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12月【前半】

2013年12月1日から15日までのtwnovelです。

寒い季節に物語はいかが?寒暖取り揃え。お好みでどうぞ。

12月1日〈カイロの日〉

寒空の下、彼と二人の帰り道。寒いね、と呟く声は白い吐息となり空に吸い込まれた。暖めて欲しいな、なんて口には出せない。だから、チラリと上目遣いに彼を見上げ、手をすり合わせる。確信犯の私に君はにこりと微笑む。「カイロあるけど、使う?」 #twnovel



12月2日〈日本人宇宙飛行記念日〉

時々、宇宙について考える。遥か空の彼方。未知を広げて作った、終わりのない世界。そう思うだけで、ドキドキしてくる。宇宙の奥深くに眠る不思議を早く解明して欲しい。あ、でも。やっぱりダメ。不思議は不思議のままで。それが、一番ステキでしょう? #twnovel



12月3日〈カレンダーの日〉

あ、忘れてた。12/2のカレンダーをめくる。すると、現れるのは当然12/3……の、筈だった。しかし、そこにあるのは大きな4の文字。3日のカレンダーはどこにもない。自分が早々にめくったのか?いや、そんな筈は……。あれ、今日は、なんの日だっけ? #twnovel



12月4日〈血清療法の日〉

輸血しますね、と看護師さんは持ってきた黄色いパックを点滴につないだ。「黄色!?輸血なのに?血なのに?」初めて見た私はつい驚いてしまった。無知な私に看護師さんはニヤリ。そして言い放つ。「はい、そうですよ。貴方には合わないようですから。人間の血は」 #twnovel



12月5日〈国際ボランティア・デー〉

最近、ボランティア活動に参加する男性が増えてきた。中にはほぼ毎回参加してくれる人もいる。実は、それは私たちのお陰。私たちは地域で有名な美人集団。私たちが参加するだけで、美人と近づくことを目的に多くの男性が集まるのよ。男って単純ね。 #twnovel



12月6日〈音の日〉

本当に小さな音だった。

日常の片隅に転がる鈴の音。

はかないそれは、風にすら掻き消されてしまいそうなほど。

音はそれでも聞こえていた。

のうないに響き渡る、私にしか聞こえない音色。

日増しに音は大きくなって、私を呼んでいる。

#twnovel #あいうえおツイノベ



12月7日〈クリスマスツリーの日〉

クリスマス?くだらない。浮かれた電飾の街を低いヒールで叩いて歩く。カップルを遠目に睨みつけて、溜息。どうせ、楽しいのは今だけなのに。目の前には大きなクリスマスツリー。白い明かりが目に染みて、涙がにじんだ。あの日、私は彼とここに。 #twnovel



12月8日〈針供養〉

折れた針、曲がった針、錆びた針。供養して神社に納めに持っていく。そして、裁縫の上達を祈るという風習は、我が家では当たり前のことだった。今日も例年と同じようにする。その翌朝。机の上には、しまったはずの針山が。そこには見覚えのない針が銀色に光っていた。 #twnovel



12月9日〈国際腐敗防止デー〉

国際腐敗防止デーって?妻と想像してみる。「豆腐とか納豆とかを食べない、とか」「えー?なら、腐敗って言い方はシツレイじゃない?」「じゃあ、なんだと思う?」「んー、腐女子を…」「国際、だよ?」「じゃあ何よ」検索してみる。あ、汚職とか、そっちね。 #twnovel



12月10日〈世界人権デー〉

僕らは自由だ。たまの不条理はあるけれど、それでも、自由だ。生きていることも、幸せを求めることも、すべて「当たり前」だと言える。どれも全部、今よりもずっと息苦しかった時代の人々が、血を流し涙を呑んで勝ち取ったもの。いま、ここに噛み締めよう。 #twnovel



12月11日〈国際山の日〉

赤く色づいた山が見える。山が化粧をする、というのはこういうことだろうか。明るく暖かな色彩にため息をついた。貴方はきっとあの山を美しいと言う。そして、その手前の枯れ木になど目もくれないのでしょうね。風に葉を散らす、その剥き出しの枝に目を細めた。 #twnovel



12月12日〈漢字の日〉

わたしたちは繋がっている。

わずかな縁を引きあって。

わかり合いたい、あなたたちと。

わすれちゃいけない、

わらい声は皆同じなんだ。

わん、つー、すりーで手をつなごう。

輪になって、笑い合おう。

#twnovel



12月13日〈13日の金曜日〉

あなたは色の白い女が好きみたいね。見て、この顔。白いマスクで覆ったの。あなたは一途な女が好きみたいね。ほら、窓の外。あなたを見つめているわ。あなたは平凡な女は嫌いみたいね。ならば、私は今から平凡を捨てて見せるわ。


ーーだから、待ってて?


#twnovel



12月14日〈南極の日〉

「なあ、どうするよ」「うーん。どうしよう」「俺の家もきっともうすぐだよ」「まずいよな、このままじゃ」「そのうち全部なくなっちまうよ!」「ああ…。やっぱりあの時ドーブツエンに連れてかれるべきだったんだ」「くそっ…。許せねぇ、チキューオンダンカ!」 #twnovel



12月15日〈観光バス記念日〉

電車の旅もいいけれど、バスの旅もなかなかいいものだ。移動時間はかかるけれど、それすらもゆったりと過ごす旅の一環。少しゆっくりと流れる窓の外の景色を見送って、その土地の日常を見送って。細く窓を開けてみると、知らない匂い。爽やかな風が吹き込んだ。 #twnovel

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