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薄紅色の花が咲いたら  作者: 巻乃
14/56

芽吹きー14

 今日は朝から、午後に開かれるイリスお母様主催のお茶会準備で、家の中が活気づいています。私の「初お茶会参加」になります!!兄様姉様と一緒なのが、嬉しくって。ふふふっ。


 今日のドレスは、姉様と私は色違いで、兄様は私と姉様の色を取り入れた衣装と小物なのっ!3人一緒なのが分かるのっ!兄様は10歳、姉様は7歳だから、王宮での()()(婚約の為の)お茶会には出席したことがあるから、()ではないんだけど。でも、()()()というのは初めてなの!お茶会が始まる前に、3人でお婆様に装いの最終チェックをしてもらったの。お婆様のお墨付きをもらえました。準備万端。


 今日、お婆様は、お母様の開くお茶会には参加なさらないのだそうだ、残念。その逆に、明日のお婆様の開くお茶会には、お母様が参加なさらないそうで。お茶会にお呼びしている年代が、お母様は、嫁、結婚した娘世代。お婆様が、姑、嫁いだ娘がいる親世代だそうで、鉢合わせすると不味い方々がいるとか。親や姑がいると言えない本音もあるからと聞いています。その逆もしかり。


 お母様のお茶会が始まって1刻が過ぎた辺りに私達は参加することになっています。もうすぐだー!


 執事のアセボが私達を呼びに来た。まずは兄様が姉様をエスコートしていった。母様から姉様と兄様の紹介が終わり、姉様がお茶の席に着いたら、兄様は一旦引き返して、今度は私のエスコートをしにきた。


「一緒に行くから、大丈夫。」ドキドキするーぅ。

「はい。兄様。」うー、緊張するよぉー。うー、笑顔。笑顔。

「じゃ、行くよ。腕に手をかけて。」兄様の腕に手をかけて。笑顔で。兄様と歩き出す。


 兄様にエスコートされて、お茶会の皆様の前に着いた。兄様の腕から手を離す。母様から参加しているご夫人達に紹介される。

「皆様。我が家の次女のプリムラですわ。3歳ですの。」

「皆様、はじめまして。プリムラ・ルブルム・フリューリンクと申します。今日、お茶会に初めて参加致しますので、緊張しております。至らない点が多々あると思いますが、宜しくお願い致します。」カーテーシーでご挨拶。

「まぁ、かわいらしい方ね。」「お噂のご令嬢なのね。」「なんてしっかりしているかしら。」「将来が楽しみですわね。」「3人揃うと、益々目の保養だわ。」口々に褒めそやして下さっている。


「プリムラ、こちらに。」兄様、姉様はそれぞれ違うテーブルに案内されて座っている。私は母様の横の席を用意されており、その席に座った。

「まぁ。聞いていたよりも小さくて可愛いわ。」

「プリムラ、こちらの方がエレガント様よ。」

「先程、ご紹介にあずかりましたプリムラ・ルブルム・フリューリンクです。王妃様におかれましては、ご健勝で何よりです。仲が宜しいとのお噂をかねがね伺っております。」

「あらっ。どなたから聞いたのかしら。ふふっ。私の事はどうして分かったの?」

「前に一度だけお会いしたルーピング様に似た髪の色と、アイスバーグ様に似た瞳の色だったので。」

「最近あの息子()達に会ったのかしら?」

「いいえ、エレガント様。プリムラが会ったのは、お披露目のパーティーで一度だけですわ。」

「えっ?まぁ!」ギラリ!王妃様の目が獲物を見る目付きに。うぅ、王族とは婚約もしたくないので…。

「歳が近い子供で会ったのは、お二方だけでしたので、覚えていました。」逃げろー!私。

「そうね。兄弟以外で会って紹介されたのはお二方だけだったわ。この娘はまだ3歳なので、他の貴族の子達とは交流がまだないのですわ。」母様、助けてくれて、ありがとー!

「言われてみれば、納得する理由ね。例のアレ(お茶会までの婚約申し込みはNG)が無ければ、うちの息子()達を進めているわー。」父様、爺様ナイスフォロー!

「気が早過ぎですわー。エレガント様。まだ3歳ですわ。」母様の笑顔の圧が…怖い。3歳じゃまだ保育園行っているだけで、幼稚園前だよー。親から引き剥がさないでよっ!!

「そ、そうよねー。何となく思っただけですわー。」王妃様が苦笑いをしている。ふぅ、何とか逃げれたー。


「お2人で話してばかり。私も紹介してくださるかしら。イリス様。」燃えるような真っ赤な髪の妖艶美人さんだー!!

「勿論よ。こちらはビュンター侯爵夫人のカメリア様よ。」

「カメリアよ。ジェイド様やストック様とは学院の同級生だったわ。何か作りたくなったら相談においでなさいな。主人が産業省長官なの。私も幾つかの商会を持っているから。(ウインク)」

「産業省とは、商会や職人を統轄している省庁なの。3歳だからまだ教えていなくて。」へー、そーなんだー。他の国から何を輸入しているかとか分かるのかなー。

「(小声で。)イリスとは幼馴染なの。何か作りたくなったら、イリスに言えば、私が相談に乗れるから。」派手めな美人さんだー。母様の幼馴染なんだ。あー、何か作りたくなった時の為に、私がやりやすいように…の紹介なんだ。母様、ありがとう。

「はい。作りたいものが出来ましたら、宜しくお願いします。」まだ何があって、何が無いのかが不明なんだよねー。まず知りたいのは、その辺りからかなー。


「こちらの方がメーアント侯爵夫人のゼラニウム様よ。丁度、家と同じ位のお子様が2人いらっしゃるの。」今度は白髪の、おとなしくてカワイイ感じの女性だー。この女性も夫人、既婚者なんだなー。


 他のテーブルを見てみても、さすが貴族。美形に美人で結婚して代を重ねているから、色々な美人さんばっかり。はっ、まだ紹介の途中だった。


「私の娘と同じ歳なのね。娘も宜しくね。メーアント侯爵夫人のゼラニウムです。主人は医療省長官です。娘とは、学院でも同級ね。」

「そうね。ゼラニウム様と似ていて可愛らしいお子様よ。今度、親子で遊びにいらしてもらいましょう。ゼラニウム様は普通とは違う、珍しい治癒魔法を持っていらっしゃるの。」

「そんな褒めても。照れますわ。普通のより少し違うだけの治癒魔法ですわ。治癒が出来るなら、その後の素養があれば、本人次第で出来るようになりますの。」

「でも、なかなかそれが出来ないと(ジェイドから)聞いているわ。」

「もう少しで出来そうなのにあと一歩なのにって方も居るんですけど、なかなか……。」

「プリムラ様が治癒魔法を使えるようになったら、是非、お教えしたいですわ。」

「機会があれば、宜しくお願いします。」あー、今までのスキル持ちと違って『多大な魔力プラス異なる知識』の私だと、新たなる魔法を考えたり、新たなる治癒を使えたりする可能性が高いと。あー、周りの期待が重い……。

「親子で、遊びにお伺いいたしますわ。楽しみです。」友達出来そう。出来るといいなー。

「ぜひ、いらして。」「はい。私も楽しみにしています。」

「お茶会が終わったら、詳しく話しましょうね。」ゼラニウム様がニコニコしていらっしゃる。


 このテーブルでの紹介が終わったから、そろそろ次のテーブルに移らないと。


 兄様と姉様と私は、順番にテーブルを回っています。それぞれのテーブルでも紹介と話をしました。


 今日、母様のお茶会に(他に)いらしたのは、ヘルプシュト侯爵(生産省長官)夫人。グラーシャッテン伯爵夫人。ファルケン辺境伯夫人。


 子爵、男爵は沢山いるし浮き沈みがあるから、そんなに気にしないで覚えなくていい。必要があればこちらが名乗るだけで、爵位の低い方が名前を言うから。と、お婆様に言われていたので、愛想よく挨拶したけど名前を憶えなかった…。子爵夫人2人と、男爵夫人3人が参加されていた。母様をいれて合計12人のご夫人達。テーブルは兄様、姉様、私が3人で、順番に話を終えて回るのに丁度いい、1テーブルに4人のご夫人達。何だか皆さん、目が優しかったなー。好意的で良かったー。と、初お茶会を終わらせられたのでした。


 翌日のデルフィニウムお婆様のお茶会では、北で採れる薬草で話が合って以来の、お婆様の親友のドラッヘン辺境伯夫人に、学者や研究者等で活躍している女性が多数参加していました。そのワイワイ賑やかな中、話を聞いているだけで有意義な刻を過ごせたのでした。楽しかったなー。兄様、姉様も楽しかったと言っていたし、お茶会って色々あるんだなー。お婆様曰く、型破りのお茶会だから内緒ね。と念押しはされたけどね。


 さぁ、残すは、オーキッド公爵家クリナムお婆様のお茶会だけだ。終わったら、しばらく家でゆっくり過ごすんだー!もう一息だー。

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