1-3話 転生と神の暇つぶし
ア『クレナちゃんひっど~い。自己紹介途中で遮るなんて。』
ク「私の心の中に『あれ以上しゃべらすな!もう私の筆記力は0よ!』と創造神の声が聞こえたので止めました。」
ア『わ~お。メタ発言乙。』
※この会話は本編とはなんも関係していません。
「さて…どうしたものか」
私クレナは今非常に困惑しております。
『ううう…ひっく…えっぐぅ…』
どういうわけか目の前で幼い女の子が泣いています。青い髪でロングヘアー、目はコバルトブルー。美しいというよりかわいいといわれる容姿の女の子です。
「あの…アマ様…えっと…すいませんでした!」
『クレナちゃんは分かっているのですか?何をしでかしてしまったのか?ほんとにわかっているのですか?』
「えっと…あ~」
『うわ~ん。クレナちゃんのばか~』
さっきからこれの繰り返しである。最初は自己紹介を途中で遮ったことに対して怒っているのだと思ったがそうではないらしい。
『ううう…クレナちゃんはひどいです。三日三晩考えた渾身の自己紹介を長いの一言でバッサリ切ってしまうのだもの』
どうやら原因は自己紹介を遮ったことではなく、"三日三晩考えた"自己紹介を遮ったことだったようだ。
「ほんとにすいませんでした。神様に聞きたいことで頭がいっぱいで気が回りませんでした」
『う~んクレナちゃんがそこまで言うならお姉ちゃんゆるしちゃうよ』
さっきまで行っていた嘘泣きをやめ笑顔になる幼女水神アマちゃん。
『で?ききたいことってなに?』
「ギルドカードのことです。アマちゃんの弟とはどういうことでしょうか?また知力のこの気が抜けた数値はなんでしょうか?」
『気が抜けたっていうのはひどいなぁ。だって数字にするの難しかったのだもの。前世の記憶と今の体で覚えた記憶だけで知力999超えてるのだもの。さらに前世でこの世界のことを知り尽くしてるから鑑定士系(植物、動物、鉱物、アイテム)もすでに上限にたっしているのよねぇ』
「私にも知らないことがあります」
『女とか?』
ぶふっと私が噴出してるのを魔性の女の笑みを浮かべながら見ている神様。
『しょうがないなぁ。お姉ちゃんが女を教えてあげよう』
そういってきているワンピースのような服を脱ごうとする。
「恐れ多くて手が出せませんの勘弁してください」
ここで下手な返しをするとまた自己紹介の繰り返しになりそうなので違った返し方をしてみた。
『もうクレナちゃんったら。』
「すいませんアマ様。そろそろもう一つの疑問の答えを聞かせていただけますか?」
『う~んとそれを話すには少し長くなるうけどいい?』
真面目な顔をして聞いてきた。
「はい」
『では。まず魂があるものが死ぬと、魂は神のもとに戻ります。そこで魂についてる罪の贖罪します。』
「穢れの除去ですか?」
穢れとはこの世界に存在するシステムで、一定レベル以上のキャラが死ぬ、善良の市民を殺すなどすると魂につくペナルティである。除去の方法は神のクエストと呼ばれるクエストをこなすか、自分の職業レベルを下げることで0にすることができる。穢れがあると神殿に入れない、王都に入れない、兵士につかまり強制労働、他のプレイヤーが殺しても問題ない、物価が高くなる、神の加護が受けれないなどのペナルティがある。もちろん今言ったのはすべて穢れが3以上である時のみであるが、高レベルのプレイヤーになればなるほど死にやすいシステム(敵が即死攻撃をしてきたり、1ターンで複数攻撃してくるなど)なので、放っておくと大変なことになる。
神のクエストは神殿に来る貧乏な市民のために無償で傷薬を渡したり、盗賊を捕まえたり、神殿に一定額以上のお金を寄付することで1取り除くことができる。
『うん。ゲームではそんな感じで言ってたね。でもこれは現実。魂の穢れが多くなると知的行動よりも欲望に忠実な行動になってしまうの。また強い痛みと食に対する渇きが強くなちゃうから穢れが付いたらすぐに取り除くこと。』
「わかりました」
『さて、話がそれたけど贖罪が終わった、もしくは贖罪がない魂はその後新たな命として魂の記憶を消されこの世に戻ってくるの。生命の誕生としてね。でもたまに何らかの理由で魂が神を信じなくなると別の次元の神のもとに行って転生をする魂が存在するの。その魂の一つがあなた』
「…」
話がでかくなりすぎていて混乱している考えをまとめようと必死である私に。軽く笑みをこぼし一休みしようかといって水神アマさまイスとテーブルを出してくれる。
「あの…ここはいったいどこでしょうか?」
アマ様のインパクトが強すぎて周りを見回す余裕がなかったが、今周りを見るとそこは真っ白な空間だった。
『ここは"神界の入り口"だよ。神と話すのによく使われるところ。あの扉の先が神のいる世界で、魔力の根源にちかいから君たちじゃ1秒も持たずして肉体が滅ぶね』
「魔力の根源?」
『そう。世界樹ユグドラシルからすべての命にわたる生命の源。君たちはこれを使って魔法を使ってるのだよ。魔力の違いはこのユグドラシルからもらえる源を肉体がどれだけ受け止められるかによってちがうのだよ』
「つまり肉体を強化すれば魔力も上がると?」
『簡単に言えばそうなるが、その強化が難しいのだよ。なにせ筋トレだけじゃ無理だから』
「…」
『心配しなくてもいいよ。クレナちゃんはいずれ相当量を受け取れるようになるから。いや、むしろ…やっぱやめとこ』
そういってうふふと笑みをこぼす水上アマ様。
『そろそろ続きといこっか。転生の話からだったね。クレナちゃんはどうやら前世の死に方がお母さんに殺されることだったみたいで、どうやらそれが神に対する嫌悪として魂についてしまったみたい。生きてる時からたびたび神に助けを求めてたみたいだけどそれも無視されてたから嫌になったのだろうね。そして別次元に行って転生をすることになったクレナちゃんの魂はこの世界に来たの。で、転生するときに第三の始祖神があなたにある使命を授ける代わりに、第三の始祖神の子としてこの世に誕生したの』
「ある使命?」
『そのうちわかるよ。まぁまとめると
・前世のクレナちゃん神様嫌って別次元にGO!
・この世界に来た時に第三の始祖神の子になったよ
・白種としてうまれたよ
ってかんじかなぁ。私も第三の始祖神から生まれたからクレナちゃんとは姉弟なわけ』
「…なんか壮大ですね…」
『今は気にせず自分のやりたいようにやればいいよ』
そういってかわいく笑う水神アマ様。
「アマ様もう一つ質問してよろしいですか?」
『ん~。クレナちゃんがアマ様じゃなくてお姉ちゃんって呼んでくれるならいいよ』
「お姉さまもう一つ質問よろしいでしょうか?」
『む~。クレナちゃんってもしかして反抗期?まぁいっか。で何?』
「アイナはやっぱり神様と関係あるのでしょうか?黒の有角人はかなり珍しいので」
『結論から言うと関係ない。クレナちゃんが白種なのは第三の始祖神が前世の知識をフルに使えるようにってことでしたのだけど、アイナちゃんが黒の有角人なのはまた別だね。』
「また別?」
びくっとからだをゆらしなにもしてないですよ~的な顔をしてこっちを見てくる。
「お姉さま?」
こっちも負けじと水神アマ様をみる。
『…イヤホントグウゼンデスヨ。イヤホントニ。』
「…」
『いやほんとだって。太陽神と月神と3人で飲んでいて、兄が白なら妹は黒がいいっしょwなんてのりになって黒の有角種にしたわけではないんだからね』
神様はどうやら適当に過ごしているらしい。
その後水神アマ様に真実を話させたことによって水神アマ様が怒って帰ってしまったので私も現実世界に戻った。帰り際に水神アマ様からおねえちゃんからの餞別だよっていって水神の紋章が入った聖印を受け取った。それを持って戻ると神父様が驚いて神の声を聴いたものとして神官の職業を頂いた。さらに明日からはこの神殿で神官見習いとして働くことになった。
神殿から冒険者の宿(荷物が預けてある)に戻るためショートカットのため裏路地に入ると案の定
「おいねーちゃん。もう逃げられないぞ」
「お願いします。やめてください」
「くっくっく。安心しなよ。たっぷり楽しんだ後に奴隷商にかいほうしてあげるからさぁ」
盗賊っぽい2人の男が若い女性に詰め寄っていた。今の私には勝てないことは分かっていたが
「おい!やめろ」
とっさに前に出てしまっていた。
「あ~ん?白種の餓鬼がなんおようだ?」
「弱いくせにでしゃばるなよ。兄ちゃん」
余裕の笑みを浮かべ盗賊がこっち向く。私はその隙に目で女性に逃げるように訴えた。
「あ、あのアマ逃げやがった」
「っちこのくそ餓鬼のせいでとんだ失敗だ」
盗賊2人が怖い目でにらんでくる。ゲームでは盗賊の攻撃方法は短剣での素早い振り。一撃は小さいし間合いも短いがクリティカルが出やすく攻撃速度も速いのでよけやすい。そうとわかれば人質もいないし逃げに徹する。
「まてやくそ餓鬼」
「そんなとろとろ走って逃げられると思ってるのか」
あっさり追いついた盗賊の横振り攻撃をくらい地面に倒される。
「っく」
右わき腹に激痛が走る。白種のためか短剣の攻撃でもかなりのダメージを受ける。
「簡単に死ねると思うなよ」
そういって盗賊は顔をけってくる。
「いきがってたわりにはよわいな」
笑いながら何度もけってくる。
「白種は国境の防壁の一部になってればいいんだよ!」
この国には隣国との境に防壁がある。この壁は防衛戦で負けた後奴隷や白種を酷使しつくったため一部の神官などからは皮肉を込めて肉壁と呼ばれている。ちなみにこの壁を作るのに酷使され、死んだたためにこの国には白種がほとんどいない。
2人の盗賊にけられ意識が遠のき始めたとき
「やめなさい!」
どこかで聞いた声がした。
「誰だ!」
そこには黒いきれいな髪をなびかせツンと黒い角をとがらせた女性がいた。
転生やユグドラシルの話が出てきました。
ちなみにこの世界の生物は二界説で分類されています。