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 猫の瞳というのは、近年では軍属に数多く技術が送られている。

 裏を返せば、敵国のスパイや軍に対してなにかしらの敵対心を持つ者に対処する為だ。

 最近は敵は国家のみでなく、国際的な動物愛護団体の集団が我々を目の敵にしているのだ。名前だけは平和的だが、過激派はどこにでもいるという良い証拠でもある。

 確かに、弱者を護る法律や精神は大切だが、生類憐みの令の如く行き過ぎた決まりはがんじがらめに周囲を縛る。


 階段を降りて裏路地、食堂を横切り廊下の奥に進む。

 食堂の隣には厨房があるが、その隣には飛竜に適した食事を料理する、調理実習を兼ねた大厨房が存在していた。

 

 切り立つ山脈と山々に住処を造り暮らすこの地の人間は、飛竜を初めとした翼種という存在をとても大切に扱う。

 大きな荷物を括り付けながら、平然と飛び交うグリフォン共々寄り添ってきた。

 近代化の波や軍事的圧力が押し寄せようと、この国の人間はそれだけは変わらない。

 よって、彼らの食事も馬に与える飼葉のような貧相なものではなく、農地からとれた野菜を扱った自産自消の食生活を目指したレシピが幾つも存在する。

 人間の食事がややおなざりの気がするのは、味気ない寮の食事に舌が慣れてしまったからだろうか。

 平時から戦時までの、彼等の食事のレシピを学び『こいつ等こんな美味い物を』とやや泣けてきたのは良い思い出である。


 ふと思いつく。この時間は警備の連中はまだ見回りをしていない。

 厨房には、保存していた燻製肉があるだろう。手土産には丁度良い筈だ。

 さてそうなると、鍵をどこかから仕入れるかそれともピッキングにでも挑戦してみるか。


 鍵を仕入れるとしたら警備員室だ。盗むのは良いが、バレたら明日の試験はとんでもない事になるだろう。

 まあこうして消灯後に寮から出ている時点で、いろいろと不味いのだが。


 「ほれ」


 先程自分が通って来た通路から声。子供の頃から寄り添った連れの一人で、名前はロット=シェザード。

 錆びた赤みのある髪の毛は短く斬られており、明日の試験で些細な事でも減点させられないよう配慮されていた。

 赤の切り込み隊長として風に浴びなびく赤髪も、試験という壁の前には一度切らざるおえない。


 竜騎士という存在、特に女性竜騎士は一般大衆的には半ば様式美として好まれている。

 貴族漂流譚に出てくるような飛竜士も、長い髪の毛を風に流しながら戦う姿は美しく協力に描かれている。


 だがしかし、現実問題から考えて長い髪の毛というのは戦闘ではデメリットしか生まない。

 よく地上で活躍する女騎士にも言えることだが、兜もつけずにあのまま戦えば敵に髪の毛を掴まれ落馬してしまうだろう。

 女性竜騎士にしても、急激な旋回や宙返りを繰り返せば、時に髪の毛は自らの視界を遮り致命的な隙を生みかねない。

 故に、C・ダイヤモンドのチームの女性人も元々短髪であるナツミはともかく、長髪のミッテも何時もより念入りに髪の毛を縛って来る筈だ。


 

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