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薄紅色の花が咲いたら  作者: 巻乃
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ジェイドー3

これから暫く何話か暴力的な表現が続けて出てきますが、話の内容の上であり、暴力等を推奨するつもりは一切ありません。宜しくお願い致します。



 神託を受けた俺は、ストックと宰相とオーキッド公爵との4者での早朝会議を行うと昨夜、早伝令を送った。今は3人共、王城に向かっている頃だろう。オーキッド公爵には、グラジオラスをプリムラちゃんの護衛にと、俺から命を出しておいた。帝国の件が落ちつくまで、プリムラちゃんの護衛をするようにと。


 早朝会議の場では、集まった宰相もストックもオーキッド公爵も嬉しそうにしている。

「陛下、おはようございます。今日はあの嘘つきを排除出来ると喜んで、王城まで参りました。」オーキッド公爵ワトソニア殿よ、その物言いと表情が、訓練前、部下を鍛えるのが嬉しくて堪らない顔をしている時とダブるのだが。

「私も、同じスキル持ちの子孫の帝国の私達にプリムラ嬢の様子を教えろと、毎回いろいろな手を使って脅してくるような、あのしつこい書簡が来なくなると喜んでいます。スキル持ちの子孫は、他の国にもいますし、何代も遡れば、どの国もたいして変わりがないのに。」宰相のコンジェラシオン殿も言う。

「ヤツを赦す訳がない。妻がツラい目にあわされた元凶、今回は娘を攫って洗脳教育するつもりだったのだから、私が直接、鉄槌を下してやる。ふはははは。」ス、ストック、待て!気持ちは分かるが本番はまだだ。


 ここでは、今日の面会もしくは面談に、どう対策するか話し合う為に集めたのだ。

「では、昨夜の神託で、帝国は我が国で犯罪を起こそうとしている事が分かった。国としては、公式でのプリムラ嬢の面会、もしくは面談は避けられない、その対策を述べて欲しい。」

「プリムラ嬢と面談前に話をする所から全て、その面会もしくは面談の記録を撮る。」

「魔法省で、その面談する部屋をあらゆる角度から魔法で監視をする。」

「近衛騎士を何人か陛下の従僕に見せかけて配置、警備の騎士も貴族服で参加し、面談を見守る貴族がいるだけだと見えるように配置、全体の増員をする。」

「では、私から。その提案を全て採用する。ストックは父親として、ワトソニア殿は祖父として参加の(てい)を装う、実際にはプリムラ嬢の安全対策で、ストックは魔法対策、ワトソニア殿は物理攻撃での対策をして欲しい。」「はっ!」「はい。」

「コンジェラシオン殿は、プリムラ嬢に付き添う婚約者ソルベール殿の親として参加の(てい)を装う、実際には何かあった時の陣頭指揮を任せる。」「承りました。」


 従僕から知らせが来た。「陛下、大神官様と神官庁長官が会議に参加したいと、いらっしゃいました。」

「通せ。」クンツァイトとセイクリッドか。


「おはようございます。今日は昨夜の神託で伝えきれなかった言葉を私を通じて発言したいので、面談に私とヒューゲルト侯爵も参加させるようにと神託を受けました。今日の参加の許可をいただきに参りました。」

「2人共、許可する。神の代理の参加は望む所だ。拒む理由もない。」

「ありがとうございます。」クンツァイトがそう言った。セイクリッドが黙礼した。


「公式な面会もしくは面談だから、皇弟を迎えに行き、面談の予定の部屋で待機しておけ。アレでも皇帝の弟だ。私の弟が案内をすれば、不満を言えないだろう。クンツァイトなら神様が天罰を下すので、他の者よりは洗脳される危険は少なくなるだろう。気を付けるのだ、ヤツは犯罪者だ、いいな、最低限の接触に留めるのだ。くれぐれも気を付けるのだぞ。」うっかり、ヤツに気を付けろと弟に繰り返し言ってしまった。

「陛下のご命令通りにいたします。」あぁ、クンツァイトが笑顔で返答した。心配したのがバレてる。ちっ!皆でこっちを見て、ニヤニヤするんじゃない!何だか照れくさいじゃないか!


「皆、刻(時間)がないので、すぐに準備にかかってくれ。」はい、解散、解散。皆、出て行ったが弟とセイクリッドだけは残った。

「兄上、神様も皇弟は卑怯だと言っていましたので、充分に気を付けます。」

「そうしてくれ。無事に終わるといいのだが。プリムラ嬢が来るまで、お茶でも飲むか。」

「そうですね、私もまだ刻(時間)がありますから。」

「セイクリッド、お前も付き合え。」

「はい。」この間、ヒューゲルト侯爵一家が神託を受けた時、私達兄弟は神に見届け人として物陰から覗いて参加させられたから、神託の内容は知っているが、その神託以降、セイクリッドが素直になった。心境の変化があったのだろう。


 兄弟でゆっくりお茶を飲んで、何処にお忍びで行くと楽しいのかとか、あそこに抜け道があって使えるだとか取り留めない雑談をクンツァイトとした。楽しかった。セイクリッドは話に参加せず、微笑んで茶を飲んでいただけだ。


*****

 私の侍従に、正面玄関でプリムラ嬢を出迎えるよう命じていたので、侍従の案内で、対策会議の行われている部屋にプリムラ嬢が連れて来られた。準備を済ませてから4人で、あの2人を待っていたのだ。2人が中に入って来た。プリムラちゃんはソルベールの目の色のドレスか、微笑ましい。ソルベールは赤いジャケットに黒いズボンだ。4人で初々しい2人を見て、良い笑顔になる。


「おはよう、プリムラちゃん。神託は聞いたかな?」

「おはようございます、陛下。寝ていたので、聞いていません。」

「良い子は寝ているから知らなくても当たり前だ。知っている事を話せるかな。」親バカストックよ、顔が崩れているぞ。

「はい!ストック父様!あ!侯爵様!」笑み崩れるな!緊張と顔の締まりは何処に行った!

「ゆっくりでいいから、ね。」宰相、お前もか。

「はい!最初は婚約した後に中庭で一人で鍛錬していた時、変な視線を感じました。頭のてっぺんから足の先まで嘗め回すような気持ち悪い視線でした。何度も見られていたのですが、グラジオラスお兄様が来たら、感じなくなりました。神様に聞いたら、帝国の皇弟だって聞いて、ソルベール様の前で号泣してしまいました。怖くなって、部屋から出れなくなりまして…。」ヤツは変態だったのか、女なら何歳でもいいのか!

「それで、続きはあるのかな。」ストック、顔が引きつっているぞ、怒りと笑顔を顔に同居させるな。

「昨日も、その変な視線を感じて、号泣して、ソルベール様がいなかったら、今日ここに来れませんでした。昨日も神様に怖いと話して、あの変な視線の小父さんを他の女の人とかに被害が出ないうちにどうにかして欲しいって、私がわがままを言ってしまいました。」

「なるほど、被害者を増やしたくないとわがままじゃなく、お願いをしたんですねぇ。なんて優しい。ソルベール、素敵な婚約者殿で良かったな。」宰相、宰相、いつの間に…。

「ええ、それはもちろんです。」ソルベール、好きな気持ちが駄々洩れだぞ。

「ワトソニア公爵にもグラジオラス様にもソルベール様にも迷惑を掛けたくなくて、神様に相談しちゃったんです。」あー、心配をかけると思って誰にも言えなかったのか。でも、神様に相談するとは…。

「イリスも嫌な思いをしたと後から知って、悔しかった。プリムラは神様から、皆に話がいくようにしたんだね。」ワトソニア殿、ただ孫を愛でる祖父になっているよ。

「はい。変な視線の小父さんが嘘つきだって神様から教えてもらったし、陛下は忙しいから神託で皆に知らそうって神様が気を遣って下さったんです。」ちょ、プリムラちゃん、神様に使い走りの神託をさせたの?

「他にはあるかな?」ストック、顔をそろそろ普通に戻せ。

「私に会ったらソルベール様との婚約に文句をつけて婚約破棄をさせて、皇弟の影を使って私を攫って皇室で飼い殺しして、帝国至上主義の教育をして、15歳になったらすぐに変な視線の小父さんか、見た事もない皇帝の子供と結婚させて正妃に据えるつもりだったと、帝国の国家ぐるみの犯罪を起こそうとしていると神様から教えてもらいました。まだ事を起こしていないので天罰を下せないと言っていたのです。そこで神様から、変な視線の小父さんが無理矢理、帝国の力で側妃を入れ替えているんだと聞きました。私も入れ替えられる所だったので、その力を使えなくして欲しいと神様に頼みました。」幼気な女の子に側妃だなんてヤツは鬼畜だ。


「そして、昨夜の神託に繋がるのか。力を使えなくとは?」どういう意味なんだろうか?

「私に余分な手を出したら、天罰の筈、でも、今まで被害を受けた女性が一杯居ると聞いたので、私のわがままで、天罰を与えて欲しいと頼みました。スキル持ちの子孫だって言うのも全くの嘘だし、嫌な思いをする女性をもう増やしたくないんです。」小さくても女なのか、イリス殿やエレガントにも見せてやりたい、このプリムラちゃんの立派な所を。

「侍従、記録はとっているだろうな。」大丈夫か確認しておかないと。各国に送ってやろう。

「はっ、確実に。」

「神託の内容とプリムラ嬢の内容が一致した、プリムラ嬢の言う事には嘘偽りがないと神託でも証明されている。では、公式に、帝国の国ぐるみの犯罪を防ぐために各国へこの後の公式面談を含めた内容も併せて送る事を約束しよう。」

「では、プリムラ嬢、帝国の皇弟とは公式に一度顔を会わせてもらわねばならない、ただ、あなたの歳を考慮して、希望を聞きます。」まぁ、ソルベールの付き添いは予想していたからな。

「またあの変な視線を向けられるのは怖いです。ですが、私の婚約者と私の護衛をしてくれている2人も一緒なら、出来る限り頑張ります。」護衛を増やしたか、しっかりしている。

「ショービ国の国王として許可する。3人の同席を正式に認めよう。」

「隣の部屋にて公式面談が準備されております。皆様、移動をお願いいたします。」従僕が促している。さて、移動するか。

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