1-4話 神殿でのお仕事
しんぷはしきょうにしんかした
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気が付くと神殿のベットで寝かされていた。
「気が付きましたかな?クレナ神官見習」
そういうと司教様がいた。
「お兄ちゃん!」
どこかで妹の声が聞こえたと思ったら、すごい勢いでこっちにくる。
「ぐぇ」
「お兄ちゃん心配したんだよ。腹からは血が出てたし、顔は腫れてるし。死んじゃったかとおもったよ」
妹の突撃で死にかけた私は泣きじゃくるアイナを軽く撫でてあげた。
「お兄ちゃん。弱いのだから無理しないでよ」
普通なら心が砕ける一言なのだが、事実だし昔からなので慣れてしまった。
「そういってもピンチだったしなぁ」
「じゃあ誰か呼びに行くとか」
「今にも襲われそうだったのだが…」
「う~」
そういってアイナがうなってると司教様が
「まぁ今回は運がよく助かったのですからそこまでにしてあげてください。クレナ神官見習も今後はこのような無茶はよしてください。人ひとり助けるのに1人人が死んでは意味がないですから。どちらも助かる最善の道を模索してください」
「むぅ~。アイデルト神父さんが言うなら…でも…」
言い足りなさそうな顔をして、私の膝の上に乗るアイナがぶつぶつとなんか言っている。
その時ドアが開いて男が入ってくる。
筋肉ががっしりついていて、顔には複数の刀傷がある。
「起きたか?無謀な坊主」
「お兄ちゃんは坊主ではないです!」
子ども扱いされるのが嫌な妹が、何故か私を子ども扱いすることに嫌悪を示した。
「えっと…失礼ですがどなたですか?」
「おっとわりぃな。俺はガドロフ・グドリフスっていうのだ。傭兵上がりの騎士だ。よろしくな坊主」
そういって手を出してくる
「クレナ・ヒートです。よろしくお願いしますグドリフスさん」
手を握り返すと
「皆からはガドって呼ばれてる。そう呼んでくれるほうがいいな。それとお前さんそんな手でよく冒険者になろうとしたな」
「まぁ薬草積みで何とかしようと考えていたので」
「この国の近くでも薬草は北の森にしかないぞ」
「王都の門をくぐって少しいったとこに丸葉草があります」
そういうとガドロフさんは首をかしげた。
「あの草が何になる?毎回邪魔だから刈り取って捨てるだけの雑草じゃないのか?」
丸葉草は葉が丸い草で食べても苦いうえ芯もかたい。
煎じても、すりつぶしても薬用効果は出ない。
苦手な環境がほとんどなく一般的に雑草扱いされる、とこっちで読んだ本には書いてあった。
実はこの丸葉草は緑草とブルーウルフ(レッドウルフやグリーンウルフでも可)の肝臓の3つを聖水で煎じると上級ポーションになる。
ただ作れるのは上級薬師Lv5以上で使えるようになる、上級ポーション製作術を使える人のみである。
またこの上級ポーションのつくりかたはある意味裏ワザで、今は失われた技法である。
ちなみにゲームでは救世主(神官職の最上級職で難易度5)になると神から作り方を教えてもらえる。
昔ダーレスさんに教えて(実は彼上級薬師Lv7である)作ってもらいアイナが怪我した時に使っていた。
「市場に出回ってるものを混ぜ合わせれば上級ポーションになるのですよ」
そう私が言うとガドロフさんはこいつ大丈夫か?という目で見てくる。
「先生。お兄ちゃんが言ってることだから、本当ですよ」
変な顔で見てるガドロフさんに対してアイナがいう。
「ふむ。ならば作ってみればわかることだな」
そうガドロフさんが提案するが
「これは上級薬師Lv5以上の人がいないとできませんよ」
そういってできないことをアピールする。
できればダーレスさん以外にこの製法は教えたくないのだ。
「お兄ちゃん。私上級薬師Lv15だよ」
ブルータスおまえもか・・・
門外不出の製法であるとつたえ(アイナが私は知らないよ~といいそうになったが止めた)アイナのみに製法を伝えた。
ガドロフさんがけちぃこというなよといったが、神から教わった製法で、神との約束の中に悪用されると困るので門外不出にするようにと伝わってますというとあっさり引き下がった。
「ねぇお兄ちゃん。私造り方しらないよ」
「当然だ。父さんも母さんもしらないからな」
「うちに伝わってる秘伝の製法ではなかったの?」
「あれは嘘だ。知ってるのはダーレスさんと一部の神官だけさ。悪用を避けるためにはあまり外に知られたくない」
材料のすべてが初心者でも簡単に手に入れられる(緑草は10枚で1†で私でも買える)上に、ブルーウルフの肝臓や緑草は初心者の冒険に必要な薬などに多く使われるため、この製法が出回り買い占められるといろいろと問題である。
特にHPもステータスもほぼ最弱のわたしでは緑草の値段が上がるのは何としても避けたい。
そのことを妹に伝えるとわかった黙っておくと約束してくれた。
まぁ私の命がかかってるといえば無茶だけはしないだろうと思いたい。
「できた~」
見事な出来栄えである。
てかアイナなら同じ製法で丸葉草の量を増やせばフルポーション(まず市場に出回らない一番いいポーション)がつくれる。
まぁ教える気はないけどね。
このポーションを見たガドロフさんは驚いていた。
アイデルト司教様はさすが神様から授かった知恵はすばらしい、などと言っていた。
ちなみに聖水は水神神官Lv1では作れないはずなのに、水神アマ様から頂いた聖印(神から直接もらったものだからありえないほどいろいろな効果がついている)の効果でいくらでも作れるようになっていた。
「これほどのものならアイナとともに作れば稼げるな」
ガドロフさんは関心してわたしたちにいってきた
「この製法をどうやっても他に伝えることはできないのか?」
「すいません。緑草の市場に出回っている数などを考えると教えるのはちょっと…」
そういうとそれもそうかとガドロフさんうなずいた。
「それにしても神からの知恵ってすごいものですねぇ」
アイデルト司教様はどこか納得した表情で話しかけてきた。
「このほかにもあるのですか?」
「ええ。ただ私は知っているだけで行うことはできませんが…」
そう、そこが問題だった。
私は前世のちしきとして様々なものの作り方を知っているのだが、実際作るためのスキルがないのである。
頭で理解してても造れなきゃ意味がない。
私のレベルが一気に上がる時期がどこなのかわからない以上この知識がいつ使えばいいのかわからないのである。
「焦る必要はありませんよ。あなたが使えなくても、代わりにあなたの知識を良いことに使ってくれる方が現れますから」
そういってアイデルト司教様は微笑んで部屋から出て行った。
傷も完治し(アイナが作った上級ポーションを飲まされた)神官修行をしてた。
神官修行は庭の掃除、神殿内部の掃除、孤児院の子供たちの世話、近所のお年寄りのお話し相手などである。
本来ならこのほかに勉強も含まれるのだが、前世と今までに読んできた本の知識がある私には必要なかった。
アイデルト司教様も必要になったら神殿の図書を読んで、自分んで学びことを進めてきた。
余談ではあるがこの神殿にはアイデルト司教様を筆頭にマーマン種のバーバリア司祭様とケーナ司祭様、マーマン種のアリシア助祭とマーク助祭の5人と私を含めた6人がいる。
水神ということで水に関係しているマーマンに多くの信者がいる(司教様はヒト)。
いつものように庭の掃除をしていると後ろから
「す…すまないそこの神官殿。アイデルト司教殿はいらっしゃるか?」
振り向くと傷だらけの冒険者らしき男が語りかけてきた。
後ろには男2人に抱えられるような形でぐったりしている女性がいた。
「中に入ってお待ちください。今すぐ呼んできますので」
そう言うと近くにいたアリシア助祭が呼びにいった。
私は彼らを中に連れて行き、救急セットやポーションで手当てをした。
手当てをしていると向こうからアイデルト司教様がケーナ司祭様とアリシア助祭をつれて現れた。
「お待たせいたしました。どうなされましたか?」
司教様がそう聞くと、最初話しかけてきた男が
「ゴーストにやられた。依頼で南の森で謎の魔物が出るから調査してほしいといわれ、していたらゴーストにあって、やられた。一応私たちも応戦したのだが逃げられてしまった」
それを聞いた司教様と司祭様は首をかしげた
「失礼ですがそれは本当にゴーストでしたか?」
司祭様が問いかける。
「あぁ間違いないゴーストだった」
アリシア助祭は私とともに傷の手当てをしながら会話を聞いていた。
なぜ司教様と司祭様が疑問に思っているかわからなかったらしく
「クレナ神官見習さん。司教様たちは何を疑問におもっているのですか?」
と私に小声で聞いてきた
「ゴーストの攻撃には呪いをかける攻撃がないのですよ」
ゴーストは初心者の上のほうや、中級者の下のほうが経験値稼ぎに倒す魔物で、《物理攻撃被ダメージ減少大》という物理被ダメージを8割減少させる特性がある以外はほとんど強敵ではなく、異常系スキルも《物理攻撃ダメージ減少大》という1分間相手に与える物理ダメージを素の状態の2割にしてしまうスキル以外持ってない。
ちなみに、ゲームでは1ターン30秒であるため、効果は2ターンしか効かない。
その上、弱点である赤魔法のダメージには関係ないのである。
初めて相手したプレイヤーは物理攻撃がきかないことに驚愕するが、すぐに赤魔法のダメージがきくことを知ると、赤魔法師Lv1をとり赤魔法で一番簡単な火矢でどんどん狩ってレベルを上げることになる。
「では彼らが言ってることは嘘ですか?」
「嘘ではないと思う。かれらは別の魔物をゴーストと間違えてるのでは?」
そう私がアリシア助祭にいうと司教様に呼ばれた。
「クレナ神官見習。すまないけど《異常鑑定》してくれますか?」
そういってぐったりして動かない女性の近くに椅子を置いてくれた。
《異常鑑定》とは神官Lv3もしくは植物鑑定士Lv15で覚えれるスキル《状態異常鑑定》と上級植物・動物・鉱物鑑定士Lv10でそれぞれ覚えれる《毒植物・毒動物・毒鉱物鑑定》の4つのスキルをとることで覚えられるスキルである。
効果は呪いの種類と今の状態を鑑定できる。
呪いの種類を知るだけなら上級神官Lv3で覚えれる《呪い鑑定》で済むので司教様や司祭様でもできるが、彼女の状態を知るためには上位の鑑定スキルである《状態異常鑑定》をするべきだと判断したらしい。
「闇の聖霊よ彼らにつきし悪しき効果を示したまえ」
そういうと魔方陣が展開される。
ちなみに私はこの魔法を使うと私の魔力の8割を消費する。
ミラルダ・エルトラン ハーピー 女 状態:デスカウント(10)
ハーピーとは背中に鳥の羽の生えた人のような種である。
服を着てるとヒトと見分けがつかない。
魔物ではないよ。
「《デスカウント》にかかってます。カウントは残り10です。今日かかったのでしょう。」
《デスカウント》とは1日ごとにカウントが減っていき、カウント0になると死ぬ呪いである。
かかっていても普通に動けるが、彼女の場合は受けたダメージがでかいので動けないでいる。
カウントのスタートの数字はかけるもののレベルによって違うが、最大でも10である。
この呪いの厄介なものは救世主で覚えられる《穢解放》以外ではかけた術者以外解くことができないことである。
このためデスカウントがかかったらかけたものを殺すか、死んで復活し神様クエストを受けるかの2択になることが多い。
この世界では《死者蘇生》はかなりの金がかかるため、復活するのは難しい(クレナは死んでも水神アマが勝手に生き返らせてアマ神殿に送る)。
「デスカウントですか…この辺りには使える魔物はいないはずですが…」
「…予想になりますがいいですか?」
司祭さまが言ったことに対し私はとある考えを出した。
デスカウントを行える魔物はバンパイア系・降霊術師系・邪神・一部のアンデットである。
バンパイアは第二の始祖神国の領土の奥地にいて、第一の始祖神領と争う前線にはあまり出てこない。
降霊術師は神殿の外にあまり出ないので会うことは少ない(ただし彼らが呼び出したアンデットは除く)。
邪神は封印されていて表に出てこない。
となると残るは一部のアンデットになるが、デスカウントをつかえてゴーストと間違うのは1種類しかいない。
また、南の森に出てもおかしくない敵というと、ビンダーというゴーストたちのボスである。
南の森の奥地(第二の始祖神領の近く)ではゴーストがうようよしている狩場がある。
ここに1日に3回1時間だけビルダーが湧くのである。
ゴーストのステータスを少し強くしてデスカウントを使えるようにしたやつで、中級者の中のプレイヤーがドロップアイテム目当てに狩りをする。
ビルダーが落とすアイテムのソウルスレイヤーという斧は《物理被ダメージ減少小・中・大・》と《物理被ダメージ無効》の効果を無視してダメージを与えることができる武器のため需要が高い。
そのため湧いたらすぐに狩られるのでデスカウントの被害は少ない。
「南の森にビルダーが湧いたのではないでしょうか?」
「ビルダーとはなんですか?」
司祭様がきいてきた。
私はビルダーについて解説した。
のちに知ったことなのだが、この世界ではビルダーとゴーストの判別はしておらず、まれに強いゴーストが現れて冒険者を襲うという報告があるだけで、デスカウントを使うことを知っている人は少なかった(市販されている『冒険者の必需品 魔物図鑑第1巻』にはしっかりと書いてあるが南の森で湧くビルダーはこの大陸では最弱のビルダーなのでデスカウント使う前に殺されている)。
「南の森のゴーストたちのすみかとなると行くのには2日かかりますね。すぐに冒険者ギルドに知らせて討伐してもらいましょう。そうすれば呪いは解けます」
冒険者がすぐ王都に戻れたのは冒険者ギルドで売ってる帰還の指輪(使うと王都の特定の場所に瞬時に戻れる)を使ったからである。
ちなみにデスカウントをかけるとその効果が切れるまで術者は消えることができないため、度討伐されない限り時間が過ぎても消えないのである。
「冒険者ギルドに依頼してきます」
司教様にお願いしますといわれ、私は冒険者ギルドに向かった。
アマちゃんの次回予告コーナー(ぱふぱふ)
アマ「さて次回は冒険者ギルドに向かったクレナちゃん。そこで待ち受けていたのはよく知っているあの子。あの子につかまったクレナちゃんは魔物討伐してくれる代わりに大人にしてもらう約束をする。というわけで次回は卑猥な表現があるから18禁になります。おねえちゃんは今からドキドキして眠れません。」
クレナ「この次回予告の10割は嘘でできてます。」