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 我ながらどういう仕組みになっているか分からないが、喉の伸縮性と肺活量が常人と比べ異常に発達しているのだ。

 やろうと思えば、幼少期の少女の声から壮年の武人の声まで使い分ける事が出来る。もしかしたら俺は、スパイの才能があるのかもしれないが飛竜士以外の可能性を我ながら思いつかない。


 『誰だ!そこにいるのは!』


 中の気配が明らかに動揺しているのが分かる。何かをひっくり返したかのような慌ただしい気配も感じた。

 普段なら、向こうも察して軽口の一言でも返ってくるところだろうが、今回ばかりはそういう訳にもいかないらしい。

 この時間にまだ見回りはいないと分かっていても、落ち着かないのだろう。


 「懲罰もんだ」

 「俺等二人もな」


 扉の向こうにいたのは、メート=レアントとマヨイ=ハセガワ。

 金色の髪の毛のメートは酷く脅えた表情していたが、俺達を見て肩を撫でおろした。マヨイはやや怒りの表情で見ている。


 「趣味悪いよ、死ね」

 「うるせ、俺は生きるぞ」


 外国人士官のマヨイは何時も言葉が鋭いショットガンナーであり、敵飛竜士が展開する防壁破りの達人だ。

 そのせいか否かは分からないが、口が悪く東洋人特有の何を考えているか分からない表情が相乗効果を生み、やや評判が悪い。

 成績表には、個人プレイが目立ち連帯性に難ありとわりと痛い評価をもらっている。


 俺とロットの幼馴染であるメートは、敵の爆撃攻撃や小口径の牽制弾丸から味方を護る防壁装置を展開する機竜士と呼ばれる存在でチームの護りの要だ。 

 医療系スキルも学んだチームの衛生兵でもあり、彼女が明日の実技や戦場で行動不能になれば先行きはいっきに怪しくなるだろう。


 ここにいないチームメイトである、弾幕を張り道具を扱い敵を妨害するルルット=オペレートと、敵に突撃して重機械槍を振り回すロット=カーマイン。

 最後に隊長としての指示役をこなす俺、トラ=リドル。

 

 それが第四班の全員であり、他チームより比較的にバランスがとれた戦闘遊撃隊のような扱いだ。

 このチーム全員で合格すれば、まずは大雲海に出没する異形の退治を中心に仕事が回ってくる。

 そのまま雲海の掃除屋となるか、一定の功績をあげて栄えある騎士団に入隊し国と人を守護する飛竜騎士になるか、それは卒業生達の自由であり道である。


 俺は、大雲海で大物を狩るようになった後は騎士団に士官し、何れは一個十人隊長となり自らのチームを率いる事を夢見ている。

 十人隊長以上出世してしまえば、空から離れる事も多くなってしまうのでそれを避ける為だ。

 そして可能ならば、その時もまたこいつ等とチームを組みたいものだ。


 「ルルット君は寝てるの?」

 「ああ、熟睡。羨ましいくらいにな」

 「そう、彼は相変わらず強いのね」


 メートはなにがおかしいのか、クスクスと笑う。そして自らの相棒の方に向き直り、身体の鱗を撫でた。

 

 竜と一纏めに呼称しても、種によって大きさも存在も多種多様である。

 例えば彼女の愛竜メイサーは、戦闘竜としては最も飛行スピードは低いが、旋回能力や緊急時の危機回避能力が高いガリアという種の飛竜だ。


 マヨイはとにかくスピードを尖鋭化させたオーリス種の飛竜で、対照的にロットは体格が大きく鋼の鱗で自らを守護する重戦車のような鋼竜種である。

 体長は小型で六メートルから大型の十メートルまでおり、現騎士団団長様は十四メートルはある化け物のような竜に騎乗している。


 俺の飛竜は、早さや旋回力は並だが、顎の力が強く竜騎士同士の戦闘で敵の飛竜種の首を狙い噛みついて攻撃する攻撃的な牙竜種だ。

 遠距離攻撃の多様化や、近接武器の進化に伴い飛竜士達からの人気も低いこの牙竜種だが、敵の防壁装置や強固な鱗、敵国兵器をなんでも破壊してくれる頼もしい奴だと思っている。


 性別は雄、名前はハスキー。

 まあ少し食い意地が張っているが、基本的には良い奴だ。 

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