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薄紅色の花が咲いたら  作者: 巻乃
54/56

芽吹きー44

「少しだけいいかな。」コンジェラシオン様がいつの間にか来ていた事に気付きませんでした。そのコンジェラシオン様が私達のいる丸テーブルの席に着きました。メイドがコンジェラシオン様のお茶を用意して下がっていった。

「父上、商談の最中だったのではないですか?」

「それは執事のラングが今、受けている。ステッキがご当主方に大変、好評だった。ミニミラも小さくて可愛いとご夫人達に人気だった。既に、両方とも受注生産する注文をいただいているよ。」


「ではどうしてここに?」そうソルが問うと、

「あの空からの祝いと神からの言葉、その姿を知っていた訳ではないのかと確認しに来た。」

「私達も全く知りませんでした。」

「はい、知りませんでした。お祝いを下さるとは言われましたが、内容までは知りませんでした。」

「そうか。サラベルナールがプリムラの18歳の姿に興奮してな、それで倒れた。」


「へ?!」「え?!」2人して驚いていると、その続きがあったようで、コンジェラシオン様が照れて告げた。

「そうして、大事を取って医師の診察を受けたら、サラベルナールが懐妊している事が判明したんだ。」

「父上、おめでとうございます。」「コンジェラシオン様、おめでとうございます。」

「ソルベールとプリムラの婚約に関連して色々起こっているものだから、知っていたのか聞いてみたくなったのだ。すまない、ちょっとまだ動揺しているみたいで…。」

「で、ノワールには告げたのでしょう。弟は母上が懐妊していると聞いて、どうしましたか。」

「凄く喜んでいた。こちらが引く程に、な。どうやら、エリシマム殿と歳が同じだと分かり、話して仲良くなったようだ。そのエリシマム殿に、妹は良いモノだと散々聞かされていたようで、自分にも妹が産まれると聞いて大喜びをしていたんだ。」エリ兄様ナイスアシスト!


「父上、神から今、伝言されました。王家にも双子の姫が、家の妹と同じ歳で産まれるそうです。リリィ公爵家当主夫妻に今、ここで伝えるように言われました。」「何っ!」

「今すぐ伝えよと言っておられます。」

「では、ここに当主夫妻を呼んでくる、待っててくれ。」コンジェラシオン様が早足で移動して行った。


「ソルと神様は仲が良いですね。良かった。私には聞こえなかったので、ソルから伝えて下さい。」

「私は、婚約した日もそうだったが、婚約式の祝いの続きだと思う。」

「私達の婚約が成立した日にもお祝いがありましたものね。」

「そうだな。プリムラ、可愛いよ。大好きだ。私は幸せ者だね。」

「え、急に何を?!」ボンッ!と音がしたかのように真っ赤になった私でした。

「君と知り合ってから、周りまでもが幸せになってきている。だから、私が幸せだと伝えたくなったんだ。」

「私もソルが居るから、幸せなんです。」2人で手を繋いで、イチャイチャしていました。


 リリィ公爵家のホスタ叔父様とアーエル叔母様を連れて来たコンジェラシオン様が来ました。

「コンジェラシオン殿に、ここまで急ぎだと連れて来られたが、どうしたのか一向に言ってくれないんだ。」

「まずは、座ってお茶を飲んで下さい。」ソルがお茶を勧めた。

 用意されたお茶を飲む、ホスタ叔父様とアーエル叔母様。


「ソルベールが今日の婚約式の祝いに先程、神託を受けたんだ。」

「えっ?!」「まぁ!」

「先程、神からの神託で今すぐこの場で伝えるように言われました。王家にも双子の姫が、家の妹と同じ歳で産まれるそうです。リリィ公爵家当主夫妻に今、この内容を伝えるように言われたのです。明日、王家から正式な使者がリリィ公爵家を訪れるだろうと。双子なので、良いモノを送るなら早く動いた方が良かろうと神がおっしゃっています。」ソルも神官の代わりに神託を伝える役目をご苦労様ー。


「なんて素敵な神託なのかしら。」アーエル叔母様が喜びの余り、キラキラの瞳で感激しています。

「コンジェラシオン殿、先程の神託の内容の中に、コンジェラシオン殿にも娘が産まれる神託をされたという事ですか。」

「ええ、先程、サラベルナールの懐妊が判明いたしました。」

「おめでとうございます。」

「ホスタ殿こそ、おめでとうございます。」

「3人分のお祝いを用意しなくちゃ!」アーエル叔母様が燃えています。背後に炎が見えるようです。

「双子の姫のご友人枠として、家の妹の将来も決まっているそうですので、心配はないと今、言われました。」

「まぁ!まぁ!まぁ!」「アーエル!まずは落ち着いて!」


「あー、姫のご友人枠という将来までもが既に決まっているのか。神託に驚く暇もない。王城にいつでも行ける様に整えておけと言う神託か。解っているなら、慌てなくて済むが、心境としては複雑だ。」


「3人共、可愛いので将来も安泰なのだろうなって神様の声が私に聞こえました。」

「孫が可愛いのは良いが、プリムラの様に3歳過ぎたら婚約されてしまうのは、早過ぎるかな。」ホスタ叔父様が愚痴を零した。

「私の様なスキル持ちでなければ、こんなに早い婚約はあり得ません。叔父様は心配し過ぎですわ。…あら、ホスタ叔父様とアーエル叔母様大好きなお姫様達になるそうですわ。」

「まぁ!凄ーく素敵っ!!プリムラちゃん、ありがとっ!!明日朝一で、3人分のお祝いを頼まなくっちゃ!」

「ま、まぁ、私を好きになる双子の孫娘は可愛いだろうと予想出来る。私からもお祝いを用意しなければ!」あらあら、ホスタ叔父様まで張り切りだしましたわ!

「ホスタ叔父様とアーエル叔母様、おめでとうございます。」

「では、急いで帰らなくてはならなくなったので、これで失礼する!アーエル!急ごう!」「ええ!失礼いたしますわ!」


 ホスタ叔父様とアーエル叔母様が早足で帰って行かれました。


「コンジェラシオン様、私の義妹になる女の子は、コンジェラシオン様大好きな女の子だそうですわ。ご安心なさって下さい。2番目がサラベルナール様で、3番目がお兄様方だそうですわ。」

「私も、サラベルナールを労わってこようと思う!」凄い勢いでコンジェラシオン様が屋敷の方へ向かわれました。


「あはははーっ!!あんなに分かり易い父上を見たのは初めてだー。」

「凄い早足でしたね、ふふふっ。」

「さっきの神託は私には聞こえなかったが、プリムラだけだったんだな。」

「男性からは伝えにくい内容だったから、神様が私に伝えたんだと思います。」

「内容から言って、私もそう思った。幸せのおすそ分けかな?」

「では、神様にはお酒の寄進をいたしましょう。」

「婚約式で出した良い酒がまだ沢山あった筈、プリムラから神様へ渡せるんだっけ?」

「ええ。愛し子ですから、渡せます。」

「じゃあ、屋敷に行って母上にお祝いを言ったら、そうだな、母上の様子では2、3日安静だろうし、父上の代わりとして夜会に代理で出る事にも反対されないでしょう。父上と母上が参加する予定だった夜会の招待状を受け取ってから、執事のラングが酒好きで酒に詳しいから事情を話して手伝ってもらい、お酒を選びましょうか。」

「そうですね、ソルの考え方では私が夜会に出たいって言ったワガママに、立派な理由が付いて、ワガママじゃなくなりましたね。」

「ふふっ、私はプリムラの婚約者ですから。そうだ、婚約式のドレスから着替えられる服は持って来ているかな?」

「18歳になるって言われていたので、1着は持って来ましたわ。」

「じゃあ、着替えてからお祝いの挨拶に行こうか。」

「そうですね。この婚約式に来た大事なドレスを汚したくないですから。」


 ピーオニー公爵家のメイドさん達に手伝ってもらい、私はドレスを着替えてから、サラベルナール様の所へソルと一緒に懐妊のお祝いを言いに行きました。ソルが神託された内容をコンジェラシオン様から、王家の双子の姫のご友人枠確定、可愛いのも確実、コンジェラシオン様大好きっ子なのも聞いていた様で、笑って喜んでいました。


 その場にサラベルナール様が心配で付き添っていたコンジェラシオン様に、サラベルナール様(ははうえ)がこんな状態では夜会に出れないでしょうし、ソルが自分とプリムラが代理で出ますと言うと、出席する筈だった明日の夜会の招待状を1通、執務室から取って来て下さり、直接ソルに手渡してくれました。明日夜の、その夜会だけに出れば、暫くは夜会に出なくても問題ないそうなので、その夜会での注意点と初めての夜会に出席をする私への注意をしてくれました。


 その後、執事のラングさんに、神様に今日のお礼としてお酒を寄進したいのだとソルが説明すると、婚約式で使われなかったお酒の中で良い物と酒の肴を幾つか選んでくれました。そうして、収納スペースの[神様への貢物入れ]へ、ラングさん厳選のお酒を10本、酒の肴になりそうな物も一緒にガッツリ入れました。これで、ソルの分は大丈夫でしょう。


(婚約式の記念に空から降ってきた良いモノを見せてもらえたと、ラングさんには何本かのお酒を私達用にプレゼントしてくれましたー。大人になったら、記念日にソルと乾杯しようと思います。)


 ソルの婚約式で着た衣装も私の収納スペースへ入れたし、明日の夜会にコンジェラシオン様たちの代理で出る事を執事のラングさんへ伝えられたので、オーキッド公爵家までピーオニー公爵家の馬車を手配しておいてくれるそうです。


 そうして、オーキッド公爵家まで馬車で帰宅して、いつも通りに帰り着いたと思って玄関を開けたらば、屋敷の皆がお出迎えをしてくれました。私の目は予期していなかった出迎えに驚いて、真ん丸な瞳でいました。屋敷の皆も、先に帰宅していたワトソニアお父様達から聞いていたようですが、私達を見て、目が真ん丸でした。


 その後は、珍獣を見る様な目で見られましたが、明日の夜会に宰相夫妻の代わりに出なくてはならなくなったと話すと、メイド達の目が爛々と輝き始めました。獲物を狙う肉食獣の目付きとも変わらない気がします。


 明日の夜会は王城での開催で、貴族家の当主夫妻は代理でも、強制的に全員参加の様でした。


 メイド達に明日昼からお支度を致しますので。と言われたけど、こちらからも、明日の昼までに作りたい物があるので、邪魔されたくないから、それまでは誰も部屋に来ないで欲しいとお願いしました。


 夕食を済ませて入浴して、自室で明日着る夜会用のドレスを2着出して並べてみました。ソルの衣装も2着出して並べてみました。ソルと2人でどっちの衣装にするか話して決めました。


 私は裾が濃紫色で段々と上になる程、色が濃いピンク色になっているドレスです。ただ、成人用の衣装なので胸を強調する意匠(デザイン)になってしまっているので、薄いショールを羽織ろうと思っています。ソルのは、下の方が濃紫色で上になる程、色が黒に変化していく衣装です。どっちの衣装も同色の糸と銀色の糸を使った刺繍がしてあります。私は婚約の証を付けて、ソルはシンプルな私と揃いのペンダントを付けて、昨日送った刺繍の入ったハンカチーフを胸元に飾るそうです。イヤーカフは、2人共外さずにそのまま付けています。外さなくて済む物をイヤーカフとして送ったのですから。


 寝る支度をして、いつも通りに丸薬を飲んで寝ました。少しだけ寝苦しかった気もしましたが、朝起きたらスッキリしていたので、気になりませんでした。ただ、ソルが若干疲れていたように見えたのは気のせいだと思います。


 朝食を摂った後は、前世で言うミントティーを作って、デルフィお婆様に試飲してもらいました。この茶葉を作ったのは、つわりの軽減対策ですね。お婆様の調剤スキルで鑑定してもらい、スッキリした気分になるだけのお茶と判定が出たので、専用の調剤室での増産をしました。休暇のソルは昼近くまで眠っていましたが、このミントティーのお婆様の鑑定結果を話して、試飲してもらいました。


「スッキリしていいね。」って感想をソルがしたので、気分が良くなった私が、ついうっかりと「サラベルナール様のつわり軽減を狙って作ったお茶です。」とソルに話したら、ソルがキス魔に変身しました。

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