芽吹き-31
毎回毎回3歳児の体力の限界を知るプーリームーラですっ!また寝落ちしましたー。3歳ならまだ昼寝をしていてもおかしくない歳ですが、毎回毎回、ソルベール様にご迷惑をお掛けしているのは心苦しいのですよー。それも今回は、お伺いした家でそのまま寝てしまい、馬車まで運んでもらって、馬車の中でも抱っこで、馬車から部屋までもぜーんぶソルベール様にお姫様抱っこで運ばれたそうです。
ううっ、お風呂係のメイド達に散々揶揄われました。それに、メイド達からはお嬢様と呼ばれているのに、まるで前世のマスコット人形の様に可愛い可愛いと撫でられながら、世話をされています。
オーキッド公爵家では、イリス母様はずっと前に結婚していていないし、グラジーお兄様の下にいる、まだ見ぬ他国へ嫁入りしたばかりの叔母様は、あまりメイドに世話をされるのが好きでない方だったらしく、殆ど世話を出来なかったそう。グラジーお兄様は男だし、小さい頃はともかく、今じゃ全く潤いがないと嘆いていたメイド達。そのメイド達には、新しく養女になった私が、如何にも世話を必要とする幼女で、わがままじゃなくて素直でお菓子もくれる可愛いくて世話が出来る待望の女の子だった模様。まずは、お世話係順番争奪戦が勃発してお世話の順番が決まったので、次に専任メイドの座を賭けての争奪戦が始まっているとかなんとか。
自分の部屋に着いたら、ソルベール様が待っていました。まずはお礼とお詫びを言わなくちゃ。
「あ、あのっ、今日は沢山運んでいただき、ありがとうございました!それと、寝ちゃって、ごめんなさい!」頭を下げながら言いました。
「気にしてないよ。眠ってしまって当たり前なんだから、謝らなくてもいいよ。お礼の方が嬉しいな。」言われてみれば、そうだよねー、これから添い寝も連続でこなさなくちゃならないソルベール様だもん、お礼の方が嬉しいのかー。他にお礼になる事はないかなー。すぐには思いつかないなー。
「では添い寝をしよう。」2人でベッドに入り、掛け布団をかけてもらった。今夜から私の世話はソルベール様が添い寝で3日間するのですー。ううっ、何だか恥ずかしい。
「おやすみなさい、ソル。」
「おやすみ、プリムラ。」そして、婚約してからのお約束の、おやすみのキス。ソルが瓶から丸薬を出して飲ませてくれた。苦くて、美味しくないが飲んだ。ベッドに横になって、神様からもらった言語チート(読み書きOK)で、あちこちの国の言葉を使って会話していると、眠気がやって来た。「眠くなっちゃった…。」と言ったら、頭を撫でてもらえた。おやすみなさい。
「飲んだ刻(時間)を書いた紙はここにある、10刻毎に飲む事を書いておいて、丸薬は必要分だけを瓶から出しておいて、瓶は私の収納ケースへ入れる。勝手に他人が取り出せない様に鍵をかけて、と。食べ物飲み物その他必要な物はワゴンにある。今夜は13歳みたいだな、数字の13がプリムラの上に浮き上がって見えたな。ここの所、数字の11が浮き上がっていたから、な、マッサージを頑張るか。」
ソルベールがプリムラの口にキスをした。
「…えへっ、ソルぅ、しゅきっ!」「寝言が可愛いな。将来の為に頑張るか。」
*****
気付いたら、夕方でした。ソルの笑顔に何故か凄みがあります、ドキドキです。何があったのでしょう。
「神様が私へのご褒美に5歳までは添い寝の度に丸薬で11歳から15歳のプリムラの姿を順不同で見せてくれるんだよ。さっきまでは14歳のプリムラの姿だったから、私が凄くドキドキしてしまって、ね。」
「18歳のソルに近いから、ドキドキしたんだ。今はしないの?」今の私と、14歳の自分の姿を比べられたと思って、拗ねた聞き方をしてしまった。
「今もドキドキするけど、えーと、その、どっちもプリムラだからドキドキするんだよ。でも、ちょっとだけ違う種類のドキドキも混じってしまうんだ。あ、これ以上はうまく表現できないな…。」あー、なんとなーく察した。すんません、幼児じゃ出来ない相談っすね。敢えて聞かなかったことにします。
「でも、なんで夕方?」
「昨日寝る前に丸薬を飲んだのは覚えているよね、1日飲まず食わずではないけど、お風呂に入ったりしたいのかなと思って、丸薬の刻(時間)が過ぎるのを待っていたんだ。」
「翌日の夕方?」「そう、翌日。一人でお風呂には入れる?メイドを呼ぶ?」「一人で入れます。」届かない所とか、洗い忘れが無いよう魔法を駆使して洗えるのです。本当は魔法で補助するからメイドがいなくても生活全般、全然、不便でもないし大丈夫なんだけど、あえてメイドの仕事を取り上げない様に、日頃は貴族な自分の立場を配慮してメイド達に世話をしてもらっています。ですが、ソルと2人きりを邪魔されたくないので、一人でお風呂に入れることを肯定します!
ソルと、夕食を部屋で食べて、お茶を飲んだし、そろそろお風呂に入りましょうか。
「着替えを出して、お風呂へ行ってきます。」ソルに言って、着替えを探しに行く。衣裳部屋が隣だから、どの寝間着にしようかと考えながら行く。今は普通の寝間着だからと、次を黒ネコ(正確にはネコに似た生き物)着ぐるみの寝間着にして持って、個人部屋の続きに併設されているトイレに入ってから、これまた個人部屋に併設されているお風呂に向かった。
お風呂から出て、歯を磨いてからソルに声をかけた。「ソル、寝る準備をしたよ。ソルはこれからお風呂でしょ、次にどうぞ。」お風呂にはクリーン(洗浄)魔法をかけてあるから大丈夫。こっちを向いたソルの動きが止まった。「どうしたの?」
「ああ、似合って可愛らしいと思って。」
「本当は、耳付きフードじゃなくて、耳付きカチューシャがセットなんだけど、つけてみようか。尻尾もついているんだよ。」耳付きカチューシャをつけて、くるっと回って、尻尾を見せた。耳も尻尾も魔法で動くそうで、動かしてみる。
「本物の黒キャトゥーン(ネコ)よりも可愛いな。私も風呂へ入ってくる。」
ソルがお風呂へ行ったので、「好きな物嫌いな物」ノートを出して書く。気付いたら、少しづつ書いている婚約者、ソルベール様の事を綴ったノートなのだー。別名、乙女の婚約者何でも観察ノート。
オレンの実の他に、ストベリーも好きみたい。甘酸っぱいフルーツが好みの様だ。嫌いな食べ物は今の所、見つかっていない。キャトゥーン(ネコに似た生き物)の着ぐるみ寝間着は嫌いではないみたい。ドッグイント(イヌに似た生き物)とどちらが好きなのかが気になる。
ここまで書いて収納スペースへノートをしまった。暇になったので、ネコの真似をして遊んでみる事にした。3歳児なら見られても可愛いの一言で片付けられるからだー。ベッドの上に行って、ネコの真似をする。
「にゃにゃ!」「にゃーん!」ベッドの上でゴロゴロしたり、伸びをする様子を真似していたりして、遊んでいた。気分はすっかりネコになりきっていた。
「可愛いキャトゥーンは返事をするかな?」ベッドにソルベール様が乗って来た。
「にゃ?にゃーん!」ネコになりきって返事をする。そのままネコの真似でスリスリすり寄ったら、キスされた。どうやら丸薬を飲ませるためにキスをされたようだ。そのまま水も飲まされた。薬が効いて眠くなるまで、ネコの真似をして遊んだ。私がネコの真似をする遊びをしても、ソルは一つも嫌な顔をしなかった。私の遊びにも付き合ってくれている。私だって3歳なんだから子供らしい遊びがしたいもん!なりきって遊ぶの楽しいー。息がはぁはぁ言うまで遊んだら、眠気がやって来た。「眠くなったにゃん。」「おやすみ、可愛いキャトゥーン。」おやすみのキスをされた。布団の上で、遊んだままの姿勢の私が寝崩れる。私が寝たら、布団の中に入れてくれるだろうな、おやすみなさい。
目が覚めて周りを見ると明るかった、昼間の様だ。隣でソルが寝ていた。私に布団がかかっているし、私の寝間着も普通のやつに着替えさせられている。スッキリしている。お腹が空いたなー。ベッドから抜け出してワゴンを見てみる。スープがあったので、収納スペースからパンを出して食べた。ソルは疲労からの睡眠の様で起きてこない。寝かしたままにしておいて、収納スペースから、本を出して勉強することにした。
2刻(時間)経った頃、ソルが起きてきた。
「ごめん、1日半経ってしまった。今日は3日目の午前中なんだ。」
「へ?」「一生懸命役目をこなしていたら刻(時間)が経ってしまったんだ。私が休むと、成長痛で凄く痛がるし。お腹がすいただろう、何か食べる?」
「さっき、お腹が空いていたから、ワゴンのスープとパンを食べたよ。ソルが疲れて寝ていたから、本を読んでいたの。」
「はぁ、よかったー、私も食べてくるよ。ワゴンも部屋の外に新しいのが来ている筈だから、入れ替えておくよ。もう少し、何か食べるかい?」
「んー、まだいい。このまま本の続きを読んでいるから。ソルもお腹空いているでしょ、食べてきて。」
「わかった、ありがと、食べてくる。」ソルは私のほっぺにキスをして、ご飯を食べに行った。
明日からソルは仕事なのか、お弁当を作ってあげたいな。お弁当箱の代わりになるモノって、あったかな。うーん、ケーキ屋さんのお持ち帰りの紙で出来た入れ物があったかな。バスケットもあったな。紙ナプキンもある、でも、水筒みたいなものはないな。あっても、ビンで出来た入れ物だけしかないし、水筒か、何処かの領地で作れないかな、特産品として。
お弁当箱も欲しいな、保温保冷が出来るバスケットとかお弁当入れも欲しい。ちょっと、本棚から地理の本を探してみようか。でも、添い寝もあるし、明日以降のやりたい事リストにも書いておくだけにする。「私の作りたい物専用」ノートを出して、日本語で、これから作りたい物に追加で、お弁当箱、水筒、お弁当入れ、保温保冷バスケット、出来たらお弁当用品。と書いて、理由はソルベール様にお弁当を持たせたいので必要な物を作りたい。と書いておいた。
ソルが気になったので、見に行った。沢山食べている。一生懸命なのは有難いけど、成人男性が食べないいのは、いや、本音は私がソルの体調を心配しているだけ。
ソルを見ている私にソルが気付いた。
「お風呂は魔法で目隠しして朝のうちに入れたから大丈夫だよ。私もプリムラに見られたら恥ずかしいから、魔法で目隠しさせてもらったし。何か食べるかい?」
「ありがとう。果物でも食べようかなって思って。」目隠ししたなら、私的にはセーフだな。うん、幼児だから他意はないはず。果物を食べよう。
「一緒に食べよう。」ソルの手元には果物が盛り付けてある皿があった。もうデザートだったんだー。自分で一口に切って食べながら、私の口にも動物を餌付けをするように、一口に切った果物を口に入れてくれる。私はひたすらモグモグ食べているだけで済んでいる。楽ちんだなー。今は私が餌付けされてるなー。
「新婚夫婦の様だね。」ソルの感じ方は違っていたようだー。ん?し、新婚夫婦!!カッ!と瞬時に顔が燃える様に熱く、真っ赤になった。あぅあぅ。
ソルが甘いー!!笑顔が輝いて見えるー!!どーしよー!!テンパっている私を見て、笑みを深くするソルにベッタリされてしまう私、という謎の刻(時間)を過ごしました。私的は、ソルにベッタリされて、嬉しいやら恥ずかしいやら、照れて固まってしまいましたが。
昼になったので、丸薬を飲んで添い寝の開始となりました。連続であと1回飲めば、婚約した日の夜の添い寝と6回の添い寝で、計7回分の添い寝を減らせた計算になります。55回から7回分ひいて48回分。1花月(月)毎に10回分増えていくから気は抜けないと、ソルも神様も言っていたけれど。