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薄紅色の花が咲いたら  作者: 巻乃
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小話ー3

『この世界の眼鏡の不思議』


 私がこの世界で不思議に思った事があります。


 ソルと知り合い婚約してから、あまり眼鏡をかけている人がいない中、ソルが眼鏡をかけているのは当たり前だと思っていました。でも、何故か眼鏡がズレて直している姿を見た事が一度もありません。ソルが走っている姿はまだ見た事ないけど、早足で歩いても眼鏡がズリ落ちないのが不思議です。あまりにも不思議だし、疑問に思ったので、どうしてなのか知りたくて、ベッドで私の添い寝をしているソルに聞いてみた。


「ねぇ、ソル。どうして眼鏡をかけているの?」まずは根本的な事から聞こう。

「私は元々、眼鏡をかけていないんだ。眼鏡は仕事中に必要だからかけているだけで、無くても支障はないんだよ。」へ?目、悪くないの?

「え?じゃあ、眼鏡は何で必要なの?」

「眼鏡には、私の魔力を糧に動く魔法が幾つか込められているんだ。」

「魔法?」この世界には魔法があるんだった、時々、忘れるんだよねー。

「そう。眼精疲労を治す為の治癒、状態異常無効、物理攻撃無効の魔法なんだ。書類仕事中や仕事中に間諜や何かに襲われても大丈夫な様に、眼鏡のレンズに付与してあるんだ。他の物だと、付け忘れたりするから眼鏡を選んだんだよ。」

「じゃあ、どうして眼鏡はズレないの?」

「ああ、自分を守る魔道具が簡単に外れたら危険だろう?だから、自分で眼鏡を外すまではピッタリとくっついている魔法が眼鏡のツルにかかっているんだ。」うわー!前世とは用途が違う!

「物が見えにくくなったり、歳で目が見えにくくならないの?」近視とか、老眼はどうしているの?

「見えにくくなったら医療省の治癒で治したり、歳で見えにくくなったら魔道具で補正をかけられるから、あんまり普段から眼鏡をかけている人はいないかな。父上も結婚するまでは眼鏡だったらしいけど、結婚後は指輪に付与したので、眼鏡をかけていないんだ。」


「他に眼鏡をかけるのはどんな人がいるの?」

「んー、毒を吐いたり撒き散らす植物や動物を採取する植物学者や動物学者や研究者、毒のある動物を捕まえるハンターに、毒のある植物を採取して売る人かな。目を保護するのが目的で、私と同じように眼鏡に魔法を付与して使っているんだ。」

「そうなんだー。」


「宰相室では、秘書官達が独身が眼鏡で、既婚者が指輪をしているのは当たり前なんだよ。」

「だから、ソルを人数に入れて、3人も眼鏡をしているんだねー。」秘書官達5人のうち2人が独身で、残り3人が既婚者なのかー。へえー。

「私も結婚したら、眼鏡を止めて指輪にしようかと思っているんだ。眼鏡だと色々不便になると既婚の秘書官達から聞いているから。」ふーん、そうなんだー。

「じゃあ、眼鏡をかけているソルは期間限定で、貴重なんだね。よく見ておかなくちゃ。」

「今だって、眼鏡をしていないから、おやすみのキスでプリムラに眼鏡がぶつからないだろう。」

「ん、そうだね。」

「おやすみ、プリムラ。」

「おやすみなさい、ソル。」ソルからほっぺにおやすみのキスをしてもらい、眠ります。


*****

 なーんて、眼鏡話をソルとしてから、周りの人をよく見るようにしました。なるほど、身体に薄っすら色んな色が付いた膜みたいなモノが見えていた理由が解明されました。魔道具による保護魔法が働いているから、今まで薄ーく色付きの膜が見えていたんだと。それを私が見慣れると、自分には害が無いから膜を意識しなくなって普通に見える様になると。ずっと分からなかった謎が解けましたー。


 眼鏡をかけたソルも、していないソルも好きだからいいけれど、眼鏡、かけなくなっちゃうんだー。何かもったいない気がするのは私だけなんだろうか。


*****

 この前、プリムラから眼鏡をかけている理由を聞かれたが、眼鏡をかけているのは少数だからその理由までは知らなかったんだな、と思った。まあ、これからも急成長に伴う弊害として、常識の欠如があるかもしれないし、そういう疑問がプリムラから出てくるだろうし。プリムラから聞かれるのも頼られているみたいで、良い気分だな。


 プリムラと婚約してから、眼鏡は不用な道具になった。魔法の付与なら他の道具にすればいいと。


 キスする時に邪魔だし、レンズを隔てる分、プリムラと隔たっている感じがするし、マッサージの時に外し忘れると、眼鏡に汗が付くし、曇るし、婚約者が出来た途端にハッキリ言って、眼鏡が邪魔になったんだ。どうして既婚者が指輪に移行するのかを理解したのだ。


 この頃は、結婚して指輪にするまでの間を眼鏡から、ペンダントにしようかと本気で悩み始めたのだった。婚約式に渡すプリムラの婚約の証とお揃いの石で作ろうかとか、プリムラが眼鏡をかけている私を気に入っていたらどうしようかとかが気にかかってしまい、そのせいで、私が何かを悩んでいると受け取られているようだが。もう少し、悩む刻(時間)が必要な気がする。


 実は、ペンダントの発注をプリムラの婚約の証と一緒に出来る様にしてしまっていたのだ。私の分は女性物と違いシンプルなので、後から追加で頼んでも同じ出来上がりになるらしいと聞いている。婚約式には2人で身に着けようと思っている。プリムラは、喜んでくれるだろうか、それも悩む事の一つだ。


 もうすぐ婚約式だ。正式なお披露目には、18歳のプリムラとも再会出来るし、婚約式にはこれまでにない案が盛り込まれているので、楽しみが沢山ある。プリムラとの婚約式を待っている幸せが私にはあるのだ。

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