プロローグ この世の別れとこの世の出会い
いきなり残酷です。
腹部に激痛が走り目を覚ますとそこには般若のような母の顔があった。
「おまえが…おまえがいるから…」
母がそういいながら絶えず新しい痛みを腹部に与えてくる。
そして私も自然とまぶたが重くなっていく。
今思い返すと私が高校に入ってすぐに父が死んでからすべてが変わった。
母は今までと態度が急変し私がいてもそこは誰もいないように接してくるようになった。
私は家で孤独となった寂しさからオンラインゲームにただただ打ち込むようになり、学校もたびたび休むようになった。
この生活が変わったのは高校3年の秋だった。
友人との交流や学校の先生、カウセリングなどを通し私たち母子は徐々に日常を取り戻してきた。
(母が私に対する態度は変わらなかったが…)そんな時母に新しい恋人ができたのである。
大手会社の将来有望のエリート社員ですごいやり手らしいが、そいつと私は反りが合わなかった。
そして母はそいつが私を毛嫌いしていたので自然と私を嫌うようになり、暴力も振るってくるようになった。
私は自分を守るため家に帰ることがほとんどなくなった。
といってもお金がない(バイトはしてたが生活費で消えていった)学生である私は学校にはそんなに残れないので結局公園などで学校から借りた本などを読むしかなかった。
そして今日、大学受験の準備のため数日ぶりに家に帰って寝ると、母は邪魔なものの処分に取り掛かった。
遠のく意識の中
「次の人生は親子で笑って暮らせる人生がいいな…」
と思いながら私は意識を遠のいた。
私はいい匂いがするので目を覚ました。
見たことのない天井に見たことのない飾り。
さらに私が寝てるところは私のベットではない。
天井も家具も木でできており、時代劇に出てくる家にそっくりな内装である。
しかも将軍とかが住む豪華な内装ではなく農民の家である。
「あぅ・・・たぅ」『ここはどこだ?』
自分が声を発せないことに驚いているとぱたぱたとおとをたてて誰かが近づいてくる。
「あらあら今日は早いお目覚めね。怖い夢でもみたのかな?」
と私に声かけながら私の顔をのぞいてくる女性がいた。自然と私は笑みをこぼしていた。
「いまかえったど~」
知らない男性の声が聞こえた。
「まぁ…。もしかしてパパが帰ってくるのが分かったのかな?」
と女性が私を抱き上げどこかに運んでいく。私はその女性の腕の中で丸くなった。
「お帰りなさい。あなた」
「おう。おや?坊やは今日は寝なかったのかい?」
「あなたが帰ってくるのが分かったみたいでちょうどいま起きたのよ。パパと遊びたいんですよね~。」
「がははは。そうか坊やはパパと遊びたいのか。
仕事で疲れてるが坊やにたのまれちゃことわれねぇな。
ちょっと待ってろ。体を拭いたらパパが遊んでやるからな。」
男性がそういうと私は『ここはほんとにどこなんだ…』と思いながら何故かうれしくて手を叩いていた。
次は一気に時代が飛びます。