手記、『厄』と俺について
子供の頃、将来どんな夢を持ちなにになりたいか。それは育つ環境により国ごとに違いが謙虚に出てしまう。
例えばある国では、開拓時代に悪漢と戦う賞金稼ぎに憧れ、カーボーイになりたいと子供ははしゃぎ玩具の拳銃と先端が輪になったロープを振り回しながら遊んでいる。
またある国では、世界中が熱をあげるコミックブームに憧れ、忍者になりたいだの侍になりたいだの男の子達は語り合い、忍法やチャンバラに熱をあげていた。
ここロードランでもそれは謙虚に表れており、子供心に憧れ目を輝かせる職業が一つある。
屈強な竜に跨り、自らの得物一つで大海雲を渡り、巨大生物や翼竜種を討ち取り、敵国を蹴散らす、男女問わず子供を魅せる屈強な集団。
飛竜士と言う、人類は未だ手を伸ばす事が出来ない空を唯一自由に飛び回る存在。
大海雲を飛ぶ竜の模様を背中に背負った、人の領域を超えた域に到達した人物達がいた。
『王族国家直属、ロードラン飛竜騎士隊』
その狭き門に憧れ、若者は皆狭き門を叩く。俺こと、トラ=ロドルもその一人だ。
今だから言える、後悔先に立たずだが、言わずにはいられず考えずにはいられない。
憧れは憧れのまま、夢は夢のままにして、やめておけば良かった。
なにがあったかを、先に記しておくとすれば、厄を背負ってしまった俺の身に、厄病神が歩み寄って来たと記しておこう。
一連の厄について記録を残す前に、少しばかり昔の事を思い出しておこうと思う。
もう二年近く昔になるが、俺が厄を背負うきっかけとなったある事件がおきた。
その日から、世界と俺はいろいろと駄目になってしまったみたいだから。