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薄紅色の花が咲いたら  作者: 巻乃
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芽吹きー10 女性限定スキルって?

 ()()()()

「だから、そのスキルを持っていた過去の女性達は、戦士となって戦いを止めたり、賢者となって生活向上や薬の発展や効能向上に尽力したり、王妃となって王を支えながら作物の品種改良をしたり、何かしら今日(こんにち)まで続く発展の元になっているんだ。」


 ちょっと、待って。そんな大それた事なんて出来ないよ。なんだ、そのスキル。はた迷惑じゃないか!!のんびり、ゆっくり平凡生活を送れない事、確定じゃんかっ!!!!責任者(そのスキル、私に付けたヤツ!!)出てこーいっ!!!!!


「どんな小さい事でも、この世界の視点と違う見方が出来るのは貴重なんだ。」

 ええ、転生前の世界には魔法なんてありませんでしたーーーーっ。


「そのスキルは、黒髪の女性で、小さい時から大人の話を理解出来るという特徴の、魔力は持っていても極少か、全くない状態だった。だから、持ってる知識が重要だった。」父様がそう言ったら、そのまま黙ってしまった。


「私が続きを話そう。」マンサク爺様が話す。

「黒髪の女性は、この世界に生まれるが、ごく少数だ。スキルの無い、黒髪の女性は、どんな生まれでも王族並みの魔力を持っている。母体として次世代に魔力を引き継ぐ力がダントツで、他の髪色よりも高い。だから、王族、公爵、侯爵がすごく欲しがる。黒髪は、()()()()結婚が出来るんだ。」

「だが、今日のアセボの早伝令で、魔力が膨大な、神からのスキル持ちが居ることが判明した。」

「わたちぃ?」自分を指さす。

「そうだ。」難しそうな表情をして、今度はマンサク爺様が黙ってしまった。


「その今までの常識を覆す、黒髪の、魔力が膨大な、神からのスキル持ちが居る。ただでさえ、黒髪の乙女は争奪戦が酷いのに、スキルまであるとは…。どんなに激化するか見当もつかない、誘拐が当たり前になりそうな、うーん、暗殺は、ないか。次世代を産むのと知識を活用するために殺さないだろう…。やっかみなら、あり得るか……。」ワトソニアお爺様、物騒な事をサラッと混ぜてますけど、まさか、まさか、ほ、ん、と、う、な、の?ど、ど、ど、ど、ど、どうしよう………。


「いっそ、オーキッド家(うち)養女(むすめ)になればいいと思うんだが。そうすれば、王国内は余裕で断れる。国外は、ジェイド王の親戚という、その威光を充分に活用して()()。フリューリンク侯爵家だと、国内の公爵家や他国を無下に出来ない。オーキッド家(うち)だったら、同じ公爵家だし、無理強い出来ない。どうかな、マンサク殿、ストック殿」ワトソニアお爺様が爺様と、父様に尋ねてきた。


「プリムラは昨日、1歳になったばかりだ。無理だ。」父様が言う。

「今すぐに…という話ではない。婚約可能な歳になる前に周知して、牽制出来るようにするんだよ。」ワトソニアお爺様が、父様の憂いを断ち切るように言う。


「娘の居ない、どこぞの公爵家が養女にするからと、ゴリ押ししてくる可能性もある。明日にでもジェイド王に話をして、いくつで養女にするかを記入して手続きしなければ、何かあってからだと間に合わんな。」マンサク爺様が父様を見る。


「………私の娘だ。手放したくない。…だが、プリムラをみすみす不幸にはしたくない。7歳からの婚約に間に合うように、6歳ではダメだろうか。」

「1廻(年)では国内しか情報が回らない。せめて、5歳だ。早い分には構わないが、親と離されるプリムラが不憫だ。親と祖父母ではどうしても、違うからな……。」4人共、無言になった。


「5しゃいでいいよ。」5歳じゃないと間に合わないんでしょう、仕方ないよね。でも、兄様、姉様と遊べなくなるのはイヤだから、早くなるのはダメっ。


オーキッド家(うち)養女(むすめ)になっても、フリューリンク家(ここ)には泊まりに来れるよ。」

「プリムラが結婚するまで、フリューリンク家(うち)にはプリムラの部屋があるからね。」

「アゲィと2人一緒に、調剤や手芸を習うって約束したんだって聞いたぞ。アゲィもデルフィも楽しみにしている。」

「あー、えーと、クリナム母上からの回避方法を絶対、教えるから。」叔父様、それは是非っ!教えて下さい。隣をチラッ、うわっ!ワトソニアお爺様が苦虫を嚙み潰したような、渋くて何とも言えない表情をしている。


「おじしゃま、じぇったいおしえてくだしゃい。」キリッ。

「かならず!オーキッド家(うち)で生活するのに必要だから。エリシマムには、前に教えたんだよ。泊まるようになったから、必要だし。アゲラタムには、そろそろかなーと、思っているんだ。」「これっ!グラジオラスっ!」叔父様にワトソニアお爺様の物言いがついた。父様と爺様の目が泳いでる。知らぬ存ぜぬを貫き通すとみた。


コンコンコン。ノックの後に扉の向こう側から「プリムラお嬢様の夕食の(こく)でございます。」と。父様が何か呟いた。薄く張った膜がパチンと消えた。

「アセボ、私達も一緒に早めの夕食を摂る。」

「ストック様、お嬢様とご一緒になさるかと思いまして、既に手配してあります。皆様方も、食堂へどうぞ。ご案内致します。」4人、プラス私。今度はワトソニアお爺様の抱っこで食堂に行き、夕食を食べた。


 夕食後、男4人で父様の執務室へ行って書類を用意、そのまま、飲み会()()()宿泊予定だと、アセボが来て、教えてくれた。明日、王城へ行って、話し合うにも便利だからと。


 私は、お風呂と歯磨きが終わり、ベッドに入って横になったところだ。


「プリムラお嬢様、応接室では、ジニアのビックリした顔を見れました。ありがとうございます。生真面目過ぎて余裕が無いので、想定外の事が起きると固まり、すぐに動けず出遅れるのです。執事になるべくして従僕になった甲斐がないと、常々、残念に思っておりました。近頃、アゲィお嬢様には慣れてしまい、あんまり動じなくなってきていまして…。プリムラお嬢様に鍛えて頂けそうで、感謝致します。」うわ、っ。アセボさん、お腹の中、真っ黒けっけだ。ジニア少年も腹黒執事に成長するために、おちょくられるんだ。アセボのオモチャにされるんだ…。うわーっ。


「おやちゅみなしゃい。」ん、眠い。色々ありすぎて、この頃落ち着かないな。あふっ。

「おやすみなさいませ。」アセボの機嫌がそこはかとなく、いいみたい。

「おやすみなさいませ、お嬢様。それでは、隣の部屋に下がらせていただきます。何かありましたら、お呼び下さい。」アザレアさんが言うと、アセボと一緒に部屋から出ていった。


 おやすみなさい。また明日。

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