ではなかったらしい。まあはじめての依頼でうまくできる人はいないだろうからな。こうやって事前説明をしてくれるのはありがたい。大人しく聞こう。


「まずはじめに、ナイくんはスキルについて知ってるかしら?」

「精霊から貰えるスキルが精霊、精霊王とランク付けされていて三段階ずつあるということは知ってます。」

「それ以外には?」

「ええとすみません、知らないです。」

「随分知識偏ってるわね・・・逆にそれ知ってる方が珍しいんだけど。じゃあ説明するわ。依頼の達成度に大きく関わることだから。」

「分かりました。お願いします。」

「まず当ギルドでは、戦闘系か攻撃の魔法系のスキルを持たない人は魔物等の討伐任務を受けることは出来ません。何故かわかる?」

「戦う術を持たないと危険な相手だからでしょうか。」

「ええそうよ。それが分かってるなら十分ね、じゃあスキルについて細かく説明するわ。まずスキルには戦闘系、魔法系、製造系、精霊系と大きくわけて四種類あるわ。その先は枝分かれ式で派生していくからとりあえずそれだけ覚えておいて。」

「はい。わかりました。」

「それでね、各スキルには発動条件が細かくあるの。何もしなくても効果のある常時発動型、何かしら条件を満たすと発動する条件発動型、自分の好きな時に魔力を消費して使う任意発動型、魔力は使わないけど生贄やライフを支払う、ステータスの一部を低下させたりして使う代償発動型等様々ね。」

「魔力を消費・・・?魔力ってのはなんでしょうか。」

「あー魔力は後天的に身につく物なの。例外はあれど誰もが10歳の誕生日に身につくわ。だから10歳の誕生日は盛大に祝う風習もあるのよ。」

「なるほど・・・それとすみません、各スキルの見分け方はありますか?」

「うーんそうね、見せたくないこともあるだろうから、公開にしなくてもいいわ。念じて開く方でいいからステータスを見てみて?」

「はい、開きました。」

「それ、触れるの知ってる?」

「えっ!あっほんとですね。」


言われた通りステータスを開いて、指を触れてみる。まるでスマホやタブレットのように触ることが出来た。


「もしナイくんが何かスキルを持っているなら、それに触れてみて?」

「はい・・・」


言われた通りに唯一あるスキル、ライフイズペインに触れる。すると精霊系・常時発動型/条件発動型/代償発動型と出てきた。


「確かに出てきましたけど、1つのスキルで複数の条件がありますね。」

「ほんと?きっと珍しいスキルなのね、良かったじゃない。条件が厳しいものはその分協力なことが多いらしいわ。それと、そんなに人を信頼してペラペラ喋っちゃ駄目よ?」

「あ、はい。気をつけます・・・」

「さて、これでスキルの説明は終わりよ。緊張は解れたかしら?」

「あ、はい!ありがとうございます・・・」

「スキルは使い方次第でその身を助けることもまた逆も然りよ。ナイくんが持ってきた薬草の納品にはスキルは必要ないかもしれないけど。」

「よく肝に免じておきます・・・」

「じゃあ依頼達成と無事を祈ってるわ、行ってらっしゃい」


最後にそう言ってリーゼさんは手を振ってくれた。

控えめに手を上げて返し、依頼の紙を片手に関所へと向かう。

そう、リーゼさんによるとこの依頼書は俺の目覚めた時にいたあの森での薬草探索なのだから。

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