the last day
「本日のストーリー」の最後を飾る小さな物語。
そしてこれは、私の小さな願望。
何もない部屋に、一枚の便箋が届いた。
開け放たれた窓から、毎日、毎日。
その便箋には、140字程度の小さな物語。
孤独な少女は物語を見つけた。
毎晩こっそりと窓を開けた。
毎朝物語を読みに行った。
一枚、二枚。
増え続ける物語は、孤独な部屋を彩った。
朝見に行っても部屋が空っぽの時もある。
そんな時は、今までの物語を読み返し、届くのを待った。
夜更けにもう翌日の物語が届いている時もある。
そんな時は、蝋燭を灯し、小さな文字に目を凝らした。
便箋が部屋の大半を埋め尽くした頃から、便箋は増えなくなった。
少女はそれでも物語を待ち続けた。
毎晩窓を開け、毎朝部屋を見に行った。
それでも、物語は届かなかった。
ふた月が過ぎる頃、少女はもう気付いていた。
物語は届かないのだということに。
そして、自分の孤独感が払拭されていたことに。
雲のない空に、一つの紙飛行機を飛ばした。
開け放した窓から、毎日、毎日。
紙飛行機には、140字程度の小さな物語。
孤独だった少女は物語を綴った。
毎朝いちばんに窓を開けた。
毎晩物語を書き続けた。
一枚、二枚。
増え続ける物語は、今日もどこかへ飛んで行く。
174の物語を抱きしめて、紙飛行機に飛び乗った。
「本日のストーリー」を読んでくださり、ありがとうございました。




