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薄紅色の花が咲いたら  作者: 巻乃
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芽吹きー2

 1歳のお披露目パーティーって、何それ美味しいの?疲れるだけじゃん…誰得なの?ううっ、出たくない。出たくない。誰か代わってくれないか---と、切実に思う私。


 もうすぐ1歳だけど、お披露目にはドレスアップしなきゃならないらしくて、前世のお宮参りみたいなドレスを一から作るらしい。前世、一般市民の私は姉様のおさがりで十分なんだけど。貴族の威厳が…立場が…とか、ごちゃごちゃ言ってたけど、見栄を張らなくてはならない場面らしい。あ、どうやら家は貴族みたいです。あんまり気にしてなかったけど。美味しい物が食べれそうで良かったです。


 ドレスの為の採寸、生地決め、デザイン、アクセサリーはまだ長時間身に着けるのは無理だから、つかまり立ちしか出来ない私の為に、レースとリボンで作る飾りのレース決め、リボン決め、そのデザイン決めに、1日がかり。母様とメイド達の張り切り様といったら、一言「凄まじかった…。怖かったです。」


 ほぉっ、あれこそバーゲン会場並みの戦場だった。目が血走った淑女とメイド達。面白がって覗きに来た兄様と姉様がサーッと青い顔をして、真顔で何も言わずにそっと扉を閉めていったっけ…。私も主役じゃなかったら、逃げたかった、よ。母様。


 私だけは採寸後、暇だったから、ハイハイと這いずったり、おもちゃで遊んだり、ミルクを飲んだり、パン粥を食べたり、つかまり立ちで足の筋肉を鍛えたり(何かあった時の逃げ足を早くする為、必須!!)、後はなにしたかな?ふと気が付いた母様が床の絨毯の上で寝ている私を起こしに来たらしく、ひたすら「ごめんなさい。」と顔色を青くして何度も謝ってました。後で、母様は父様にも怒られたらしい。でも、父様も爺様もヤバい空気を読んで、声かけさえしなかったのにズル過ぎる。


 誕生日の主役が「やりたくない!!」事をしなくてもいいじゃんか…。はぁ~。

 だいたいがさー、どうして(薄っすらとは言え)転生前の記憶があるのか、どうして此処に生まれてきたかも、何にも分かんないのにぃー!!あああぁっ、平凡に、のほほんと毎日が過ぎてゆくのかなぁ…。


 お披露目の靴は、婆様(マンサク爺様の妻)名前は、えーーと、うーーんと、デルフィニウムお婆様!!からのプレゼントの靴を履くと聞いた。


 婆様は超インドア派もしくは、ひきこもって滅多に家から出ない。ひたすらに工房で調薬や、趣味の手芸をしているそうな。昔、流行り病の薬を作って沢山の人々を助けたのに、感謝の訪問にも王宮からの表彰にも出ず、爺様が代理として出たらしい。濃紺色の髪(黒に近い深い紺色)に濃紺色の瞳で、滅多に見掛けないから、流行り病から人々を助けたからと付いた二つ名が「宵闇の女神」


 私もまだお会いしていないけど、マンサク爺様が初顔合わせ以来、何度も何度も繰り返して話すから、覚えた。耳にタコが出来そうだった、よ。


 同じ家に住んでいるのに会いに来ないから、てっきり忘れられてるかと思いきや、他国からの大量の調剤の依頼に追われていて、領地の工房から出て来れずに半年以上、この王都の屋敷に帰って来れなくなっていると。

 爺様は、ちょくちょく領都の屋敷に早馬で駆けて行き、婆様不足を補っているらしい。婆様が邪険に扱うと愚痴をこぼす爺様。多分、婆様は依頼で余裕が無いのにベッタリくっつく爺様がうっとおしいだけなのだろうと推測する。頑張れ、婆様!。仕事は出来る爺様がおんぶお化け並みにくっついていても。

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