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薄紅色の花が咲いたら  作者: 巻乃
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芽吹きー3

1歳のお披露目パーティーの理由説明回です。

 ドレスの注文でのあれこれから、ふてくされて、やさぐれて、家族の誰にもニコリともしなくなった私。 そんな私の状態をみかねた乳母のアザレアさんが、「プリムラお嬢様には、まだよく分からないでしょうが、貴族として生きていくのに必要なことなんです。」と、どうしてお披露目が開かれるかを聞かせてくれた。


 なんでも、1歳のお披露目のパーティーの流れから婚約、結婚に至る流れはこんな感じだそうで。


 貴族の家に生まれた子供は1歳の時のお披露目で、この家に新しく加わった〇〇という娘(息子)です。こんな髪でこんな瞳の、顔つきはこんな感じなので、良いご縁があれば、将来、婚約申し込みして下さいね。との紹介の場なのだそう。私のお披露目ドレスに気合が入るのは、経済的にも容姿的にも家格にも問題ないですよと知らしめる為に必要。上記の理由で母様の気合の入り方が尋常でないのは仕方ないそうなのだ。1歳からの婚活パーティーとは、気が早すぎる。うへぇ。


 貴族として生きるためにも良縁、家格の良い所との繋がりが重要で、まかり間違っても変な縁を結んで不幸にならないようにと、(ただし、うちの家の様な子煩悩の所は)頑張るそうだ。


 子供を使える駒扱いで、お金に目がくらんで…とか、強い後ろ盾が欲しい…とか、子供が不純異性交遊という結婚前にオトメで無くなったり、婚約者以外との子供が出来た場合はまた色々、大人の事情云々かんぬんと併せて、色々やりようがあるそうだ。お嬢様にはまだまだ知識としても早すぎますっ!必要ありません!と、詳しく教えてくれなかった。


 アザレアさんがやけにキッパリ、ハッキリと言い切ったが、何かありそうな…モヤモヤ感がある。もうちょっと育って、図書室に入れるようになったら調べねば。平凡なのんびり、ゆったり快適生活を送るためにも、知識は必要だ。心のメモに必須事項として書き込む。


 その次の段階の婚約は、7~10歳から上は15歳位までの婚約が決まっていない子供対象の王宮お茶会が開催されて、付き添いの保護者1人と婚約してない本人が参加。お茶をしながら会話したりして、相手の子がどんな性格か、礼儀作法をしているかを見て、良さそうな所のお子さんをチェック。これはっ!!と思ったら、逃さずすぐにその場で(仮)婚約もしくは婚約します!(予約)と、周りにも分かるように(ライバルを蹴落とす為に)宣言するそうな。


 今の王であるジェイド陛下と王妃であるエレガント妃様はジェイド陛下の一目惚れと公爵家という家格、その聡明さがお茶会前から噂になっていたほどの才媛で、その場で(当時王太子であった)ジェイド陛下がプロポーズをしたと。

 断る理由がないエレガント妃様はこれを受け、そのままジェイド陛下が婚約を宣言。王家のゴリ押しで、(仮)婚約を婚約(決定事項!!)にしてライバルを寄せ付けないようにと陛下が機転を効かせ、当時はお茶会参加者全員の度肝を抜いたと。


 ねじ曲がった噂が拡まり混乱を招かぬようにと、当時の王室広報担当者と、王室担当新聞記者が慌てて急ぎ号外を発行。そのせいで王国中に(当時王太子であった)ジェイド陛下の婚約が拡まった。

 婚約後、花に引き寄せられる蝶の様に逢引きし、貴族の通う学院へ入学、仲の良さで学院中を生暖かい目にして、この国の世継ぎの心配は全く無く、これからも安泰だと噂された。


 学院の卒業式の翌日!!(通常は王室として半年から1年掛けて準備。なのに、どうやら陛下は待ちきれなかった為、最終学年始めから根回し、準備に追われながら)エレガント妃様への逢引きも欠かさず、馬車馬のように動き、それを生暖かい視線で周り全てが見守ったそうな)に結婚式が行われたそうだ。


 結婚式はスムーズに進行し、披露の王宮舞踏会では、笑み零れんばかりのジェイド陛下と、嬉しそうなエレガント妃が見られたそうだ。ジェイド陛下が王宮舞踏会での閉めの言葉を語りながら、「結婚出来て嬉し過ぎ!!!全開!!!」と全身から漲らせて男泣きしていたと、微笑ましいエピソードになっているそうだ。


 微笑ましいエピソードはまだあって、ジェイド陛下の惚気が未だに臣下の間で噂として出回る以上に惚気話を語るという真実があるからだ。どんだけ王妃好きなんですか、陛下。アザレアさんがこの話をウットリしながら語っていたが。


 (婚約のはなしの続き)家に帰り、子供の希望も聞きつつ、水面下でのライバルの動きとか家格や性格、諸々を更に吟味して調整をして、書簡での婚約申し込み。返事を待ちつつ、第2候補、第3候補へも打診しつつ、ひたすら待つ。


 人気のある所は水面下での動きが激しいらしく、ライバルも多く、決まるまでは時間がかかるそう。

 そちらも選んで申し込みしてきたのでしょう。こちらも選ばせて下さいね。と。


 その中から選んで、おぉ!良いご縁だ。さぁ、婚約しましょうとなる。貴族の通う学院で交流しつつ、相互理解を深めつつ、学院を卒業したら、丁度、成人となるので、卒業後、2~3カ月で結婚式を挙げる。もしくは、婚家に入り、婚家での勉強をしつつ結婚準備か、ら、の、結婚式。この場合は、半年から1年後位になることが多いそうな。どっちかというと、婚家に入るとほぼ夫婦扱いになって、子供が出来てしまう場合もあり、そうすると、娘の親が尽力した嫁入り道具のウエディングドレスが着れなくなるので、出産後に結婚式となる深い事情があるそうです。


 前世みたいに親子のDNA鑑定なんてないから、確実に子供の血を継がせるのに、初夜の翌朝、オトメか否か使用した寝具の確認作業があるそうな。確認できない場合は、月のモノが来た後に仕切り直しで、初夜がまたあるそうです。


 アザレアさんは、小さい頃からずっと一緒だった幼馴染と婚約からの結婚でも、翌朝の確認作業の結果が曖昧だったらしく(出血が少なかったらしい)、オトメだったと夫が猛抗議したのに、当主の一声で仕切り直し初夜が決定して、未だに(夫が当主になっても)、前当主の舅と仲が悪いそうだ。


 そんなアザレアさんの仰天エピソードまで聞かされながら、のんびり、ゆっくり平凡に生きる為にも、やる事リストが増えそうだと、こっそり溜め息をついた。

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