外伝「仲間の秘密」「新たな仲間、新たな力」
外伝です。
2つありますが、それぞれ別の日の出来事です。
主人公はクレナ君ではありません。
「仲間の秘密」1章と2章の間の話
この前任務を終えて、王都に戻った時に倒れてしまった。
何とか我慢したが、家までは持たなかった。
運がよかったのはアイナさんやガドロフ先生に私の正体がばれなかったことでしょう。
しかしあのクレナというやつにはばれたかもしれない。
何としてでも隠さないといけない私の秘密…。
やっと手に入れた安息の場所を守るために守ってきた秘密…。
「アイナさん。ちょっといいですか?」
「ふがっぐ!?」
アイナさんの部屋を訪ねたら、食事中だったみたいです。
時間的には間食のが正しい表現かもしれない。
「アイナさん。大丈夫ですか?」
「平気平気。ちょっと驚いただけだよ」
「口いっぱいに入れる食事方法はよくないと思いますよ」
「アハハハハハ…」
アイナさんはかわいらしい笑みしている。この顔を見るといつも心が安らぎます。
「で、今日はどうしたの?まだ倒れてから日にちがそんな立ってないし安静にしてたほうがいいのでは?」
「その件でしたら、もう大丈夫です。ご心配おかけしました。今日はお願いがあってきました」
「お願い?」
「はい。この前の件でもうよくなったことを伝えたいので、アイナさんのお兄さんに会いたいのですが…」
「あ、それなら明日がちょうどお休みだから、朝図書館開館前に神殿に行けば会えると思うよ」
「どの図書館ですか?」
「王立か国立のどっちか」
「何故その図書館の開館前なのでしょうか?」
「ここのところお兄ちゃん休みになるとどちらかの図書館に籠るのだよ」
なぜあのヒトが王立、国立図書館に入れるのだろうか?
翌日神殿であのヒトと会い、朝ご飯を一緒にとることになった。
時間が少し遅いこともあり、食事場所には店員さん以外いなかった。
「この前は心配かけてすいませんでした。もうすっかり良くなりました」
「それはよかった。医者が言うには2、3日たてば良くなると言っていたからそろそろ平気かなとは思っていたけどね」
そう言ってこのヒトは注文したピポポピを食べている。
よくあんなものを平気で食べられるものだ…。
「クレナさんにも迷惑をかけたみたいで…」
「あぁそれなら失礼かと思ったが、私は何もしなかった」
やはりこのヒトは気づいている…。
「そのことなら心配しなくてもいいよ。君が隠したいことは知っているしね」
「私が隠したいこと?」
「それを確認したくて今日呼んだのではないのかい?」
「…」
「さっきも言ったが、心配しなくてもいい。私の口からは誰にも伝えていないし、私も知らない」
最後の言葉は嘘であろう。
「なぜあなたは知っているの?」
「ウルカナさん。私は知らないっていったよね。まぁ親友にも少ない瘴気に当てられ、倒れるひとはいないしね」
最後のいないを強調した。
「あなたの親友はどういうヒトですか?」
「本当にその種か疑いたくなる友だよ。女好きだし、いたずらはするし」
それを聞いた途端頭が痛くなった。
「私と一緒にバカなことをしたし、狩りにもいった」
「…」
「彼は親友がちゃんといた。みんな彼が本当にその種か疑ってたけどね」
「本当にその種でしたか?」
「その種だったよ。ひょんなことで確認できた」
「ひょうなこと?」
「偶然手に入れた黒い箱を彼が開けたのだよ」
「…」
「あの時は本当に驚いた。みんな彼が嘘の種を言ってると思ってたからね」
「!?彼は本当の種を言っていたのですか?」
「最初は嘘ついていたが、彼が自ら打ち明けた。まぁみんなうすうすと気が付いていたけどね」
「なのに疑ってたのですか?」
「知っている内容と違えば疑うさ」
彼はそういうとどこか楽しげな顔をしていた。
「誰一人として親友をやめた人はいなかったのですか?」
「嘘ついていたことを一発ぶん殴って許してやるのが親友というものだよ」
何という馬鹿な関係でしょう…。
そんなことがあるわけがない。
「嘘は言わなくていいです」
「ウルカナさん。今はまだ分からないと思うが、いつかは分かる。その時までの辛抱だよ」
彼はそういってズバボビを飲む。
「…」
私は何も言えなかった。
何言っても自分を守る言い訳になってしまう気がした。
「嘘で自分を守らなければならない時もある。しかし、たまにはその嘘を捨て去るのも必要だよ。騙すという罪悪感で本当の自分を殺してしまうからね。」
私はうつむいた。顔を見られたくない。
「私で良ければ君の嘘をともに担いであげるよ。もうすでに彼の嘘を担いでいるのだ。もう一人くらいなんともないさ」
「白種のくせに」
私は吐き出すように言った。
たぶん彼は笑っているだろう。
私は少し体が軽くなったように思えた。
「新たな仲間、新たな力」 2章と3章の間の話
白・黄・10日
今朝神殿の前の掃除をしようとして外に出たら血だらけのコボルトが倒れていた。
司祭様をすぐに呼びに行き、治療してもらった。
話を聞くとこの近くの洞窟に蛮族が住み着いていて、そこで奴隷として働いていたそうだ。
あまりにも労働が厳しく仲間3人と逃げたのだが、見つかり2人は捕まってしまったそうだ。
彼自身も深手をあい、川に飛び込んでなんとかここまで来たそうだ。
白・黄・11日
昨日のコボルトからの情報をもとに冒険者ギルドで討伐以来が出たそうだ。
冒険者ギルドの依頼のはずなのに、なぜか騎士と騎士見習が行くことになったらしい。
その騎士にさらわれたクレナ助祭は大丈夫だろうか?
白・黄・12日
コボルトが息を引き取った。
神殿では共同墓地ではあるが埋葬と供養をした。
最後まで仲間の身を案じていたので騎士たちには仲間の救出を成功してほしい。
そして彼の墓にその良き報告をしてほしい。
白・黄・13日
クレナ助祭が傷だらけの小さなコボルトをつれて帰ってきた。
もう一匹は懲罰の傷がひどく、手の施しようがなかったそうだ。
彼のために安らかな死を与えて近くに埋めて供養したそうだ。
それを聞いた司教様はその報告にただ耳を傾け、優しくクレナ助祭に感謝を述べていた。
クレナ助祭は「子供のために最後まで戦い抜いた偉大な死に方だった」と言っていた。
男の人は英雄的な死にあこがれるのだろう。
白・黄・14日
子供のコボルトの傷も癒え、主人が見つかるまでは教会で預かることになった。
白いもふもふの毛で、目がクリっとしている子供のコボルトである。
名前はハクらしい。白だけに。
同じ白種ということもあり、クレナ助祭と息が合うみたいで、クレナ助祭に仕事を教わっている。
白・黄・15日
施設の子供たちにもみくちゃにされているハク君がいた。
クレナ助祭も子供に話をせがまれ困惑していた。
白・黄・16日
白種ということもあり、体力の少ないクレナ助祭をハク君は見事にサポートしていた。
案外あの2人は息がぴったりでは?
今日も何もなく、平和な1日が終わった。
アリシア助祭の日記より抜粋
アマ「出番まだ~?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン」
クレナ「本編は終了しました」
アマ「(;ω;)」
クレナ「よくその発音できますね…」
アマ「ヽ(´∀`*)ノ」