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薄紅色の花が咲いたら  作者: 巻乃
29/56

芽吹きー26

 馬車が着いて御者におろしてもらった途端、すらっとした(転生前なら、キャリアウーマンと称するのが似合いそうな)美女がいました。その美女にガバッ!と抱きすくめられました。ええ、いきなりです。よく見ると、お会いした事があるような…、あ!!サラベルナール様です!この人がソルベール様のお母様です!お茶会の時はまだソルベール様とお会いしたばかりだったし、公爵家の方々をハッキリとは憶えていませんでした。何せ、覚える人数が居過ぎて、結局は半分ぐらいをおぼろげに覚えただけで、全員は覚えきれませんでしたー。ワトソニアお父様やクリナムお母様の念話による説明と言う名のフォローがなければ、お茶会は乗り切れませんでしたよー。


「母上!プリムラが挨拶しに来たのに!離して下さい!」「可愛いから、嫌!」

美女の腕の中で言う。「ご挨拶させて下さい。お願いします。」上目遣いで、一生懸命に見つめてお願いする。フリューリンク家で抱っこされて離してもらえない時に使っていたワザだ!効いてくれ!

「可愛いお願いは聞いちゃうわ!」離してもらえた。よしっ!ここでも使える!

「ソルベール様、髪とかおかしくなっていませんか?大丈夫ですか?」ここでの1番の味方はソルベール様だ!頼って、守ってもらおう!本音を言うと、私が嬉しいからでーすっ!!一石二鳥!!

ソルベール様に向かって上目遣いで、見つめる。

「大丈夫だよ、可愛いから。リボンが少し曲がったかな。」

「リボンを直していただけますか?お願いします。」上目遣いは継続中。頑張れ私!

「直すよ。」ソルベール様がリボンを触って、次にリボンから手を離した。リボンを直してもらえたようだと思った瞬間、おでこにキスされた。私は「ふぇ!?」って変な声が出た。次に頬にキスがきた。混乱して固まったままの私は、動いていない。そのまま、唇にもキスが降ってきて、私の反応出来なかった羞恥心が遅れて仕事をしたので、急に真っ赤になり、そのまま固まっていた。


「ちょ、おまえっ!」「まぁ!」「…。」後ろの方でも大勢の人が出迎えていてくれたのにとか、周りが結構何だか騒がしいけど、動けない。さらにソルベール様に抱き込まれた。もう頭の中真っ白。羞恥心よ、いい仕事をしてくれたな。衆人環視の中でのスキンシップには耐え切れなくて、ふっ、と気が遠くなった。


 どこからか誰かが叱られている声がする。「奥様!挨拶もまだなのに何しているんですか!挨拶しようと頑張っていた美幼女を!かわいそうに!」「坊ちゃまも坊ちゃまです!いくら婚約者でも、貴族のご令嬢に衆人環視の中であんなことをしたら、気を失ってしまうのは、当たり前です!お二人の時には存分におやんなさい!」あー、美幼女って褒められちゃったー。抱き着きには慣れてますから大丈夫ですよー。ふふっ、2人きりなら構いませんからねー、ソルベール様ー。ふふっ。「気付いた!?」「目が覚めた!?」あれ?ここ、どこ?ここはどこですか?ソルはどこ?さみしいよー。ソルー!!あ、なんか抱き着いた、温かい。

「私達2人は外に出ますね。」女の人の声。「ごゆっくりー。」男の人の声。扉の閉まる音。ん?

「目覚めてないのかな?目覚ましをしないとね。」


 (しばしお待ちください。)

 ………いっぱい振って来ました。息苦しかったです。目はしっかり覚めました。はい。一種の人工呼吸だと思うことにします。昨日から、こんな甘々な調子になりました、私の婚約者様。


「目が覚めて良かった。」こんな状態にしたのは誰かと言いたい、説教したいです。でも、好きになった弱みで言えません。周りの目が無ければ、嫌じゃないので強気に出れません。こんなにも弱い自分です。


「目は覚めたのですが、ここはどこですか?」「私の部屋のベッドの上。気を失ったプリムラを運んだ。」「客間とかではないんですか?」想像がつくけど、3歳児なら聞くであろう質問をする。

「今夜、ピーオニー公爵家の身内だけでするお祝いのパーティーがあるんだ。遠くから来ている者もいて、客間は一杯なんだよ。これがただの貴族のご令嬢なら、母の部屋へ運んだけど、プリムラは私の婚約者だから私の部屋に運んでも問題ないんだよ。だから、ここにいる。」そうだ、内輪でお祝いするって言ってた。

「じゃあ、毎日このベッドで眠っているの?」3歳児のする確認。

「そう、でもこれからは違うよ。知っているでしょう。」あ、何か妖しい雰囲気。

「私と一緒?」他に話題をそらさないと。

「そう、一緒だ、よ。」甘いけど、危ない雰囲気がー!!

「私のベッド1つで足りるのに、ソルベール様の部屋をどうして作るのかな?」3歳児のする質問!!

「それはね、結婚前の私達に悪評がつかないように配慮したんだよ。」

「私は一緒の方が幸せなのに。」これは本音。

「プリムラが小さいから今は添い寝しても周りは見逃してくれるが、10歳を過ぎたら見逃せなくなる。だから、その前に私の部屋を作っておけば、婚約者に会いに通っていると思われるだけで済むんだよ。」

「大人は大変なんだね。」私は3歳児。まだ3歳児。

「プリムラが具合が悪くなったり熱を出したりしたら、一緒には寝れないけれど、それ以外は一緒だよ。」

「じゃあ、ソルが熱を出したりしたら、私が看病するね。3日に1度しか寝れないし。でも勉強はサボれないから、本を読みながらだけど。」よしっ!妖しいのから逃げれた!

「そうしたら、頼もうかな。」ニコニコ笑顔に変わった!


 部屋から出ないとマズいと思う。

「もう挨拶に行ってもいい?」

「紅を直そう。」そうだった、迂闊!この関門があった!

「今度は自分で直してみたいな。」逃げ切れ!私!

「鏡を持ってこようか?」「大丈夫です。私のバッグを取って下さいますか?」「中に鏡が?」「持ち歩き出来るように小さい鏡が入っているんです。」バッグを取ってもらった。中から、自作のコンパクトミラーを出す。両面に鏡がついているが、片面は映した場所を拡大して見えるようになっている鏡、拡大鏡がついている。それをソルベール様に見せた。

「女性なら欲しいかな?と思って作りました。今日、サラベルナール様にお会い出来たらと思って、一応、持って来ていたんです。」収納スペースに繋げてあるから、いつでも取り出せるけど。

「見せてくれるかな?」

「私ので良ければ。」貴族だと、メイドに荷物を持たせたりするから鏡が大きくても気にしてなかったんだよね。化粧品を持ち歩く発想もないし、ましてや、小さい持ち歩き鏡なんて発想もなかっただろうし。道具庫に試供品で作ったりした色々な物がまだまだ入っています。

「これはすごいな。」

「ソルベール様のピーオニー公爵家の領地では彫金が盛んでしたよね、こういう新製品はどうかなと思って。大きい作品だと、熟練した職人しか作れないじゃないですか。若い職人でもこの大きさなら作りやすいし、腕を上げるためにもなるかと思うんです。いかがですか?(ウインク!)」目付きがかわった。もう一押し。

「私達の婚約式に来たお客様への良い手土産になると思うんですけど。」ダメ押しだ!

「そこまで…。」

「だって、嬉しくて仕方がなかったんですもん!!」

「プリムラ、これを借りてもいい?」「私の口紅を直してからなら。それと、話はまだ続きがあるんですよ、ソル。」

「続きがあるのかい?」あえて、口紅を直す。今なら妖しくならない。逃すな機会!


「ソルは、男性のお客様には何も手土産がないのはおかしいと思いませんか?独身の方もいらっしゃるんですよね。」

「そうだね。嬉しくて、忘れていたよ。」

「男性向けには、こんなのはどうですか?」金属製の凝った彫金のステッキを出した。


 この世界は何らかの魔力持ちが7割いる。残り3割の魔力が無い人も、魔力がなくても、安価な魔石による補助で魔法が使えるから、全く問題がない。だから、歩くのに不自由な時は木で作った簡易な杖を使うし、治癒魔法もある。だから、おしゃれの為のステッキなんぞないのです。


「これは、ステッキと言う名をつけてみました。男性のお洒落の為だけの金属製の杖です。金属や彫金の模様などを変えたり宝石を付けたりして、一人一人違う意匠をこらせば、お洒落だと思いませんか?マントとか服とかと意匠を合わせたり出来ますよ。」

「父上も今日はもうすぐ帰宅する。早速、見せよう。」

「婚約者様には、私は満足していただけますでしょうか?ふふっ。」

「最高の婚約者だよ!」


「私、結婚まで手間暇かかる婚約者だし、すぐには結婚出来ないしまだ子供も産めないし、でも、少しでもソルベール様に相応しい婚約者だとこの家の方々に認めて欲しいのです。だから、出来る事は無いかと、好きになった方のお力になりたいと思って、お茶会の後から少しずつ作ってみたんです。」

「そんなに、」

「3歳なのにおかしいって思われてもいいから役に立てればいいって……。」涙が出ちゃった。止まらない。どうしよう。ギュッて抱きしめてもらえば落ち着「泣かなくていい!かならず結婚する!!泣くな!!」ギュウーッと抱きしめてくれました。しばし、そのまま。私って甘えん坊だったのかー。3歳だった。甘えて当たり前の歳だった。じゃあ、遠慮なく甘えよう。これが、私の一生に一度の恋になる。もし恋に敗れても後悔はしない。どんな事があってもこの国を発展させればこの世界が少しずつ発展するはず。神様もそれなら文句はないよね。


 あー、呼んでもらえてよかったよ。他に人がいない2人だけでいてくれて助かった。昨日は計算間違いをしていた。すまない。1廻(年)336日、1廻(年)11花月(かげつ)だから来週には4歳になる計算だったのが、この半廻(半年)分、足りてないんだよね。7廻(年)後、16歳になるんだよ。そうすると、子供を産むのには早いんだよね、たった1廻(年)でも身体の成長度合いが違うんだ。だから、ソルベールには悪いんだけど、336日の半分は168日分、昨日から今朝の分で3日分少なくして、165日分、5花月半分、添い寝をして欲しいんだ。165日を3で割って55回分、1花月(かげつ)30日だから1花月(かげつ)で10回分足されるからね、ドンドン増えていくし、2人が大変になるから、毎日で計算しても結構かかるんだよね。でも毎日じゃ、ソルベールが眠れないんじゃ身体が持たないから、どうしようか。


「え?」「は?」


 ソルベールは何日に1晩なら添い寝をこなせるかな?寝ないで動けるようにすれば、何日なら大丈夫?


「いきなり神様?!」「ええーっ!神様!」


 ソルベールに返事を聞きたいんだけど。不手際は早く修正したいんだよね。返事は?


「待ってください!今、考えます。」


 刻(時間)を止めているから、焦らなくても大丈夫。ちょっと、昨日と話し方が違って、気軽な感じになったけど、神なのは間違いないから。にしても、この家はいつも他国の間諜(スパイ)が多いよね。今日はいないけどさ。用心の為に刻(時間)を止めたんだ。面倒だし。


「プリムラにはこちらの都合があるので、聞かせないで相談したいのですが。」内密の仕事内容とかスケジュールが漏れると困るのかな?

「神様と相談してください。聞けない様にお願いします。」


 そうしよう、プリムラ。これから聞こえなくなるがしばし待て。

「はい。」あ、聞こえなくなった。


 これで、プリムラには聞こえていない。プリムラは内密の仕事の内容とかスケジュールを仕事上、聞かれるとマズいから、聞こえなくしたと思っている。説明すると、半廻(半年)で56回分添い寝をしないとならない。なのに、来週でプリムラは3歳半、私との話では4歳になるはずが、1回しか添い寝をしていない。16歳と17歳では子供を産んだ時の危険性が格段に違ってくる。結婚したら、すぐに子供を持つのを期待されるだろう、長く待つのだから。プリムラの危険を減らすために必要なのだ。56回のうち昨日から今朝にかけて添い寝をした1回分を引いて55回分、その分を増やしてもらえないだろうか。それを昨日伝え忘れていたんだ。


「それで、私が寝ないでも動けるようにとは。」


 で、プリムラも大きくなったら、しなくてはならない事も増えるだろうし、覚えたい事も増えるだろう。その前にこの増やした分に、1花月(かげつ)(月)毎に10回分増えていくから、だんだん増えちゃうんだよね。それをソルベールが何日に1度なら増やせるか、寝ないでほぼ1晩中添い寝だから、ソルベールは成人しているから、私の力で5日に一度くらいの睡眠で動けるようにしてあげるよ、それで、どうにかしてくれないかと思って。プリムラはそうすると、3花月(かげつ)(月)から5花月(かげつ)(月)の間は睡眠を毎日とれるようにするからさ、どうにかならない?


「私次第ですか。少し考える間を下さい。」


 添い寝の間は基本的に、影には寝ている幻を見せておいてある、何人たりとも入れない覗けない聞こえない仕様にしているから安心だよ。丸薬を飲むと発動するよう条件が付けてある。考えついたら、呼んで。プリムラに話すことがあるから。君の邪魔はしないようにプリムラと私の話は聞こえない様にしておく。


「分かりました。」


 プリムラ、今、ソルベールは考え事の最中だから、話に来た。こちらの手違いで、半廻(半年)分の添い寝が足りなくなるんだ。来週で、3歳半、私との話では4歳になるだろう、7廻(年)後に16歳になってしまうんだ。身体が育ち切った後、内臓は20歳まで育つのは知っているだろう。


「転生前の知識で。」


 そうすると、16歳と17歳では子供を産む危険性が格段に違うんだ。


「言われてみればそうですね。納得します。」


 添い寝してプリムラの面倒を寝ないで1晩見なくちゃならないソルベールの負担を考えて、ソルベールの返事を待っているんだ。


「そうなんですね。ソルの返事待ちですか。」


 その調節をする間の3花月(かげつ)(月)から5花月(かげつ)(月)は毎日睡眠をとってもらうことになる。ソルベールの都合に合わせやすいように。


「まだしばらく毎日眠れるんですね。」


 本当なら、今日も添い寝して欲しいくらいなんだよ。焦らして、添い寝出来なくなったら、困るからね。


「私、その調整期間の夜の勉強が出来ないんですね。ほぼ、5歳になるまでの1廻(年)分を。チートで私とソルベールに何かくれませんか。神様。」


 試しに言ってみて。可能かどうか考えるよ。


「私とソルベールの分ですからね。言語チート、読み書きの出来るやつ。読めたり話したりするだけでなく、書く方もちゃんとあるやつ。ただし、ソルベールには日本語のチートは付けないで下さい。」


 採用!!それなら、問題ない。もっと他のやつかと思って焦ったー。ソルベールに日本語を付けなかったので、採用になりました。でないと他の世界人を転生させられなくなちゃうし。


「だいぶ真剣に悩んで、考えていますね。」


 ま、まぁ、いろいろあるからね。男には。


「この世界では仕事も付き合いもありますからね。転生前は男女平等でしたけど。」


 そうだねー。


「そう言えば、私選任の神託人員をって話があったじゃないですか、状況の変わった今でも必要ですか?」


 ぶっちゃけ、ない。今は逆に邪魔になるかな。でも、王家の影から専任で女の子が来そうなんだよね。どうしたい?


「作業しにくくなるから要らない。覗き見されて、王家にその情報が伝わって、好きに出来なくなるのは不便。その為にも王家でない所へ嫁ごうと前から思っていたのに。自由に出来なくなる。発展させる邪魔。」


 そこまで言うなら、私の使いのクンツァイトの出番かな。あれでも王家だし。


「前王のやらかしを聞きました。その際、亡くなったのが父の弟だったとか。」


 詳しくは教えられない。でも、君みたいにスキル持ちじゃなく、クンツァイトの様に神託を受けてもらいたかったから、生まれた後にお願いしたんだ。他の神官達も任せて欲しいって言うから任せたのに、それなのに、あんな酷い事をして。クンツァイトが生まれてから見たら素質があったので、今回は神官達を信用せずに加護をつけて、さ、神託後に手出しをしたら、神罰ってことにしたんだよー。その前の人達にはそんな事は起こらなかったから、信用していたのに、さー。セイクリッドの妻も、セイクリッドの一族の罪を注ぎたいと、2人目を産んだ時に自分の命で贖ったのに、「神様!それって本当の事!?」


 ああ、本当さ。


「今夜、ヒューゲルト侯爵一族の夢に出て、今の話を厳かに話せないかな。そうしたら、変わりそうな気がするんだけど!」


 いい考えだね、やってみるよ。


「王様と王弟にもついでに見せると、手間が省けると思うよ。専任の影は要らないって断りも一緒にお願いします。」


 そうだね、説明が面倒だし、そうしよう。ついでに専任の影を断っておくよ。


「ヒューゲルト侯爵一族の神託を覗き見する王と王弟にしたら演出し過ぎかな?」


 たまには神託を変えてみたかったんだよねー。その案を採用!!採用!!たまには趣向を変えよう。楽しみ。まだソルベールは悩んでいるか。ちょっと、様子を見に行ってくる。待ってて。


「…だから、仕事との絡みもあるけど、自分としては毎日動けるようになるなら毎日手助けでも大丈夫だけど、毎日だとな、キツクなったらどうしようか。…ぶつぶつ…でも…。」


 悩んでいるね、若者よ。添い寝の回数を増やす褒美に、どんな言葉でも話せる聞ける書けるように出来るようになるのをつけよう。君達2人分だ。そうすれば、それを学ぶはずだった刻(時間)を違うことに回せるだろう。プリムラには5歳になるまで毎晩寝れるようにすると話したから、君の都合で添い寝を進めて構わない。5歳になるまでの、しばらくは毎日違う年齢の幻が不規則に現れるようにするから、さ。


「それなら、悩んでいた部分は解決します。5日に一度の睡眠で動けるようになるのですか。」


 任せといて。今夜から添い寝出来るかい?(ま、何で悩んでいたか丸々聞こえていたけど。)


「出来ます。ただ、後で、仕事にシワ寄せが来たら困るのです。明日から4日間、臨時休暇がもらえました。プリムラの負担を早く減らしてやりたいので、連続では丸薬を何回、使えますか?」


 丸薬は何回連続しても悪い作用はないけど、人間が使うなら10回までかな。飲まず食わず寝ているんじゃ人間はマズいでしょ。合間に食料や水分を摂取するんだよ、生きているんだから。トイレもお風呂も頼むよ、プリムラは眠っていても食べたり飲んだり出来る様にしてあるよ。

 じゃ、それでいいかな。プリムラが君を待っているよ。ここから出たら、君は5日に1度の睡眠で動けるから。そうなるのはプリムラが5歳になるまでの限定だよ、忘れずに。言葉の読み書きもここから出たらつけておく。では、プリムラに何かあったら、呼んでくれ。では、またの機会に。


「戻った。」「戻ってきた。」「神様はいつも突然だからビックリします。」「そうだな、私も驚いた。」

「気軽な話し方をすると信じてもらえないから、人を見て話し方を変えるそうです。」

「私は大丈夫と、判断してもらえたのだな。」

「神様からどんな言葉でも読み書き出来るようにしてくれたので、良かったです。ズルいですけど、宰相になったら必要ですよね。」

「その分、今夜から添い寝しろと言われたが。」

「手間がかかりますが、婚約者として大きくなるのに協力を宜しくお願いします。」

「こちらこそ、これから婚約者として、宜しくお願いします。」


 ベッドの横のサイドテーブルに、小さく切って食べやすくしたサンドイッチと水とお茶が用意してあった。お昼を食べていなかったので、ソルベール様と仲良く一緒に食べた。食べ終わった後に、口紅を塗り直しても落ちちゃったな、と、自分で口紅を塗り直した。ソルベール様は何かを考えているようだったので、自分で口紅を塗り直せたのだけど。


 それにしても、1晩中、成長痛を解す役目だなんてソルベール様も大変なのに、引き受けてくれて感謝だなー。せめて、可愛らしい寝間着を着ようと決心する私であった。


「明日の昼間には、必要な物をここの部屋に取りに来ておかないと。5日に1度の睡眠で動けるようにしてもらったんだ。プリムラが5歳になるまでの限定で。」

「ありがとうございます、ソル。」ほっぺにキスをした。ソルベール様を驚かせたかな?ソルベール様の頬に口紅の後は付いてない。

「では、一緒に応接間へ行きましょう。この2つは、しまって今はまだ見せないでおいてください。」

「はい、ソル。」コンパクトミラーとステッキを収納スペースへ、しまう。


 私は、ソルベール様と一緒に応接間へエスコートされながら移動した。今度こそ挨拶するぞ!と。

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