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クインテット。ナイツ 日常編  作者: 恵/.
P―繋がる。ナイツ
14/36

男はいつの時代も女の敵です

 そんな何気ない光景を、あかりはぼんやりと眺めていた。

(……あのロリコン、ハーレムでも作るつもり?)

 そして、内心悪態ついていた。ロリコン、というのは勿論、狼のことだろう。現在、クラス内での狼の印象は『ロリコンな危険野郎』なのだから、普通の感想に思える。

(まったく、男ってみんなそう。女を独占して、自分の欲望のままに弄ぶ。特にロリコンとシスコンは死滅して欲しいわ)

 だがそれを考慮しても、あかりの考えは少々きつい気がする。

「ほれほれー苦しゅうない苦しゅうない」

「やめろってのっ!」

「はぁはぁ……狼きゅ~ん!」

 彼らの声は、教室中に響き渡っている。尤も、それはいつものことなので、周りは然程気にしてないようだ。

(ほんと、男なんて、死ねばいいのに)


 こんな感じで、日常は過ぎていく。



  ◇


 ……翌日。


「……んっ」

 あかりは身を捩り、ゆっくりと起き上がった。

「……」

 そして無言で、ベッドから出る。いつものように手早く着替えを済ませ、部屋を出た。


「おはよう、あかり」

 部屋を出たところで、祖父と廊下ですれ違った。

「……おはよ」

 ぽつりと、呟くように返すあかり。

「どうした? 今日はいつもより元気がないみたいだけど」

「……別に」

 あかりはそう答えるが、実は図星だったりする。

(……眠い)

 理由はただの寝不足だが。

「そうか。ならいいけど」

 祖父は何か気になっているようだったが、結局何も訊かずに歩いていった。



  ◇


 ……そして学校。


「天野さん、おはよう」

 いつも通りの上風。

「……」

 あかりは、いつものようにスルー。

「あ、天野さん。おはよう」

 上風の後ろから、紗佐がひょっこり顔を出す。

「……おはよ」

 あかりはそう、小さく返した。そして自分の席へと行く。それを見ていた上風は少し考えて、紗佐に問いかける。

「いつも思うんだけど、天野さんって紗佐とだけ話してない?」

 上風に言われ、紗佐は首を傾げた。

「そんなことないと思うけど……」

「そんなことある。だって紗佐だし」

「……失礼だと思うよ、その言い方」

 実際、あかりがクラス内で紗佐以外と言葉を交わしたところなど、見たこともない。紗佐相手もさっき見ただけだが。

「あんたって結構可愛いのに、男より女の子との接点が多いよね」

「それも失礼だと思う……」

 一片は数えていないのか?

「何ダ?」

 噂をすれば何とやら。ご本人登場だ。

「いや、それこっちの台詞だから」

「呼ばれた気がしたのでな」

 おっと、聞かれてしまったか。気をつけねば。

「ではな」

 と言って、一片も自分の席に着く。

「相変わらず謎よね、あいつ」

 上風が呟いている間に、紗佐は一片のほうへ歩いていく。

「あの、一片さん」

「何ダ?」

 鞄から教科書を取り出す動作を止め、紗佐のほうを振り返る一片。

「例の話なんだけど、今日辺りにでも下見に行かない?」

「例の話? ああ、あれか」

 何の話か分からない。

「そうダナ。放課後にでも頼む」

「はいっ」

 ……まあいいか。口を挟むのも野暮だ。

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