スキルの実験
「えっ」
こんなに軽く触れただけで気絶してしまうのか?本当に軽く触れただけなのに、と思っていると先生がやってきた。
「お前がやったのか?」
「はい。」
俺は申し訳なさそう言った。
「とりあえず保健室につれていきなさい、ライ、あとでどうやったのか説明してもらう。よし、授業はここまで」
その一言でぞろぞろと皆が教室に向かっていった。
「ライ、お前はアスカに何をした?」
先生が聞いてくる。
「わかりません。気づいた時にはもう体が勝手に反応していました。そしてアスカを、本当に軽く触れただけなんです。信じてください。」
もちろん隠しスキルのことは秘密だ。
「ん~本当にそんなことが可能なのか、お前はパラメーター的にはそんなスピードで動けるはずはないんだがな、まぁアスカの体調が悪かったのかもしれんし、今回は、体育館に穴も開かなかったし、良しとするか。戻っていいぞ」
「失礼しました」
そう言って職員室から出た。
教室に戻るとレオンがすごい剣幕で殴ろうとしてきた。
「お前はアスカに何をした!」
俺はかわすことができないのでやむなくスキルを発動させた。痛いのは嫌だ。ただ背後に回った。
「かわすんじゃねー!」
もう一度殴ろうとしてくるまたスキルの発動させる本当に痛いのは嫌なんだ。二回も瞬時にかわされるとレオンも少し冷静になってくれた。
「話を聞いてくれ、俺は特に何もしていない、今みたいに背後に回っただけだそして軽く触れた、そしたらいきなり倒れたんだ。本当だ。信じてくれ。先生はアスカの体調も悪かったかもしれないと言っていた。」
「そんな話を信じろっていうのかよ。思いっきり後ろから殴ったんじゃないのか!」
さっきよりは冷静になっているがまだかなり怒っている様子だ。
「そこまでよ。」
アスカが気絶から復帰して教室に戻ってきていた。
「そんなに早く目覚めたのか」
レオンが言う。
「そうよ。私の体調不良だったのかもね。」
「アスカも戻ってきたんだし、もう、ライのこと許してやろうぜ。」
カイルがそう言ってくれた。俺は胸を撫でおろした。
「ちっ」
舌打ちをしてレオンは教室の席に座った。
「カイルありがとうな。」
「気にすんなよダチだろ。」
「それとアスカすまなかった」
俺は頭を下げた。自分のスキルの実験体としてやってしまったのだから謝っても謝りきれない。
「大丈夫よ。なんか軽く触れられた感触はあったけどね。真剣で切られてたら死んでたわ。戦場であぁならないよう勉強になりました。」
皮肉っぽく言ってきた。
「ハハ」
と俺は軽く笑ったが戦場という言葉に引っかかった戦場ってまさか人同士が殺しあってるのか?