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薄紅色の花が咲いたら  作者: 巻乃
21/56

芽吹きー20

 あの宰相室見学会翌日から、平穏な日々が続いています。ですが、私は監視要員としてオーキッド公爵家に宿泊しています。


 何故なら、父様や爺様から神託の内容を聞いた母様、デルフィお婆様が甚く激怒して、私が泊まっているので安全の為の見守りの影がいて当たり前。と、ワトソニアお爺様に許可を貰い、影の増員をしました。


 実際は私でなく、クリナムお婆様の監視要員として、フリューリンク家からの影を新たに付ける事をワトソニアお爺様に許可させたというのが本当の理由です。そんなの(クリナムお婆様)が居ると、プリムラの身に何が起きるか分からない。だから、こちらからも監視を付けるからな!!と、マンサク爺様の圧力がかけられたみたいですが。父様も私の安全の為に、母様が嫌と言っても、常々、オーキッド家にフリューリンク家からの影を増やそうとは思っていたみたいです。


 母様の幼馴染のビュンター侯爵家のカメリア夫人が本を届けに商会の人と来て、私とお茶を飲んで、すぐ帰られました。イリスの代わりに様子見に来たの。と妖艶に微笑んで。法律の本が届いたので、メイドや執事に手伝ってもらい、私の書斎の本棚に入れました。


 そして、私が居るからと、私専用台所の設備を調えるので、どんなふうにするか検討中です。午前中は比較的色々な事が出来ます。自学自習です。午後からはフリューリンク家に戻って、デルフィお婆様の調剤の諸々を私と姉様が教わっています。


 フリューリンク家の領地の屋敷と王都の屋敷のそれぞれの敷地の2カ所に、デルフィお婆様専用の工房があります。そこで、調剤の講義と実習を学んでいるのです。合間に手芸の基本を教えてもらっています。それが終わると、オーキッド公爵家に行き、のんびり過ごして、ご飯にお風呂、で、寝る支度をして寝ます。


 ただ、今日は、神様へ神託のお礼にお供えをする新作(new!!)アイスクリームを(王命で秘匿となったので料理長の手伝いはNG(ダメ))一人で作るので早めに工房から引き揚げさせてもらいました。だけど、まだフリューリンク家の厨房に居ます。公爵家の厨房を使って、万が一、クリナムお婆様にアイスクリームを見られたら、神託の回避が無駄になってしまうし、まだ正式に公爵家の養女になっていないので、遠慮したのです。


 さて、何のアイスクリームにするかなー。こういう時、神様と気軽に話せると楽なんだけど、無理かー。目を瞑って、何味がいいですかー?と問いかけてみる。…返事はない。何日か前に公爵家で食べたデザートの中に、苺みたいな果物を見つけて、執事のマルスへ取り寄せるように頼んだモノが、昨日手に入ったから、苺ミルク味にしてみようか。他にも色々なお菓子を多めに作っておこう。


*****

 そうそう、一昨日と昨日の夜の間、神様にもらった収納空間場所を調べてみました。収納空間場所に入れておくと、温かい物はそのまま、冷たい物はそのまま、外の刻が経過してもそのままで、腐ったり壊れたりしないのを確認しましたー。何かを取り出す時に不便なので、収納空間場所の中を大まかに区切りました。足りなくなったら、また区切るけど。アイテム(物品、品物の意味)を入れるのに、保温庫、冷蔵庫、冷凍庫、薬草保管庫、道具庫、小物庫、大物庫、武器庫、お財布、その他、未分類1、未分類2、と計12の名前を付けました。


そのまま入れても大丈夫なんだけど、分かりやすくしたかった。で、収納空間場所を区切ったら、ゲームの中みたいに画面が見えて、スクロール出来るようになった。画面の上部端っこを視たら、[プリムラ専用収納スペース(無限収納空間)]区分[保温庫][冷蔵庫][冷凍庫][薬草保管庫][道具庫][小物庫][大物庫][武器庫][お財布][その他][未分類1][未分類2][new!!予備1][new!!予備2][new!!神様への貢物入れ][new!!神様からの贈り物入れ]12から16に勝手に増えてるわー。


保温庫ー温かい物、熱い物専用倉庫。ケークサレ、スコーン、スープを入れる予定。

冷蔵庫ー冷たい物専用倉庫。野菜、果物、ジュース、軟水にした水等が入っている。

冷凍庫ー凍らせた物専用倉庫。アイスクリーム、氷、凍らせた果物等が入っている。

薬草保管庫ー薬草を保管する倉庫。生えているままの薬草、乾燥した薬草が入っている。

道具庫ーノート、ペン、インク、薬草で作った薬、作った茶葉等を入れてある。

小物庫ーアイスクリームスプーン(掬う用)、食器類、カトラリー(スプーン、フォーク等)類かな、今入っているのは。

大物庫ー今は何も入っていないが、高性能なテントを作ったら、入れる予定。

武器庫ー(武器としての護身用)投げナイフ、短剣、(料理専用。包丁がわり)ナイフ、ペティナイフ(料理専用)等が入っている。そのうち、防具とかも入れたい。

お財布ーソウビ国の通貨が入っている。主にお小遣いでもらったもの。稼いで一杯入れる予定!!

その他ー人からもらったものが入っている。もらった誕生日プレゼントの中で使えそうな物を選んで入れた。主に図鑑、魔法書、観光案内本の本が主。

未分類1-買い物をした時に取り敢えず品物を入れる所。

未分類2-採取した物、獲得した獲物を取り敢えず入れる所の予定。

予備1-文字通り予備その1。神様が気を遣って作ってくれた保管場所。

予備2-同じく予備その2。同上。

神様への貢物入れー前回のアイスクリームで、味を占めた神様が作った保管場所。

神様からの贈り物入れーお礼に何かくれるのだろうか。神様が作った保管場所。


*****

 苺みたいな果物ストべリーと、ミルクの実と砂糖で練乳を作ってから、苺ミルクのアイスクリームを作る。紅茶みたいな茶葉で、紅茶味のアイスクリームを作る。魔法で冷やしている間に、ケークサレ、スコーン、スープに入れる野菜や肉を切って、次はオーブンの予熱をして、身体補助魔法から身体強化魔法に変更して、生地を作る。パン生地も作ってみるかなー。


 パン生地を寝かせている間に、他の下拵えをして、オーブンで焼く。スープは煮ているから暫くはこのままで、えーと、生パスタを作りたいけど、パスタマシーンがないから面倒だし、大きくなってからでいいかな。ニョッキでも作るか。


 あ、アイスが出来たみたい。収納スペースに入れて、と。オーブンで焼いていたものも、出来た端から火が通っているか確認して入れる。パン生地を成形して、オーブンへ入れて焼く。スープが出来たから、スープも私専用の鍋で作ったから、そのまま入れる。ニョッキを作る。イモを茹でて、イモの皮をむいて潰して、粉と塩混ぜて、成形して茹でる。浮かんできたら、すくって水けを切って、収納スペースに入れて…。


 あ、もうこんな刻(時間)だ。片付けなくちゃ。今夜は、大人が夜会で居ないから厨房を使っていいと言われても、そろそろあっち(公爵家)に戻らなくちゃ。執事のアセボに馬車の用意を頼まないと。ニョッキのソースを作るのは、明日かな。


 執事のアセボが用意した馬車に私と、従僕のジニアが私に付き添って、オーキッド公爵家に戻りました。公爵家に戻ると、お爺様とお婆様が夜会に出掛けられた後だったので、グラジーお兄様と私だけの夕食になると思っていました。着替えて、夕食の席に着くと、そこにはソルベール様がいらっしゃいました。


 私的には、ラッキーー!!!ですが、夜会に出なくていいのかな?とも思いました。何せ、次期宰相だろうと噂されているのですから。夜会での人脈づくりもしないといけない立場ですのに、どうしてなのかな?と思いました。


「こんばんは、プリムラ嬢。」

「こんばんは、ソルベール様。」

「今夜は宰相の仕事の手伝いがなかなか終わらなかったんだと。夜会にはとてもじゃないが間に合わないから出るのをやめたんだって。」グラジーお兄様が説明する。

「弟のノワール様は?」

「母方の実家に行っていて、今は家に居ないんだ。」

「そうすると夜会に出るはずだったソルベール一人分の夕食を急遽用意させるのも、ね。屋敷の使用人を休ませようと、気を遣ってうちに来たのさ。」

「ここならプリムラ嬢がいるし、グラジが夜会嫌いで滅多に出ないから夕食の用意がある。グラジは大いに食べるから料理が沢山作られている、だから私一人位が増えても問題ない。」

「そんな理由で、社交シーズン中はしょちゅう夕食やらお茶に来るんだよ、こいつは。」

「今更だよ、グラジ。」「ま、いつもの事だけどね。」


 和やかな雰囲気の中で夕食を食べ、食後のお茶を飲んでいると、お兄様が「今日は泊まっていけよ。」「そうだな。のんびりするか。」「じゃ、酒に付き合え!!」「お前は沢山飲むけど、私は付き合い程度にするからな。」「ん、それでも構わないさ。」


 お兄様は酒とソルベール様の泊まる部屋の用意の手配を、ソルベール様は泊まることをピーオニー家に伝える使者の手配をそれぞれ執事のマルスに頼むと、お兄様が「俺は訓練で汗をかいたから、これから湯に入ってくる。寝酒出来るように支度するよ。ソルベール、プリムラの部屋まで送ってやってくれ。この前の説明をもう少し聞きたいんだと。じゃあ、後で。」「了解。話をしたら、私も支度してくる。後で。」

「では、プリムラ嬢、部屋までお送りしましょう。」

「宜しくお願いします。」


 ソルベール様と並んで、私の部屋まで行く。ソルベール様は無言だ。ま、黙っていても、かっこいいから良いんだけど。歩いていたら私の部屋の前に着いた。

「ここが、私の部屋です。どうぞ。」「それでは、失礼します。」ソルベール様が私の部屋に入った。


 つい、いつもの癖で扉を閉めた。「扉を閉めてもいいんですか?」そうソルベール様が問う。「へ?」「ふふっ。可愛らしい。」何をしたの?私。……、あ、3歳だから忘れていた。異性と2人きりになる時は扉を少し開けておくのがルールなのに、うっかりして扉を閉めちゃったよー!


 どぎまぎする私がどうしようかと考えている間に、ソルベール様の腕の中に抱き込まれてしまった。あ、あかん、これは、マズい。顔が真っ赤になるぅーー。そらみろ、耳まで真っ赤になっちゃったよーー!!

そのうち、ウットリしてしまい抱き着いてました。いつの間に移動したのか、私のベッドの上で。さ、さっきまで、隣の部屋に居たのにどうして今、寝室にいるのかと不思議に思う。あれ?私、話を聞くんじゃなかったっけ?そんな私の頭をなでているソルベール様。


「あなたの部屋に入れるとは、今日はツイていますね。」「え、と、ソルベール様が家族以外で初めて部屋に入った方です。」「そんなに可愛らしい事を言う口を塞ぎますよ。」「え?」キスされた、何度も。

「早く大人になって下さいね。」「………。(真っ赤)」その後しばらく、ベッドに腰掛けたソルベール様の膝の上で抱きしめられていた。唐突に、ソルベール様が立ち上がった。「そろそろ支度して行かないと、グラジに怪しまれます。」「はい。ではおやすみなさい。」「お休みの挨拶にはまた伺いますので、それは言わないで下さい。」「それでは後で。と言えばいいですか?」「ええ。では後で、挨拶に。」


 私の部屋からソルベール様が出ると、ぷしゅーっと音がしそうなぐらいに気が抜けた。


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